第6回 ISO9001 2015年度版 変更管理の要求強化について
こんにちは。ISOコム コンサルタントの亀田 昭子です。
今回のブログでは、ISO9001: 2015年度版 改正(改訂)での変更管理の強化について考えてみます。
2015年版のISO9001: 2015年度版 改正(改訂)では、6.3項「変更の管理」、8.2.4項「製品及びサービスに関する要求事項の変更」、8.5.6項「変更の管理」の要求事項が追加されました。
今まで変更については、設計変更の要求だけでしたが、ISO9001:2015年版 改正(改訂)では、変更についての要求事項の追加・補強が合意されました。
よく言われていることで、変更あるところに問題、不具合などトラブル発生はつきものです。
設計変更を行い、検証が不十分で不具合が発生する、新しい設備を導入したことで、工法が変わり、不良発生などトラブルが発生した原因を調べてみると何かを変更したことによることが多くあります。
今回新しく追加された項目を確認してみましょう。
6.3項の「変更の管理」では、
品質マネジメントシステムの仕組みを変更する場合に考慮することが記載されています。
マネジメントレビューなどによって、品質マネジメントシステムを変更することが決定した場合、変更の目的を明確にして、変更によるクレームや不良が多発しないように完全なシステムを確保し、また現在の経営資源で対応できるかなどを考えたうえで対応を行うことが要求されています。
8.2.4項の「製品及びサービスに関する要求事項の変更」については、
顧客要求事項に変更(顧客からの製品、サービスに関する要求事項、契約や受注内容の変更)があった場合には、製品仕様書、顧客要求仕様書、契約書、設計図等関連する文書を修正し、変更内容を関係者にもれなく伝達させる必要があります。
また、8.5.6項「変更の管理」では、
製造、サービスにおける変更管理となります。
製造、サービスでの変更とは何があるでしょうか?
まず、建設業等での天候不順による作業遅れによる納期変更が考えられます。
また、材料、設備、人、工法の変更(4M変更)があります。
4M変更しなければならない場合、変更を適当に行ってしまうと後になって重大な品質問題を発生させてしまう可能性があります。
変更を行っても、製品やサービスがあらかじめ想定した品質レベルに合致するかどうか、充分に変更内容を協議して、その記録を残すことが要求されています。
また、変更した場合は、必要に応じて、変更内容の検証を行い、変更を正式に許可した人、検証の結果、何らかの処置を行った場合は、その内容を記録する必要もあります。
今までより変更管理の要求が強化されていますので、皆様の会社における変更管理について、再確認してみるといいと思います。
不具合・問題が発生した場合、その原因が何か、例えば、以前設計した内容を変更して流用したものでの不具合や作業工法を変更したことによる不具合など発生している場合は、皆様の変更管理の方法を再確認してみましょう。
まとめ
変更にはトラブル発生の危険があることを踏まえて、しっかり予防しておかないと、
不良やクレーム、事故等のトラブルが発生し、そのための仕事が増え、顧客の信頼を落とし、弁済や賠償につなげることも・・・。
でも、ISOコムのコンサルを受ければ大丈夫。変更の時に予防が出来るように、あなたの会社にあったやり方、わかりやすい仕組みを作り、トラブル予防につなげます。
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【ISO14001に関する過去記事】
4.1項「組織及びその状況の理解」、4.2項「利害関係者のニーズと期待の理解」、6.1項「リスク及び機会の取組み」について(その1)
4.1項「組織及びその状況の理解」の「内部及び外部の課題」について(その2)
4.2項「利害関係者のニーズと期待の理解」について(その3)
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2017/12/25
リスク及び機会への取り組みとは? ISO9001 2015年版 具体例
こんにちは。今回は、ISO9001 2015年度版(改定/改正)のリスク及び機会について考えてみたいと思います。
リスク及び機会とは
ISO9001 2015年版(改定)では、“リスク”への取組みということが要求されるようになりました。
6.1 項で“リスク及び機会への取組み”というタイトルで、取組む必要があるリスクを決定し、取り組み方法を決定したうえで取組むことが要求されています。
“機会”の原文は“opportunity”となっていますので、いわゆる好機と捉えればよいでしょう。
これに対し、“リスク”はISO9000 2015年版(改正/改定)では『不確かさの影響』と定義されていますが、定義の注記5で『“リスク”という言葉は、好ましくない結果にしかならない可能性の場合に使われることがある。』とあることから、ここでは好機の反対と捉えてよさそうです。
簡単に言ってしまえば、リスクは心配事、機会はチャンス。っていうところでしょう。
外部内部の課題、利害関係者ニーズ期待を放置していて心配なことを「リスク」、
その状態に積極的に取り組むことがチャンスになれば「機会」ととらえると、結構すんなり入ってくるのではないでしょうか。
具体例を挙げて考えてみます
次に、リスクと機会の具体例を考えてみます。
例えば、あなたの会社が自動車のエンジン周りの金属部品を作っているとしましょう。
自動車業界では、現在EVシフトが進んでいます。これは外部課題になり得ます。
電気自動車が増えると、自社の製品は今後も売れるのか。そうすると、以下が考えられます。
リスク:部品点数の減少による売り上げ減少
機会:EV化へ向けた製品開発力の強化、四輪、航空業界向け製品への取り組み
このように考えれば“リスクへの取り組み”は特に難しいことではなく、どの会社でも、経営者が普通に考えていることであることがわかります。
ちなみに、規格では、外部内部課題、利害関係者ニーズ期待、それに関するリスク及び機会を文面にすることを要求してはいません。
ですので、審査の際、全て口頭で答えることができれば審査に通ります。
ただ、外部内部課題、利害関係者ニーズ期待は、見直しを要求されていますし、リスク及び機会は取り組みが上手くいっているかを把握することを要求されています。
また、経営者へ、このような課題にその後変化があったか、リスク及び機会への取り組みが上手くいってるかを報告することが要求されています。
ですので、これらを記憶だけで管理するのは、把握漏れの心配もありますね。課題と取り組みは普通はいくつかあるものなので。
実際、事業計画書とか、中期経営計画がある会社であれば、課題を決めてリスクや機会の評価をした結果の計画が書かれているはずですので、それで審査対応は可能です。
ただし、環境配慮面について含めて記載してあるものは稀ですので、ISO14001を認証している会社は、漏れていないか注意が必要ですね。
9001の「リスク及び機会」に対応するならプロに依頼するのが一番!
