ISO9001とは何か、わかりやすく簡単に説明
こんにちは ISOコム マネジメントコンサルタントの柏木 博です。
今回はISO9001とは何か、わかりやすく簡単に解説していきましょう。
ちなみにISO9001の読み方は(アイエスオーキュウセンイチ)です。
ISO9001とは
“iso9001”とは、国際標準化機構が定めた約2万ある国際規格のうち、“9001”の番号がつけられた国際規格です。
“規格”とは、『標準』のことです。
“iso9001”とは、国際標準化機構という標準化を決める組織が定めた取り決めなんですね。
この機構は、多数の国の代表者の集まりなので、国際的に使われます。
ちなみに日本のJIS規格は、日本工業標準調査会による取り決めなんです。
他にも、例えば米国にはANSI、英国にはBS、フランスにはNF、ドイツにはDIN規格があります。
しかし、各国にそれぞれ国内規格があるのに、なぜ国際的に使用される規格が必要となるのでしょう?
国際規格が存在する理由とは?
欧州は陸続きの国が多く存在し、人や物もかなり自由に流通しています。
このような中で、例えば、フランス人がドイツでデザインが気に入って電気ポットを購入して持って帰ったとします。
家で使おうとしたとき、コンセントの形がフランスとドイツで違っていればすぐに使うことが出来ません。
使っているうちにどこかのネジが外れて、そのネジを買おうとしたとき、フランス製の
ネジでは合わないとしたらドイツまで買いに行きますか?
とても不便ですよね?
こんなに不便だったら、お気に入りのポットでも、買うかどうか、迷ってしまいますよね。
こんな抵抗をなくして、ドイツで買った製品でもフランスで不自由なく使えるように、つまり、貿易を促進するため、国際規格が必要となります。
国際規格に従って作られた製品なら、どこの国でも自宅で使用できます。
今では、貿易が盛んなので、国外に製品等を輸出するため、逆に国外の製品を使用するためにも、国際規格は重要になってきています。
ISO9001を簡単に説明すると
「製品やサービスを提供するまでのルール」を示したものです。
当然、製品やサービスに関連した法規制も守って、継続して提供することでお客様の信頼、安心、つまり、“顧客満足の向上を目指す”ことができるわけです。
製品やサービスを買おうとしたとき、どこの国の製品でも、この仕組みを運用している会社の製品なら、皆さんも安心して買えたり、利用したりできるのではないでしょうか。
このような信頼感、安心感を皆さんのお客様にである購入者に提供すること自体が、この規格の目的であるといえます。
いかがでしたか。ISO9001とは、購入者が安心して製品やサービスを購入してもらうシステムであり、審査合格することは、それを第三者から「お墨付き」をもらうことになるわけです。
あなたの会社の信頼があがることになります。一つのブランディングとも言えるでしょう。
逆に、どの会社の製品やサービスにしようか?と迷ったときに、お墨付きがあるのと、ないのと。
どちらを選びますか?
お墨付きがあるものを目の前にして、ない方を選ぶのって、ちょっと不安になりませんか??
