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FSSC 22000 Version 7とは?V6からの変更点と、食品メーカーが今すぐ取り組むべき実務対策

投稿日:2026年9月2日  最終更新日:2026年9月4日

2026年5月、FSSC 22000 Version 7.0(以下、V7)が正式に発行されました。

 

現在、FSSC 22000 Version 6.0(以下、V6)の認証を取得している食品メーカーでは、

「V7では何が変わったのか」

「今の仕組みをどこまで見直す必要があるのか」

「移行審査に向けて、いつから準備すればよいのか」

といった疑問や不安を感じているのではないでしょうか。

 

今回の改訂は、単に規格の版数や文書番号を書き換えるだけのものではありません。

前提条件プログラム(PRP)の規格体系そのものが変わり、原料・製品仕様書の管理、ラベル・印刷管理、食品防御、食品偽装、食品安全文化、包装設計といった項目についても、「実際の業務の中でどう管理し、どう運用しているか」がこれまで以上に厳しく問われます。

 

そこで今回のブログでは、FSSC 22000 Version 7の背景とタイムライン、V6との主な変更点、審査で不適合にしないための実務対策、そして移行審査をスムーズに進めるためのステップを、実務目線で解説します。

 

新規でFSSC 22000の取得をご検討中の企業様へ

この記事は、主にV6を既に運用している企業様の「V7移行」を想定した内容です。

これから新規でFSSC 22000の取得を検討されている企業様は、V6からの移行を考える必要がない分、はじめから最新のV7要求事項に沿った仕組みを構築できるという利点があります。

 

実際、本記事で紹介しているPRP規格体系(ISO 22002-100+ISO 22002-1)や食品安全文化、包装設計などの考え方は、これから取得する企業様にとっても、最初から押さえておくべき土台になります。

 

一方で、取得のご検討にあたっては、認証取得のメリットや審査の流れ、取得までにかかる期間や費用感、必要な社内体制の整え方など、この記事とは別に確認しておきたい情報も多くあります。

移行と新規取得では課題や優先順位が異なるため、1本の記事で両方を十分に扱うことは難しく、新規取得をご検討の企業様向けの解説は別記事にて改めてご紹介する予定です。

 

取得の進め方について個別にご相談されたい場合は、お気軽に弊社までお問い合わせください。

 

① FSSC 22000 V7改訂の背景とタイムライン(移行期限)

V7改訂の背景

V7改訂の背景には、食品業界を取り巻く次のような環境変化があります。

 

  • ・GFSIベンチマーキング要求事項(GFSI Benchmarking Requirements 2024)への対応:GFSI承認スキームとして維持されるために、FSSC自体もGFSIの最新基準に合わせて改訂する必要があった
  • ・食品ロス削減への社会的要請:世界的な食品ロス削減の流れを受け、製品設計・包装設計の段階から配慮することが求められるようになった
  • ・環境負荷を考慮した包装設計の必要性:環境配慮と食品安全を両立させる設計管理の視点が新たに加わった
  • ・サプライチェーンの複雑化:原材料調達や委託先が多層化する中で、供給者管理や仕様書レビューの実効性がより重視されるようになった
  • ・アレルゲン事故や交差汚染リスクへの対応:一覧表の整備だけでなく、現場での運用実態まで確認する方向へ要求が強化された
  • ・食品防御・食品偽装対策の強化:脅威評価・脆弱性評価を作成するだけでなく、担当者の知識と力量が明確に問われるようになった
  • ・食品安全文化を現場に定着させる必要性:計画や目標の設定にとどまらず、行動として定着しているかの確認が求められるようになった

 

これらの課題に対応するため、V7では特にPRP(前提条件プログラム)の規格体系が大きく見直されました。

2025年にISO 22002シリーズが改訂され、食品製造、包装材、ケータリングなど複数の業種に共通するPRP要求事項をまとめた「ISO 22002-100:2025」が新設されています。

食品製造業の場合、V6で使用していた「ISO/TS 22002-1:2009」単独の体系から、V7では「ISO 22002-100:2025+ISO 22002-1:2025」を組み合わせた体系に変わりました。

 

「うちは食品工場だからISO 22002-1だけ確認すればよい」という理解は誤りです。V7移行では、Part 100とPart 1を合わせて一つのPRP要求事項と考える必要があります。

 