いかがでしたでしょうか、リスク及び機会。
ここがわかれば、2015年度版のISO9001の取り組み主旨がお分かりいただけるのではないでしょうか。
また、ここがわからなければ、従来の9001と何が違うの?ということになり、せっかくの取り組み効果も半減してしまいます。
ISOコムのISO取得コンサルを受ければ、事業計画書や中期経営計画がなくても、弊社の最適なツールで、リスク及び機会への取り組みをスムーズにあなたの会社の中に組み込み、成果へと導いていきますのでご安心ください。
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【ISO9001の改正についての過去記事】
2017/12/25
リーダーシップ ISO9001 2015年版
ISO9001 2015年版(改正/改定)の5.1.1項 では、a)~j)によってトップマネジメントのQMS(品質マネジメントシステム)に関するリーダーシップ及びコミットメントの実証が求められています。
1.a) では、トップマネジメントはQMSの有効性に説明責任を負うことが求められています。
誰に対して、何のために説明責任を負うことになるのでしょうか。
原文にある、“accountability”という語の意味を調べてみますと、
『社会の了解や合意を得るために“業務や研究活動の内容”について対外的に説明する責任』とのことです。
すると、ここでは、お客様を含む社外の利害関係者に対してQMSが有効であることを説明する責任と考えることが適切ではないでしょうか。
この後に続くb)、c) では事業プロセスとQMSの統合を配慮した要求事項となっていることから、この要求事項が追加された背景は、トップマネジメントにリーダーシップをとり、もっともっとQMSの維持・運用に関与することが求められているのではないでしょうか。
それでは、QMSが有効であることについてどのようにして“accountability”をおこなえばいいのか。
ISO9001 2015年版(改正/改定)における目的が1.項のa)、b) にあるので、
この目的が達成できていることがQMSの有効性に繋がることになるでしょう。
更に、企業独自の目的がある場合には、その目的に達成状況から有効性を評価できるかもしれません。
トップマネジメントは、これらの目的が達成できるようにリーダーシップをとり、組織を指揮することが求められています。
さらに、これらの目的が達成できていることを確認することも求められています。
目的の達成状況を確認する上では、この目的が達成できているか否かを判定する指標があれば分り易いでしょう。
ISO9001 2015年版(改正/改定)では、9.1.3項 では“QMSのパフォーマンス及び有効性”を評価するための
適切なデータ及び情報を明確にすることが求められていますので、ここで定めたデータ及び情報、
又はこれらから分析した結果などからQMSの有効性を評価できる指標を選べばよいでしょう。
さらに、9.3.2 では、“QMSのパフォーマンス及び有効性”に関連する情報として1)~7) が例示されていますので、
これらの情報から選んでも良いでしょう。
具体例について考えてみましょう。
1.項のa)の目的、即ち品質保証能力の証明の観点からは、お客様からのクレーム、不平・不満の発生数
又は発生頻度などが指標のひとつとなります。
また、社内での不適合や不適合品の発生数なども指標として捉えることが可能です。
勿論これらの指標の数値は少ないに越したことはありませんが、たとえこれらの数値が大きかったとしても、
これを減らすために何らかの手をうっており、少なくとも、その部分では効果が出ていればQMSは有効に運用されているとの評価が得られるのでしょう。
1.項のb)の目的、即ち顧客満足度の向上達成の観点からは、顧客アンケートによる自社の製品等の評価結果、
受注リピート率、失注率などを指標として選べばよいでしょう。こちらについても評価の考え方は上と同じで良いと思われます。
『QMSが有効に運用できています。』といえるように、指標を選択し、その指標を上昇させるための方策を
計画・実施し、その結果として受注・売上の向上につながることが改訂された規格の狙いの一つにあると思っています。
是非、皆様の会社が『QMSは有効です。』と言えるようになって頂きたいと思います。
【ISO9001の改正についての過去記事】
ISO9001の認証取得支援・運用更新代行
この記事を読んでISO9001の取得を検討してみようと考えている企業のご担当者様、ぜひご連絡ください!弊社でISO9001認証取得やその後の更新作業のコンサルティングをお手伝いしております。
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2017/12/11
ISO14001解説 2015年度版 「緊急事態への準備及び対応」訓練の例
こんにちは。ISOコム マネジメントコンサルタントの亀田 昭子です。
今回は、ISO14001(EMS) の8.2項「緊急事態への準備及び対応」について考えていきたます。
※【参考】ISO14001:2015年度版改訂のポイントについてはこちらをご覧ください。
緊急事態とはどんな場合が考えられるでしょうか?