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2018/04/25
第2回目 プライバシーマーク JISQ15001:2006とJISQ15001:2017との比較
ISOコム通信にアクセスしていただきありがとうございます。
今回は、2006年版から2017年版どのように変更になったかを、2006年版の本文と2017年版の付属書Aの
項番で比較してみます。
比較した結果は以下の表の様になります。
付属書Aから本文に移動した部分や名称が変わった部分などは赤字で示してあります。
項目名は他のマネジメントシステム規格や個人情報保護法の表現に合わせるために変更したと思われます。
しかし、個人情報保護法と用語が統一されても意味が異なっている場合がありますから注意が必要です。
また、項目名が同じでも内容が変更になっている場合もあります。項目名の変更等は対応表をご覧ください。
具体的な変更点に関しては、次回以降に順番に纏めていきたいと思います。
JISQ15001:2006とJISQ15001:2017との項目比較表
ところで、今回の目的はJISQ15001:2017に対応するためですが、意外と1999年版の内容が規程文書に
残っている場合があります。
一度、この機会に見直してみることをお勧めします。例えば以下の様な例があります。
・情報主体
本人を意味する“情報主体”がそのまま残されている。さすがに見かけることは少なくなったと思います。
しかし、記載されていた場合に1999年版を知らない人は、意味が分からない可能性がありまます。
・収集
個人情報を入手することを1999年版では“収集”と表現、2006年版以降では“取得”となっています。
個人情報保護の基本になっているOECDの8原則の日本訳で“収集”と表現されていたので、
1999年版はこれに従い、次に2000年に公布された個人情報保護法が“取得”を用いていたため
これに合わせたためと思います。
あまり意味や変わらないと思いますが、わかりやすくするためにも今のうちに用語を統一された方が
良いと思います。
・直接収集と間接収集
JISQ15001:1999では、4.4.2.4項(情報主体から直接収集する場合の措置)と4.4.2.5項(情報主体以外から
間接的に収集する場合の措置)にて、“本人から直接受け取る場合”と“本人以外から受け取る場合”に
分けており、さらに本人から直接受け取る場合では一部に、黙示的同意(明確に同意の意思が確認できなく
ても、受け取る状況から同意を得たと判断する)が認めておりました。
ご存知のとおり、2006年版からは、3.4.2.4と3.4.2.5に“明示的に同意がとれる直接書面取得”と
“それ以外”に変更されました。
さらに2017年ではA.3.4.2.4で取得全般を、A.3.4.2.5にて直接書面の場合の同意取得を記載しています。
これは個人情報保護法では、第18条で個人情報の取得時に利用目的を通知や公表することを定めることを
定めていますが、同意を得ることまで定めていないことと関係していると思います。
この内容に関しても、次回以降に連続して記載します。
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2018/04/23
ISO14001認証とは何か、わかりやすく簡単に説明
こんにちは。ISOコム マネジメントコンサルタントの亀田 昭子です。
「ISO14001とは何か」について、わかりやすく簡単に説明してみたいと思います。
ISO14001とは、正式名称「環境マネジメントシステム-要求事項及び利用の手引き」の要求事項であり、
「この規格の目的は、社会経済的ニーズとバランスを取りながら、環境を保護し、変化する環境状態に対応するための枠組みを組織に提供する」ものとISO14001 0.2章「環境マネジメントシステムの狙い」に記載されています。
最初に、なぜ環境問題を考えていかなければならないのか、地球に何が起こっているか、について
考えてみましょう。
ちなみに、ISO14001の読み方は(アイエスオーイチマンヨンセンイチ)です。
環境マネジメントシステムを略して「EMS」(イーエムエス)と呼ばれたりもします。
地球の環境問題からISO14001認証は始まっている
世界の人口は急増しており、国連の予想では、2050年には、97億人くらいになるだろうと言われています。
しかし、地球に住める人は、75億人くらいまでとも言われ、人口が増加し、ライフスタイルが変化したことにより、資源やエネルギーを大量消費し、無限と思われた資源やエネルギーが減少し、
大気汚染など引き起こし、地球環境が悪化してきています。
これは、1972年に「成長の限界」としてローマクラブにより発表され、人口、資源、経済成長の有限性を指摘したものです。
現在、地球問題として、地球温暖化、オゾン層の破壊、酸性雨、熱帯林の破壊、砂漠化の拡大・進行、野生動物種の減少など、様々な問題が発生し、我々の生活を脅かしています。