そもそもFSSC 22000は何で構成されているのか

図解

背景を正しく理解するために、FSSC 22000の全体構成を確認しておきましょう。

FSSC 22000は、FSSC独自の要求事項だけで構成されているわけではなく、基本的には次の3つを組み合わせた認証スキームです。

  1. 1.ISO 22000(食品安全マネジメントシステムの国際規格)
  2. 2.PRP規格(前提条件プログラム)
  3. 3.FSSC 22000追加要求事項

 

V7でも①のISO 22000については、引き続き「ISO 22000:2018」が使用されており、ISO 22000そのものが今回改訂されたわけではありません。

大きく変わったのは②のPRPで、食品製造業であれば「ISO 22000:2018+ISO/TS 22002-1:2009+FSSC追加要求事項」だった構成が、「ISO 22000:2018+ISO 22002-100:2025+ISO 22002-1:2025+FSSC追加要求事項」に変わります。

 

つまり、土台となるマネジメントシステムの枠組みは維持しつつ、現場の衛生管理を規定するPRPの部分が最新化された、という理解が実務上は分かりやすいでしょう。

 

V6からV7への移行タイムライン

図解

V6からV7への移行には、次のとおり移行期間が設けられています。

 

  • 2027年4月30日まで:V6による審査が可能
  • 2027年5月1日~2028年4月30日:V7へのアップグレード審査を実施
  • 2028年6月30日まで:V7への認証手続きを完了(V6は失効)

 

つまり、2026年度から2027年4月末までの約1年間は、認証企業にとっての「V7準備期間」です。

V7へのアップグレード審査は、通常のサーベイランス審査または更新審査に合わせて実施され、V7移行だけを目的とした単独審査を別途受ける仕組みではありません。

 

ただし注意したいのは、アップグレード審査が必ず事前通知されるとは限らない点です。FSSCでは3年間に少なくとも1回の非通知審査が義務付けられており、タイミングによってはV7アップグレード審査そのものが非通知審査になる可能性があります。

 

また、アップグレード審査はV6との差分だけを見る審査ではなく、V7要求事項全体を対象とした「フル審査」です。「変更されたところだけ直しておけばよい」という考え方は危険です。

 

準備期間があるように見えても、実務上は規程類の改訂だけでなく、リスク評価、現場運用、教育、記録、内部監査まで一通り実施する必要があります。

審査直前になってから対応を始めると、形式的な仕組みになりやすいため、早めの着手が重要です。

 

② ここが変わる!V6からV7への主要な変更点と比較

食品製造企業への影響が大きい項目を中心に、V6とV7の違いを整理します。

PRP規格体系

  • ・V6では:ISO 22000:2018+ISO/TS 22002-1:2009+FSSC追加要求事項という構成
  • ・V7では:ISO 22000:2018+ISO 22002-100:2025+ISO 22002-1:2025+FSSC追加要求事項という構成に変更
  • ・企業が確認すべきこと:PRPに関する規程・チェックリストを、ISO 22002-1だけでなくISO 22002-100も対象に含めて全面的に確認する
  • ・見落としがちなリスク:ISO 22002-1の内容は「ISO 22002-100に従って管理する」という記載が多くを占めるため、ISO 22002-100を入手せずに対応を進めると土台の部分が抜け落ちる

原料・製品仕様書の管理

  • ・V6では:仕様管理に関する要求はあったが、レビューの頻度や方法は明確でなかった
  • ・V7では:原材料仕様書・最終製品仕様書を継続的にレビューするプロセスの確立・実施・維持が明確化された
  • ・企業が確認すべきこと:レビューの方法・頻度・記録を整備し、法令基準がない自社基準値については科学的根拠を説明できるようにする
  • ・見落としがちなリスク:レビューの実施記録がなく、「昔から変えていない」という運用のまま審査を迎えるケースが多い

ラベル・印刷管理

  • ・V6では:印刷管理の要求は、主に包装材を専門に印刷するCategory I(包装材製造業)向けという印象が強かった
  • ・V7では:自らラベルや印刷物を発行・印刷する組織へも適用範囲が明確に拡大された
  • ・企業が確認すべきこと:工場内で発行する商品ラベルや一括表示ラベル、包材への印字なども対象に含め、版管理・旧版廃止・照合方法を確認する
  • ・見落としがちなリスク:「印刷業ではないから対象外」と考え、社内で発行しているラベルの管理体制が未整備のまま残っている

