【いつまでに対応?】ISO14001:2026年度版改訂の変更点・最新情報
投稿日:2025年11月30日 最終更新日:2025年11月30日

みなさんこんにちは!ISOコム株式会社 芝田 有輝です。
今回は、ISO14001:2026改訂について、お話ししてみたいと思います。
では早速、いってみましょう!
Contents
結論
ISO14001:2026は2026年1~3月頃に正式発行予定で、発行後3年間の移行期間内に新規格での審査合格が必要となりそうです。
改訂の焦点は、気候変動対応や生物多様性、ライフサイクル視点、サプライチェーン管理の強化に加え、内部監査の実効性やデータ利活用の拡充です。
企業は環境マニュアル改訂、内部監査員養成、運用実績確保、マネジメントレビュー実施を計画的に進める必要があり、
審査準備は、文書修正後の運用期間を考えると、遅くとも受審の6~8か月前から開始することが望まれます。
2026年版ISO14001はいつ発行されるのか?
2026年1~3月頃にISO14001:2026として発行される見込みです。
現在の改訂作業状況
ISO14001規格は、ISO(国際標準化機構)の TC207委員会 にて協議されています。
現在は、DIS(ドラフト国際規格)が発行済みです。
今後の改訂作業スケジュール
- 2025年 :DIS(ドラフト)版発行 済
- 2026年12月頃 :FDIS(最終国際規格案)版 発行予定
- 2026年1~3月頃:ISO14001:2026 正式 発行予定
- ISO14001:2026 正式発行数ヶ月後 :JISQ14001:2026(日本語訳) 発行予定
いつまでに改訂へ対応する必要があるか
過去のISO14001改訂(例:2015版)を振り返ると、
既に認証を受けている企業は、新規格発表後3年間以内に新規格での審査合格が必要となる可能性が高いです。
よって、2026年1月発表と仮定すると、
2026年1月~2028年12月までに新規格での審査合格が必要となる見込みです。
例:毎年10月に審査を受ける企業の場合
- 2026年10月
- 2027年10月
この2回が新規格での審査チャンスとなります。
恐らく、これ以降ですと審査を受け付けてくれない可能性があります。
ISO14001改訂の頻度と履歴
ISO14001は1996年に初版が発表されました。
その後の改訂履歴は以下の通りです:
年度 改訂版
1996 初版
2004 改訂
2015 改訂
2026 改訂予定
これらを見ますと、おおよそ 10年周期で改訂されていると言えますね。
改訂の背景と全体的な方向性
まず、ISO14001改訂の背景と、今回の改訂がどのような方向で進められているのかを整理します。
現在、ISO14001は2015版(ISO 14001:2015)に基づいて運用されていますが、世界では「気候変動」「自然資本」「サプライチェーン」「ライフサイクル視点」など、環境マネジメントに関する社会的要請がこれまで以上に強まっています。
企業に求められる役割も、単なる環境負荷削減にとどまらず、気候変動対応や生物多様性保全、サプライチェーンの環境管理といった、より広い環境価値を扱う方向へ広がっています。
国内においても、環境マネジメントシステムを経営課題やリスクマネジメントと一体化させる流れが強まっており、ISO14001の役割はより“経営との連動性”が重要視される段階に入っています。
こうした背景を踏まえると、ISO14001:2026の改訂は大幅な構造変更というよりも、
運用実効性の強化、経営との結びつきの明確化、環境テーマの拡張
を目的としたアップデートと捉えことができそうです。
気候変動、生物多様性、ライフサイクル思考、サプライチェーン管理といった領域が強化される方向性が示されており、企業にとっても環境マネジメントの取り組み方を一段レベルアップさせる好機といえます。
■ 改訂における主な共通項
ここからは、2026年版ISO14001の改訂内容をより深く理解するために、国内外の情報を踏まえつつ、改訂案(DIS)で示されている重要ポイントを整理しましょう。
これらは、企業が改訂への準備を進める際、「まず何を押さえるべきか」を判断する大きなヒントとなるかなと思います。
(1)気候変動および適応/緩和対応の強化
改訂案では、従来の環境側面・リスク・機会の設定に加えて、気候変動への適応・緩和が明確な要素として位置づけられています。
自然資源、生物多様性、汚染といった視点も含め、企業は温室ガス排出や移行リスク、物理的気候リスクに対して、これまで以上に戦略的な取り組みが求められそうです。
重要なのは、気候変動対応を単なる報告ではなく、経営判断に組み込むべき“リスク・機会”として扱う必要があることです。
(2)ライフサイクル視点およびサプライチェーン管理の強化
従来からISO14001ではライフサイクル思考が求められていましたが、ISO14001の2026年版ではその重要度がさらに高まりそうです。
調達・設計・製造・使用・廃棄までのライフサイクル全体での環境側面の特定・管理が明確に要求される方向です。
また、外部提供プロセス(外注・サプライヤー)および提供された製品・サービスに対する管理強化も進んでおり、「アウトソーシングされたプロセス」という表現が、「外部提供されたプロセス、製品、サービス」へ見直される見込みです。
従来よりも要求が明確になり、企業は、自社内部だけでは不十分で、バリューチェーン全体の環境影響を把握し、管理すべきであることが明確になったということです。
特に調達段階と廃棄段階の環境管理等は、今後さらに重視されそうです。
(3)内部監査・パフォーマンス評価・継続的改善の実効性向上