地球環境問題に関して、国際的にも国内も様々な取組みが行われていますが、その取組みの一つとして、1996年9月にISO14001が発行されました。
ISO14001は、1992年に英国で発表された環境マネジメントシステム規格BS7750(1994年1月に発行)と1993年7月に施行されたEMAS(環境マネジメント・監査制度)等を考慮し、作成、日本では、1996年10月にJIS Q14001が制定されました。
ISO14001環境マネジメントシステムは経営者が環境保護に対する方針や目標を達成するための仕組み
ISO14001では、環境マネジメントシステムに対する要求事項(80の”shall”(しなければならない)が記載され、認証審査の基準として使われます。
環境マネジメントシステム(EMS)は、経営者がISO14001を活用し、設定した方針・目標を効果的に達成していくための仕組みになります。
世界自然保全戦略(1980年)で用いられた「持続可能な発展(Sustainable Development)」という言葉は、環境と経済の持続的両立を求める概念であり、ISO14001は、持続可能な発展を目指し、
資源を効率的に活用し、循環型社会を形成しようという取組みを経営の一環として取り組むための要求事項となります。
経営者はISO14001を取り入れて環境にやさしい企業を目指すべき
ISO14001を適用することは、環境リスクの低減のためのマネジメントを行い、環境改善を通じて利益を上げ、企業の存在価値を高めることにもつながっていくと思います。
4月の真夏日、降雪、ゲリラ豪雨など異常気象、オゾン層破壊による皮膚がん、PM2.5による大気汚染など多くの環境問題が毎日のように報道されています。
これからも企業として成長していくために持続可能な発展、循環型社会を考えるために環境保護に取り組む時ではないでしょうか。
ISO14001の考え方を取り入れて、環境にやさしい企業を目指していく時だと思います。
ISO14001の取得はコンサルにお任せください
以上、今回もISO14001については当社のコンサルタントが解説しました。
正直なところ、余裕のある会社ならISOの新規取得や更新は自社でもできます。
ただ、弊社のようなISO取得コンサルタントを入れた方が、無駄な作業に社員が関わらなくなるため、長い目で見ると結果的に安く済みます。
社員の皆さんは本来の事業に注力できるため売り上げ増につながるのです。これは間違いありません。
また、当社のコンサルタントであれば皆さまの事業に活用できるISOに作り変えるため、経営改善にも絶対に役立つはず。
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YouTube動画でISO14001について解説しています!ぜひご覧ください。
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2018/04/17
ISO45001について 第6回 「6 計画」取組みの計画策定
こんにちは、ISOコム マネジメントコンサルタントの小川 次郎です。
このブログにアクセスしていただき、ありがとうございます。
前回は、ISO 45001「6 計画」の前半についてお話させていただきました。
「危険源の特定」と「リスク及び機会」の事例を交えての内容は理解されましたでしょうか。
今回はこの項の続き「6.1.3 法的要求事項及びその他の要求事項(順守義務)の決定」と「6.1.4 取組みの計画策定」についてです。
まず、ISO45001「6.1.3 法的要求事項及びその他の要求事項(順守義務)の決定」です
組織の規模や業務プロセス(工程)の多さにもよりますが、
組織の規模もそんなに大きくもなく、業務プロセス(工程)も10プロセス位迄なら、
業務プロセス(工程)毎に必要な資格、届出事項、許可申請事項、点検必要事項、顧客からの指示事項(製品仕様、業務仕様等)を拾い出し、
該当する法令・条文名、担当部署名(担当者名)を一覧表にまとめるのが漏れがなくて良いでしょう。
当然、今までも何らかの形で法令順守をしてきておられているはずなので、それらを改めて取りまとめることになると思います。
どうしても不明な事項は、地域の労働基準監督署あるいは労働安全衛生コンサルタント、
社会保険労務士に問い合わせるのも良いですね。
次に、ISO45001「6.1.4 取組みの計画策定)」についてです。
考え方としては、前項で拾い出した危険源及び各リスク並び各機会、順守義務に対する管理策(案)を決定して、必要な資源(人員、施設、機器、資材、教育・訓練等)、タイムスケジュール、監視(チェック)方法、評価方法を決めれば計画の完成といえます。
しかし、危険源及び各リスク並び各機会、順守義務に対する管理策(案)をすべて網羅した計画で