食品防御(Food Defense)・食品偽装対策(Food Fraud)

  • ・V6では:脅威評価・脆弱性評価と、それぞれの計画書の作成が求められていた
  • ・V7では:計画の存在に加えて、評価・計画を作成し維持する担当者に、十分な知識と力量があることが明確に求められるようになった
  • ・企業が確認すべきこと:担当者が脅威・脆弱性の考え方を説明できるか、評価の実施根拠を教育記録などで示せるかを確認する
  • ・見落としがちなリスク:計画書自体は作成済みでも、担当者の異動後に力量の引き継ぎができておらず、内容が形骸化している

食品安全・品質文化

  • ・V6では:食品安全・品質文化に関する目標や活動計画の設定が中心だった
  • ・V7では:経営層による十分な資源提供と、全従業員の明確なコミットメントの確保が明記された
  • ・企業が確認すべきこと:教育や掲示物の実施状況だけでなく、衛生ルール遵守率やヒヤリハット報告件数など、行動の変化を示す指標で有効性を確認する
  • ・見落としがちなリスク:年1回の教育やアンケートの実施をもって「文化醸成済み」と判断してしまい、現場の行動変化まで確認していない

包装設計とFood Loss & Waste(食品ロス・廃棄物)

  • ・V6では:製品設計・開発において、食品安全・品質・法令・顧客要求事項への適合確認が中心だった
  • ・V7では:一次包装や包装材料を自社で設計する組織に対し、食品ロス削減や持続可能性を考慮した包装設計の視点が新たに求められるようになった
  • ・企業が確認すべきこと:包装変更時のチェックリストに、保存性・輸送耐性・開封性・過剰包装の有無などの項目を追加する
  • ・見落としがちなリスク:環境配慮を優先するあまり包装材を薄くし、ピンホールや破袋の増加といった食品安全リスクを高めてしまう

審査の考え方

  • ・V6では:V6要求事項を基準に審査が行われていた
  • ・V7では:V7要求事項全体を対象としたフル審査となり、非通知審査になる可能性もある
  • ・企業が確認すべきこと:「差分だけ対応すればよい」という考え方を改め、日常運用としてV7要求を定着させておく
  • ・見落としがちなリスク:審査直前に変更点だけを慌てて修正し、それ以外のV6から継続している要求事項の運用状況を再確認していない

 

この一覧から分かるように、V7は「まったく新しい仕組みを大量に作る」改訂というよりも、V6で構築してきた仕組みを、新しいPRP体系とGFSI 2024要求に合わせて再整理し、実際の運用まで確認する改訂と捉えると分かりやすくなります。

 

③ 審査で「不適合」にしないための具体的な実務対策

V7への移行では、「手順書を改訂したから対応完了」と考えないことが重要です。

アップグレード審査はV6とV7の変更点だけを確認する差分審査ではなく、V7要求事項全体を対象としたフル審査です。

 

要求事項を読み落としていた、文書は変更したが運用していなかった、V7で要求される根拠を説明できなかった、といったケースは実際の不適合につながる可能性があります。

以下のような事例を想定して、自社の移行状況を確認しておきましょう。

 

1.規格番号を書き換えるだけではダメ

「ISO/TS 22002-1:2009」を「ISO 22002-1:2025」に書き換えただけでは、V7対応にはなりません。規格の構成だけでなく、FSSC追加要求事項にも変更があります。

 

不適合となり得る具体例

品質マニュアルや一般衛生管理規定の引用規格を「ISO/TS 22002-1:2009」から「ISO 22002-1:2025」へ変更した。

しかし、V6とV7の要求事項のギャップ分析を行っておらず、工場内で自ら印刷している商品ラベルについて、V7で求められる印刷・アートワーク管理を確認していなかった。

現場では、旧版ラベルと新版ラベルが同じ場所に保管されており、旧版の廃棄記録やライン切替時の確認記録もない。

 

この場合、「文書上はV7へ変更されているが、新たに適用される要求事項が実際の仕組みに反映されていない」として不適合になる可能性があります。

規格番号を変更することではなく、要求事項ごとのギャップ分析を実施することが重要です。

 

2.ISO 22002-100を忘れない

食品製造業では、ISO 22002-100:2025とISO 22002-1:2025の両方が適用されます。ISO 22002-1だけを確認していると、共通PRP要求事項を見落とす可能性があります。