多くの企業様では、緊急事態とは火災を考える場合が多いと思います。
今、ISOコムのコンサルでの緊急事態とは下記3つの場合を想定して、緊急事態を検討しています。
・会社(組織)⇒地球 (会社が地球環境に影響を及ぼす緊急事態)
・地球⇒会社(組織)(地球が会社に影響を及ぼす緊急事態)
・その他
会社が地球に及ぼすものとしては、火災、爆発、事故等による油の漏洩、排水による河川の汚染などが
相当します。また、地球が会社に及ぼすものとしては天災である地震・台風・大雨等が相当します。
それ以外の緊急事態とはどんなことでしょう?例えば、工場での労働災害などによる工場のストップ。
法規制違反や検査データ改ざんによる操業停止などが考えられます。
昨今大きな問題となっている検査員資格のない人々が検査した製品の流出による操業停止も
その他の緊急事態の一つになると思います。
最近問題になっている企業と取引のある会社様が、この問題により部材が入ってこないということを、
知り合いの方に伺いました。検査データの改ざんによる操業停止によって、影響を受ける会社様にとっても
緊急事態となると思います。
緊急事態への対応のために必要なプロセスを確立する
まず、今回のISO14001の6.1.2項で緊急事態を含めた著しい環境側面を決めることが要求され、決めた緊急事態に対して、
8.2項では、緊急事態への準備及び対応のために必要なプロセスを確立することが要求されています。
必要なプロセスとは、緊急時の連絡網や緊急事態発生時の対応体制等を確立することです。
また、その対応を定期的にテストすることや、関連する情報、教育訓練を社内の人も含め、利害関係者に提供する
ことも要求されています。
BCP(事業継続計画)に取り組まれていらっしゃる企業様ではBCPで構築したプロセスを使うことで
緊急事態に対応できると思います。
BCP(事業継続計画)とは、大災害や大事故、疫病の流行、犯罪被害、社会的混乱など、
通常業務の遂行が困難になる事態が発生した際に、事業の継続や復旧を速やかに遂行するために策定される計画を
意味します。BCPの中で定期的なテストも訓練も対応できると思います。
BCPに取り組まれていらっしゃらない企業様も最近は環境異常によるものと思われる天災が多いので、
BCPの考え方を取り入れて、社内の緊急事態の対応体制や連絡網、備蓄等を考えてみてはいかがでしょうか?
8.2c)項で、計画した緊急事態の対応処置を定期的にテストすることが要求されていますが、
テストは、訓練とは異なり、自分たちで決めたプロセスが計画通りに実施されているかを確認する作業に
なります。
また、f)項では、利害関係者に対し訓練が要求されています。社員の方々以外にも協力・外注会社の方も含めた
教育訓練が必要となります。
8.2項で要求されている緊急事態対応計画の立案、処置のテスト、訓練について、社内で取り決めた
緊急事態の対応処置に基づいて対応できるかを確認してみるといいと思います。
まとめ
今回の記事はいかがでした?
会社にとっての緊急事態が何か、万一起こった時にどうするかを決めておかないと、
右往左往して、益々事態が悪化して環境汚染が広がったり、最悪の場合は人の命が失われたりするかも知れません。
ISOコムのコンサルを受ければ、あなたの会社に合った緊急事態が何か、万一起こったときにどうするかを無理なくサポートしますのでご安心ください。きっと役立ちますし、審査合格も保証付き!
ISO14001の認証取得や更新審査対応など、ISOコムのコンサルが気になった方は、今すぐご相談を!
フリーダーヤル:0120-549-330
【ISO14001に関する過去記事】
4.1項「組織及びその状況の理解」、4.2項「利害関係者のニーズと期待の理解」、6.1項「リスク及び機会の取組み」について(その1)
4.1項「組織及びその状況の理解」の「内部及び外部の課題」について(その2)
4.2項「利害関係者のニーズと期待の理解」について(その3)
2017/12/04