なくとも、目的目標に展開するもの、教育・訓練計画、手順書等による運用計画、モニタリング等の計画にて展開していくものに仕分けをして、個別に計画をしても良いですね。
当然この過程で、管理策(案)に無理がある場合(技術上の選択肢、並びに財務上、運用上及び
事業場の要求事項上の問題)は、管理策の優先順位を考え変更を行っていくのが良いでしょう。
特に規格では「①決定したリスク及び機会に取り組む、②順守義務に取り組む、③緊急事態への
準備をし、対応する」としている。このことを意識して、前述の作業をするとより上手くいくのではないでしょうか。
どうですか、多少は理解が深まったでしょうか。
次回はISO 45001「6 計画」の最後の「6.2 OH&S目標及びそれを達成するための計画策定」です。
目標の計画策定までできると、計画策定の段階で、後の「7.支援」「8.運用」
「9.パフォーマンス評価」を意識して、計画を策定しているはずなので、このシステムは概ね
完成したようなものです。
次回はこのシステム(PDCA)を文字通り支援していく「7.支援」についてです。
【ISO45001についての記事】
【第1回】 ISO45001:2017の発行の動向と既存のシステムとの大きな変化
【第7回】「6 計画」「6.2 OH&S目標及びそれを達成するための計画策定」
【第8回】「7 計画」 「7.1 資源」「7.2 力量」「7.3 認識」
【第9回】「7 計画」 「7.4 コミュニケーション」「7.5 文書化した情報」
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2018/04/16
第1回 JISQ15001:2017改正の変更点
こんにちは。今回は、JISQ15001:2017改正の変更点をお話しします。
2017年12月20日にJISQ15001:2017が公表され、JISQ15001:2006から11年ぶりに改訂されました。
厳密に言えば、ご存知のようにJISQ15001は解説のみ2011年に改訂されていますので、
本文の方は11年間改正の必要がなかったとことだと思います。
しかし、2017年5月30日の改正個人情報保護法が全面施行されましたので、それに合わせて
改訂されることになったと思います。
また、番号法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)の運用が
すでに始まっていることも関係しているようです。
これは、2005年の個人情報保護法の全面施行に合わせた形で、JISQ15001:1999がJISQ15001に
改訂された状況とよく似ていますね。
JISQ15001:2017年度版改正の変更点
JISQ15001:2017のJISQ15001:2006からの変更点と概要は、
以下の通りです。
①他のISO規格と体裁を合わせた。
例えば、現在のJIS規格は要求事項と解説で構成されていますが、改訂されるJISは要求事項、
付属書A~Dの5つに分けられております。
要求事項は概論だけですが、個人情報保護方針を内部向けと外部向けの2種類を作成する事や
力量などについての内容が追加になっています。
付属書Aが従来のJIS規格の内容になっています。項番も頭にAが付きますが、内容は少し変更になっています。
付属書Bは参考となっており元の解説で、現在の解説を踏襲しているようです。
一部内容などが簡略されていたりしており、事業者が混乱を起こすかも知れません。
付属書Cも参考となっておりますが、従来のJIS規格にはなかった具体的な安全管理策がまとめられて
います。
付属書Dは新旧対比表です。
②用語を、改正個人情報方法に合わせた。また定義も極力改正個人情報に合わせた。
例えば、従来個人情報の定義は、個人情報保護法が生存している者のみが対象であったのに対して
JIS規格は死者も含んでいたが、今回からは個人情報保護法に合わせるため、生存者のみが
対象と修正されました。
③その他の修正
用語を他のISO規格と合わせて影響で、一部の表現が修正になっています。
例えば“代表者”は“トップマネジメント”、“点検”は“パフォーマンス評価”、“代表者による見直し”は
“マネジメントレビュー”と表現が変わっています。
さて、事業者の皆様にとって、JIS規格の変更内容も気になると思いますが、現在運用している
個人情報保護マネジメントシステムやその規程文書にどのように反映すべきなのかが
最も気になる点だと思います。
一つの目安が、どのように現在の内容を変更すれば更新が可能になるかだと思います。
これに関しては、JIPDECから更新に関する情報が公表されています。
https://privacymark.jp/system/operation/jis_kaisei/update.html
https://privacymark.jp/system/operation/jis_kaisei/jdi6lq0000000gdq-att/jis2017_schedule_update.pdf