 

不適合となり得る具体例

V7対応としてISO 22002-1:2025を購入し、これを基にPRPチェックリストを改訂した。

しかし、ISO 22002-100:2025は確認しておらず、社内の「V7適合確認表」や内部監査チェックリストにもISO 22002-100が入っていなかった。

審査で「ISO 22002-100の要求事項について、どのように適合性を確認しましたか」と質問されたが、「ISO 22002-1を確認したので、それで対応できていると思っていた」という回答しかできなかった。

 

この場合、単なるチェックリストの記載漏れではなく、「適用される規範文書そのものをFSMSに十分反映していない」として不適合になる可能性があります。

V7移行では「ISO 22002-1だけを見る」のではなく、「Part 100+Part 1」で一つのPRP要求事項と考える必要があります。

 

3.FSSC追加要求事項から消えた・短くなった項目を廃止しない

V7では、一部の要求事項がISO 22002-100側へ移動したため、FSSC追加要求事項だけを見ると、V6より要求が少なくなったように見える場合があります。

代表的なのがFood DefenseやFood Fraudです。

 

不適合となり得る具体例

V7の追加要求事項を確認した担当者が「Food Defenseの記載がV6より減っているので、詳細な脅威評価は不要になった」と誤って判断した。

その結果、毎年行っていたFood Defense脅威評価のレビューを中止し、工場増築によって新しい外部出入口が増えたにもかかわらず、脅威評価を更新していなかった。

審査員が現場を確認すると、新設された搬入口について「誰が侵入リスクを評価したのか」「Food Defense Planにはどのように反映したのか」を説明できない状態だった。

 

このような場合、「要求事項が別の規格へ移ったことを『要求がなくなった』と誤解したため、必要な管理が実施されていない」として不適合となる可能性があります。

Food Fraudでも同様で、原料の価格高騰や調達先変更、産地変更などがあったにもかかわらずVACCP・脆弱性評価を更新していない場合は注意が必要です。

 

4.自社基準値の「科学的根拠」を確認する

V7では、適用される法令上の食品安全基準が存在しない場合、微生物・化学的・物理的・アレルゲンなどの仕様について、適切な科学的根拠に基づいて設定することが重要になります。

 

不適合となり得る具体例

ある製品の出荷基準を「一般生菌数10³CFU/g以下」として10年以上運用していた。審査員から「なぜ10³CFU/gなのですか」と質問されたところ、「昔からこの数字です」「前任者が決めたので分かりません」という回答しかできなかった。

 

関連する法令、行政ガイドライン、業界基準、文献、保存試験、自社データなどの根拠も確認できなかった。

「水分活性0.85以下」「清掃後ATP100RLU以下」など、自社独自の基準値を設定していても、その数値を採用した科学的・技術的根拠を説明できなければ問題になります。

 

この場合、「基準値は存在するが、その妥当性を説明できない」として不適合になる可能性があります。

V7移行を機に、自社で設定している数値基準を一覧化し、「この数値は何を根拠に決めたのか」を確認しておくことをお勧めします。

 

5.文書を改訂しただけで「運用実績」がない

V7アップグレード審査は、V7要求事項全体に対するフル審査です。

したがって、審査直前に文書だけを改訂しても、実際に運用されていなければ不十分です。

 

不適合となり得る具体例

V7審査の2週間前に、ラベル管理手順を改訂し「製造開始時、品種切替時、製造終了時にラベル照合を実施する」というルールを追加した。

しかし、製造現場には新しい手順が十分周知されておらず、従来の記録様式にも確認欄がなかった。審査当日に製造担当者へ「品種切替時に何を確認しますか」と質問したところ、新しいルールを説明できず、実施記録も残っていなかった。

 

この場合、「手順は制定されているが、実施されていない」ため、不適合になる可能性があります。同じことはFood Defense、Food Fraud、食品安全・品質文化、仕様書レビュー、包装設計などにも言えます。

V7対応では「文書改訂→教育→運用→記録→検証」まで行って初めて「仕組みが導入された」と考えるべきです。

 

6.認証機関への変更情報提供と審査条件の確認を忘れない

審査時間そのものは認証機関がFSSCのルールに基づいて算定するため、審査時間を確認しなかったという理由だけで不適合になるわけではありません。

しかし、認証範囲・従業員数・HACCPプラン・製造工程などの重要な変更を認証機関へ正しく伝えていない場合は、別の問題につながります。

 