今回の改訂案では、「運用の実効性(effectiveness)」がキーワードとして前面に出ています。
内部監査は、形式的なチェックに終始するものではなく、“目的を持ち、システムの有効性を評価する監査” が求められます。
パフォーマンス評価においても、実効性という概念が明確に位置付けられ、
管理レビューのインプット・アウトプットの質、データの扱い、改善のサイクルなどが厳密に求められます。
企業は内部監査では、以下の点を見直しすると良さそうです:(ISOコム意見)
- 監査員の力量向上 監査を受ける部門の業務を理解した上で、書面や記録のチェックだけではなく、作業現場でルールや法律と、実際のギャップに気づき、指摘できる等
- 実効性を踏まえた監査計画 形式的ではなく、監査を受ける部門の業務を理解した上で監査ができる等
- 指摘事項の活用と改善 不適合や改善指摘を出した後のフォローアップ体制の確立と運用、仕組みの改善の程度等
- KPI管理・トレンド監視 プロセス監視面をより具体的に行う
内部監査は今後、運用レベルを大きく左右する要素になりそうですね。
(4)デジタル化・データ利活用・用語整備
環境データの扱いは、改訂版でさらに重要度が増しそうです。
自社で重要と決めた環境データを 正確・透明・アクセスしやすい状態で管理できる仕組み が求められます。
データの可視化や分析を可能にするデジタル基盤も重視され、企業の環境パフォーマンス管理を定量的に進めるための体制整備が求められそうです。
また、ISO9001をはじめとした他規格との整合性を高めるため、用語や構造の見直しも行われる見込みで、従来の環境マニュアルや規定、帳票類の一部修正が必要になる可能性がありそうです。
(5)自然資本・生物多様性の視点導入
ISO14001の2026年改訂で特に注目されるのが、自然資本(natural capital) と 生物多様性(biodiversity) の扱いが拡張される点です。
環境側面の捉え方は、
「排出・廃棄・資源使用」といった直接的な影響だけでなく、
生態系への影響や資源枯渇、生物多様性の喪失などを含む広い概念
へと移行していきそうです。
企業は、
事業活動が自然環境へ与える影響と依存関係を把握し、管理の中に組み込む体制づくり
が必要になる可能性があります。
自然資本や生物多様性は、今後の環境マネジメントで重要テーマとなる可能性があります。
新規格審査合格までの準備
新規格での審査を受ける場合には、そこから遡って、スケジュールを組む必要があります。
審査に合格するための必須条件としては、以下が考えられます。
- ISO14001:2026年版の新規格でマネジメントシステムを構築していること。
文書化要求があるかはこれからを注視する必要がありますが、一般的には、社内ルールの明確化や審査を受けやすくするためにも、環境マニュアルの改訂をしておくことが無難かなと思います。
- 新規格での運用実績があること。
運用期間の縛りは不明ですが、一般的には3ヶ月程度が必要です。
- 新規格での内部監査員を養成していること。
内部監査実施の1~2ヶ月前に行うと良いでしょう。
既存の内部監査員向けには、規格の差分と、それを受けた社内ルールや帳票の使い方等の教育で十分でしょう。
- 新規格での内部監査を実施していること。(審査の2~3ヶ月前)
基本的には、全部門が求められますが、大規模、多数の事業拠点がある場合などは、例えば3年間の2026年度版での監査計画を通じて全部門の監査を終了する内容のものがあればいいかなと思います。
- 新規格でのマネジメント・レビューを実施していること。
審査の1~2ヶ月前に実施しておけば良いでしょう。
上記を踏まえますと、新規格での受審の8ヶ月~遅くとも6ヶ月前くらいから、規格の変更に基づく環境マニュアルの改訂作業を開始しておくと無難かなと思います。
審査機関への連絡
恐らく、皆さんの会社を毎年審査している審査機関から、新規格での審査をいつ受けるかという打診がくると思いますが、オススメは、最終年度を避けることです。
万が一、新規格での審査に合格しなかったとしても、従来規格では問題なければ、従来の2015年度版で一旦認証を継続して、次年度に再度チャレンジすることも出来ます。
コンサルタントの利用
そうならないように、コンサルタントを利用する手もあります。
ISO取得支援専門コンサル会社の利用 ISO14001の2026年版規格改定に際しては、弊社のようなコンサル会社を利用することをオススメします。
というのも、必要最小限の幅で品質マニュアルの改定作業、新規格対応の内部監査員の教育、新規格での内部監査の支援、マネジメント・レビューの支援、審査での指摘フォロー等を通じて、安心して、新規格合格までをサポートしてもらえるからです。
また、上記の支援の内で、時に自社で不足する箇所のみ(例えば、環境マニュアルの改訂、内部監査員の養成まで)の、スポット対応をしてもらうだけでもいいかもしれません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今後、ISO14001の2026年版について更に新しい改正情報が入り次第、最新の動向をアップデートして参ります。
時々、ISOコムのサイトをご覧いただけますと幸いです。
ISOコムへのお問い合わせ
今後の改訂によっては、当社のようなコンサル会社にお問い合わせが殺到する可能性があります。
そのため、安心してISO9001の改訂を終えたいというお客様は、事前に弊社へのコンサル依頼をご予約することもご検討ください。
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