これによれば、2018年7月までは、現行審査基準に基づき受審、2018年8月から2020年7月までは、
現行審査基準でも新審査基準どちらでも受審が可能ということで、現行のままでもあと一回更新は
出来そうです。
しかし、“運用の記録(従業者の教育や代表者による見直しなど)は、申請書類提出までに
新内部規程に基づくものが無い場合、継続的改善事項に準じる指摘とし、次回の更新審査時に
確認をします。”と注記がありますので、出来る限り2018年8月からは新審査基準で審査を受けた方が
良いと思います。以上、JISQ15001の2017年度版改正の主な変更点でした。
まとめ
いかがでしたか?変更点。大きくは文書表現、少しずつ要求自体の変更があるようです。移行期間内に、理解しないままで審査を受けてしまうと、変更点毎に指摘になってしまいそうですね。
ISOコムのコンサルでは、皆さんの仕事に合わせて無理のないスリムなシステムを作ります。当然今回の変更についても最低限カバーし、本業への負担を最低限にするのでご安心ください。
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JISQ15001(プライバシーマーク)改正についての具体的要求事項は以下のリンク先に記載しております。
2018/04/10
ISO14001:2015版解説 8.1項 運用の計画及び管理とは
こんにちは。ISOコム マネジメントコンサルタントの亀田 昭子です。
今回のブログでは、ISO14001(EMS)8.1「運用の計画及び管理」の要求事項とその対応について、考えていきたいと
思います。
ISO14001:8章の「運用」は、PDCA(Plan-Do-Check-Action)のDoになります。
6.1章で特定した著しい環境側面、順守義務、リスク及び機会から立案した取組み計画(6.1.4章)と
環境目標(6.2.2章)を達成するための運用プロセスを確立することが、8.1.1章「運用の計画及び管理」に
要求されています。
プロセスの確立、実施、管理、維持のために必要なものとはどのようなものでしょう?
必要なものとしては、運用基準を含めた実施手順や関連技術の確立、設備などになります。
もしプロセスの一部を外部に委託されている場合は、外注先の管理も必要となります。
ISO14001:2015版では、ライフサイクルの視点に従って実施することが要求されているため、
社内での活動のみを考えるのでは不十分となります。
※【参考】ISO14001:2015年度版改訂のポイントについてはこちらをご覧ください。
例えば製造会社で塗装を外部委託している場合は、その塗装プロセスを含めての運用管理を決める必要が
ありますし、製品の輸送を外部委託している場合も輸送プロセスでの運用管理を考える必要があります。
具体的には、どのような運用手順を確立しなければならないでしょうか?
2015年版のISO14001の7.5章では、何を手順として作成するか、組織が決めることになっています。
どのような運用手順を確立するかを考えるために、今回のブログでは、まずプロセスについて
少し考えてみたいと思います。
ISO14001付属書A8.1にプロセスの有効性を保証するためのプロセス運用管理方法が例示されています。
・誤りを防止し、矛盾のない一貫した結果を確実にするような方法で、プロセスを設計する。
・プロセスを管理し、有害な結果を防止するための技術を用いる。
・望ましい結果を確実にするために、力量を備えた要因を用いる。
・規定された方法(手順)でプロセスを実施する。
・結果を点検するためにプロセスを監視又は測定する。
・必要な文書化した情報の使用及び量を決定する。
このようなことを考慮してプロセスを確立する必要がありますが、一つの例でプロセスの分析について
考えてみましょう。
プロセスの分析を行う場合、どのように考えるといいでしょうか?
あるプロセスに対するインプット、アウトプット、誰が(人的資源)、何によって(設備等物的資源)、
どの様に(運用方法や評価方法)等を考えてみると分かり易いとお思います。
例えば、廃棄物管理プロセスを考えてみると下記が考えられます。
インプット:不要物(有価物も)
アウトプット:廃棄物、リサイクル品
誰が(人的資源):法的資格を持つ者、法的知識・経験を持つ者など
何によって(物的資源):廃棄物置き場、廃棄物置き場看板、廃棄物容器、計りなど
どの様に(運用方法):社内廃棄物処理手順(社内置き場、掲示板表示内容、マニフェスト発行、
報告方法など)
どの様に(評価基準):排出量、リサイクル率、廃棄物削減率、法令順守など
一例ですので、皆様の著しい環境側面や環境目標として設定したものについて、プロセスを考えてみると
運用の手順として何が必要か見えてくると思います。
次回のブログでは、具体的な運用の計画及び管理について検討してみたいと思います。
今回の記事はいかがでした?