不適合となり得る具体例

前回審査以降に新しい製造ラインを増設し、製造品目が大幅に増加していた。HACCPプランも2種類から4種類に増えていたが、認証機関には以前の情報のまま連絡しており、審査計画も旧情報を前提に作成されていた。

審査当日に審査員が新ラインの存在を知り、「これは認証範囲に含まれるのか」「HACCPプランが増えていることは認証機関へ報告したのか」という確認が必要になった。

 

この場合、審査時間の問題だけでなく、変更管理・HACCPの更新・認証範囲・認証機関への情報提供などに問題がないかまで確認され、重大な不適合として指摘される恐れがあります。

V7移行前には、認証機関へ伝えている認証範囲・製品群・工程・従業員数・HACCPプラン数・サイト情報などが現在の実態と一致しているか確認しておくことが重要です。

 

7.BoS Decisionや必須解釈文書を直前にも確認する

FSSCでは、スキーム本体以外にも「Board of Stakeholders(BoS)Decision(利害関係者委員会決定事項)」が発行されます。

BoS Decisionは既存のスキーム要求事項を上書きしたり、追加の適用ルールや移行期限を定めたりする場合があり、該当する決定事項は遵守が必要です。

Foundation FSSCが発行する「Interpretation Article(解釈文書)」についても、該当要求事項について発行されているものは実施が必要です。

 

不適合となり得る具体例

2026年5月に入手したV7スキームだけを基に移行準備を行い、その後FSSC公式サイトの更新情報を確認していなかった。

その後、該当する要求事項について新たなBoS Decisionや必須の解釈が発行され、適用期限も設定されていたが、会社はその変更を把握していなかった。

V7審査で審査員から「最新のBoS Decisionへの対応状況を確認させてください」と言われて初めて変更を知り、社内規定にも実際の運用にも反映されていなかった。

 

この場合、「知らなかった」ことではなく、審査時点で有効な必須要求事項を満たしていないことが不適合の原因となります。

規格発行時に一度確認して終了するのではなく、審査の数か月前、さらに審査直前にもFSSC公式サイトを確認するというルールを社内で決めておくとよいでしょう。

 

V7移行で最も危険なのは「対応したつもり」

以上の事例に共通しているのは、「規格は読んだ」「文書は直した」「V7対応は終わった」という状態と、「要求事項を理解し、仕組みに反映し、実際に運用している」状態は違う、ということです。

 

V7アップグレード審査の前には、少なくとも「要求事項→社内規定→現場運用→記録→内部監査」が一本につながっているかを確認することが重要です。

特に内部監査では、「文書がありますか?」だけでなく、

「この要求事項について、現場では実際に何をしていますか?」「その証拠となる記録はありますか?」「その管理が有効だと、どのように確認していますか?」という審査員の視点で確認すると、V7アップグレード審査での不適合を大幅に減らすことができます。

 

セルフチェックリスト

移行準備の進捗確認として、次の項目に「はい」と答えられるかを社内で確認してみましょう。

  • ・規格番号だけでなく、要求事項ごとのギャップ分析を実施した
  • ・ISO 22002-100とISO 22002-1の両方をチェックリストに反映した
  • ・Food DefenseとFood Fraudの評価・計画を継続して更新している
  • ・自社基準値の科学的根拠を説明できる資料が揃っている
  • ・改訂した手順を現場に周知し、運用実績と記録が残っている
  • ・認証機関へ伝えている情報(認証範囲・従業員数・HACCPプランなど)が最新の実態と一致している
  • ・FSSC公式サイトの最新のBoS Decisionや解釈文書を確認している

 

一つでも「いいえ」がある場合は、審査までに優先的に対応しておくことをお勧めします。

 

④ 移行審査をスムーズに進めるためのステップ

図解

V7対応は、次の順序で進めると分かりやすくなります。

 

STEP1 自社に適用される規格を確定する

自社のフードチェーンカテゴリと認証範囲を確認し、ISO 22000+ISO 22002-100+ISO 22002-1+FSSC追加要求事項という自社の適用体系を確定します。

 