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【ISO14001に関する過去記事】
4.1項「組織及びその状況の理解」、4.2項「利害関係者のニーズと期待の理解」、6.1項「リスク及び機会の取組み」について(その1)
4.1項「組織及びその状況の理解」の「内部及び外部の課題」について(その2)
4.2項「利害関係者のニーズと期待の理解」について(その3)
2018/04/09
ISO45001について 第5回 「6 計画」リスク及び機会への取組み
こんにちは、ISOコム マネジメントコンサルタントの小川 次郎です。
このブログにアクセスしていただき、ありがとうございます。
前回は、ISO45001「5 リーダーシップ及び働く人の参加」についてお話させていただきました。
今回は、ISO45001「6 計画」リスクと機会についてです。
ここでは、ISO45001の4項で決定した組織の内外の課題、働く人及びその他の利害関係者のニーズ及び期待、OH&Sマネジメントシステムの適用範囲を考慮して、意図した成果(“働く人の労働に関係する負傷及び疾病を防止すること”及び“安全で健康的な職場を提供すること”)を達成するために実施する(実施するべき)計画に関して書かれています。
この項には次のように多くの項目があり、重要度が高く、このシステムの成否が掛かっていると
言えるのではないでしょうか。
6.1リスク及び機会への取組み
6.1.1 一般
6.1.2 危険源の特定並びにリスク及び機会の評価
6.1.2.1危険源の特定
6.1.2.2 OH&Sリスク及びOH&Sマネジメントシステムに対するその他のリスクの評価
6.1.2.3 OH&S機会及びOH&Sマネジメントシステムに対するその他の機会の評価
6.1.3 法的要求事項及びその他の要求事項(順守義務)の決定
6.1.4 取組みの計画策定
6.2 OH&S目標及びそれを達成するための計画策定
6.2.1 OH&S目標
6.2.2 OH&S目標を達成するための計画策定
6.1項全体では、業務プロセスの中で、日常管理的に実施する(実施するべき)事項に関しての
計画について書かれており、6.2項ではその中でも特に目標管理として実施する事項についての計画に関して書かれています。
6.1項の内容は規格の解釈を述べてもなかなか理解し難いところがあるので、事例で説明しましょう。
【事例:フォークリフトでの運搬作業】
この作業は工場や物流倉庫に限らず、百貨店やスーパーマーケットの荷捌き場所、建設現場等どこでもある作業ですね。
まず、作業手順(分解)に基づき、一般的なリスクアセスメントをして見ました。
フォークリフトでの運搬作業リスクアセスメント
作業 | リスク | 既存の対策 | リスク評価 | リスク低減策 | 措置後のリスク評価 | |||||
重大性 | 可能性
発生
|
優先度 | ||||||||
重大性 | 可能性
発生
|
優先度 | ||||||||
荷置場での荷取作業 | 旋回時に作業員に激突する | 注意喚起の掲示 | 大 | 多 | Ⅲ | 床に作業中立入禁止の明示(トラ模様表示)
フォークリフト特性の勉強会 |
大 | 中 | Ⅱ | |
運搬作業 | 荷が高く、前進走行時に前方の作業員に激突する | 荷が高い場合はバック走行の奨励 | 大 | 並 | Ⅱ | 床に走行路の明示をする
走行ブザーを鳴らす |
中 | 小 | Ⅰ | |
前進中に作業員が飛び出し、急ブレーキにより荷が飛び出し、作業員に荷が激突する | 走行中のパトライトを廻す | 中 | 小 | Ⅰ | 床に走行路の明示をする
走行ブザーを鳴らす |
小 | 小 | Ⅰ | ||
スピードの出しすぎにより、死角から出てきた作業員に激突する | 速度制限を設定 | 大 | 並 | Ⅱ | 死角になる場所の検証、荷の高さ制限等死角を無くす | 大 | 小 | Ⅰ | ||
作業場所での荷降ろし作業 | 旋回時に作業員に激突する | 注意喚起の掲示 | 大 | 多 | Ⅲ | 床に作業中立入禁止の明示(トラ模様表示) | 大 | 中 | Ⅱ |
上記リスクアセスメントから6.1項で要求されている以下のことを想定してみました。
実作業(以下の1)~5)の特定又は抽出作業)は、当然、事務局や安全担当者、実作業に携わる人、管理者の人たちと議論をして、抽出するのが望ましいですよね。
1)危険源(災害発生の元となる主たる要因)の特定
- フォークリフトの旋回
- フォークリフト荷の高さ、視界不良
- フォークリフトの走行速度
- 走行路の死角
- フォークリフトの走行範囲への人(作業員、見学者ほか)の立入
- フォークリフト作業の力量
- フォークリフトの走行路(凹凸、段差、立入禁止措置)
- フォークリフトの点検、作業計画
- 作業員のフォークリフトに対する認識
- 作業環境(作業場所の照度、騒音、労働時間、運転者の体調管理等)
- 災害発生時の対応・訓練
- フォークリフト作業の周知(変更も含む)
2)OH&Sリスク(OH&S上の問題点、危険源と重なるところがある)
- 旋回時に作業員に激突する
- 荷が高く、前進走行時に前方の作業員に激突する
- 前進中に作業員が飛び出し、急ブレーキにより荷が飛び出し、作業員に荷が激突する
- スピードの出しすぎにより、死角から出てきた作業員に激突する
- フォークリフトの走行範囲への人(作業員、見学者ほか)の立入
- フォークリフト作業の力量
- フォークリフトの点検、作業計画
- 作業環境(作業場所の照度、騒音、労働時間、運転者の体調管理)
3)OH&Sマネジメントシステムに対するその他のリスク(OH&Sのシステム上の原因)
- リスク評価への作業者の参加システムの不備
- 対策の周知システムの不備
- 作業員の力量保持体制の不備
- 災害時の対策・措置の周知・訓練不足
- 作業内容の関係作業員への周知不足
- 見学者他、外来者への安全注意周知体制の不備
4)OH&S機会(OH&Sの良化のための取組み)
- 5S運動の促進
- 安全衛生パトロールの実施
- フォークリフト走行路設備(柵、明示、死角の除去)の見直し
- フォークリフト作業計画の見直し
5)OH&Sマネジメントシステムに対するその他の機会(OH&Sのシステムの良化のための取組み)
- リスク評価システムの見直し
- 対策の周知システムの見直し
- 作業員の力量保持体制の見直し
- 災害時の対策・措置の周知・訓練の見直し
- 作業内容の関係作業員への周知方法の見直し
- 見学者他、外来者への安全注意周知体制の見直し
リスク及び機会の評価方法は、規格上は特に定めはありません。
OH&Sリスクの評価はすでに組織の中で、リスクアセスメントを実施されているようでしたら、
それを利用されるとよいと思います。その他の各リスク及び機会に対しても、
「結果の重大性(大きさ)」と「発生の可能性」、「優先度」で評価し、「取組みの計画策定」をすると良いのではないでしょうか。
今回は少し長くなりましたが、ここまではご理解されましたでしょうか。
実際の作業で試してみられると理解が速いのではないでしょうか。
次回は「6 計画」の残りの部分について説明しましょう。
【ISO45001についての記事】
【第1回】 ISO45001:2017の発行の動向と既存のシステムとの大きな変化
【第7回】「6 計画」「6.2 OH&S目標及びそれを達成するための計画策定」
【第8回】「7 計画」 「7.1 資源」「7.2 力量」「7.3 認識」
【第9回】「7 計画」 「7.4 コミュニケーション」「7.5 文書化した情報」
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2018/04/02