STEP2 V6とV7のギャップ分析

V7要求事項ごとに、現在の規定・記録・適合状況・不足内容・担当・期限を一覧にします。特にPRPについては「旧ISO/TS 22002-1」から「ISO 22002-100+ISO 22002-1」への対応関係を確認します。

 

STEP3 必要な規定・手順書を改訂

一般衛生管理、清掃・洗浄、防虫防鼠、個人衛生、交差汚染防止、アレルゲン管理、設備管理、保管・輸送、ラベル管理、Food Defense、Food Fraud、仕様書管理などを確認します。

V7だからといって全て作り直す必要はなく、V6で機能している仕組みはそのまま活用し、不足部分だけを変更する方が合理的です。

 

STEP4 実際に運用する

審査では「手順書があるか」だけでなく「その手順が実際に運用されているか」を確認されます。審査直前に文書だけ改訂しても十分ではありません。

 

STEP5 関係者へV7教育

品質保証部門だけでなく、製造・開発・購買・設備・包装・物流などにも変更点を教育します。特に仕様管理、包装設計、設備、ラベル管理などは、品質保証部門だけでは完結しません。

 

STEP6 V7基準で内部監査

アップグレード審査前に、ISO 22000+ISO 22002-100+ISO 22002-1+FSSC追加要求事項を対象とした内部監査を一度実施しておくことをお勧めします。

 

STEP7 マネジメントレビュー

内部監査結果、V7対応状況、教育の実施状況、是正処置などをマネジメントレビューで確認します。

理想的には、「ギャップ分析→文書改訂→運用→内部監査→是正→マネジメントレビュー」まで一度PDCAを回してからアップグレード審査を迎えることが望まれます。

 

V7移行のスケジュール目安

図解

ただ漠然と取り組んでも、なかなか計画通りには進みません。柔軟に対応する場面もありますが、進捗を管理するためにはある程度の目安が必要です。

アップグレード審査の時期から逆算して、おおむね次のようなペースで進めると無理がありません。

 

  • ・審査の12~10か月前:V7教育、ギャップ分析、移行計画の作成
  • ・審査の10~8か月前:規程・手順・帳票の改訂
  • ・審査の8~6か月前:リスク評価、商品開発・包装設計手順の見直し
  • ・審査の6~4か月前:新ルールの運用開始、部門別教育
  • ・審査の4~3か月前:V7対応の内部監査
  • ・審査の3~2か月前:是正処置、運用状況の再確認
  • ・審査の2~1か月前:マネジメントレビュー
  • ・審査直前:証拠記録・未完了事項・審査対応体制の最終確認

 

まとめ

FSSC 22000 Version 7で重要になるのは、次のような仕組みを実際の業務に落とし込むことです。

  • ・新しいPRP体系(ISO 22002-100+ISO 22002-1)への対応
  • ・リスクに基づくアレルゲン管理、食品防御・食品偽装対策の定期的な見直し
  • ・食品安全文化の有効性評価
  • ・食品ロスと持続可能性を考慮した包装設計
  • ・各部門が参加する食品安全マネジメント

 

一方で、ISO 22000:2018やHACCPの根幹となる考え方そのものが大きく変わったわけではありません。

V6をきちんと運用してきた工場であれば、すべてをゼロから作り直す必要はなく、既存の仕組みを新しいPRP体系と最新のGFSI要求に合わせて再整理することが対応の中心になります。

 

V7移行は、単なる認証維持のための作業ではありません。

これまで形式化していた管理を見直し、食品事故や表示ミス、異物混入、アレルゲン事故、供給者トラブルを未然に防ぐ仕組みに改善する機会と捉えるとよいでしょう。

 

また、「規格は読んだ」「文書は直した」で終わらせず、要求事項が現場の行動や記録にまで反映されているかを確認する視点を持つことが、結果として審査対応の負担を減らすことにもつながります。

 

移行審査まで時間があるように見えても、規程改訂、教育、運用、内部監査、マネジメントレビューまで考えると、準備期間は決して長くありません。

まずはV6とV7のギャップ分析を行い、自社で優先的に取り組むべき課題を明確にすることから始めましょう。

 

FSSC 22000 V7への移行対応、ギャップ分析、内部監査の支援など、ISOコムでは食品メーカー様の移行準備を実務面からサポートしています。

自社での対応にご不安がある場合、導入に関する具体的なスケジュールや費用感を知りたい方は、当サイトのお問い合わせフォームからご相談を!

 

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