ISO9001の活用事例
投稿日:2020年2月4日 最終更新日:2024年7月26日
みなさん、こんにちは。
今回は、ISO9001の取り組み事例をご紹介したいと思います。
ISO9001認証取得後、残念ながら運用が形骸化してしまった後、総務部門が中心になって活性化した事例です。
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【ご紹介する会社概要】
対象人員: 175名
主要業務:製缶・機械装置の設計、製造、販売、アフターサービス
適用規格:ISO9001:2015
適用サイト:本社、工場、営業所
受注から設計、製造、アフターサービスまでの一貫生産を行っています。
認証取得当初は・・・
この会社では、お客さまや業界団体の要求により、ISO9001の認証取得を決定、2001年に審査合格しました。
このとき、2年にわたってコンサルタントを依頼して、工場部門を主導にて準備を行い、
審査合格後は自社で運用を開始しました。
審査合格当初は、ISO9001をとったことで、お客さまの信頼を得る機会になりました。
お客さまの中には、ISO9001認証取得を条件にしているところもあり、発注の際の条件が簡略化されることもあったのです。
当時、業界の時流にも乗り、会社の売上は、審査後後5年のうちに3倍を超えるまでになり、3箇所の工場、1つの営業所が新たに開設されるに至りました。
当初の認証取得の目的は大きく達成されたのです。
運用・維持の中で
管理責任者は、引き続き工場長が任命されました。
事務局は、当初、全部門から横断的に、若手を中心に集められた人員で組織されたチームでしたが、工場から離れた場所に位置する本社の総務部門1名へと移管されました。
受注拡大に伴い、管理責任者である工場長は新工場の立ち上げに奔走し、製造の一部を外部の協力会社に委託することも増えました。ISO9001認証取得時の活動を知らない新入社員も増えていきました。
そのような中、少しずつ、見えないところからルール違反が起きていったのです。
残すべき記録の作成の遅れ、変化する手順の見直しは現場のみで行われ、会社として承認されたルールが陳腐化、会社が正式に認めていない外注先への発注、月次会議への参加率の低下、報告の遅れ。
「忙しい」の言い訳をすれば許されてしまったのです。
そして。
ささいな情報伝達ミスによる不適合品の再発。わずかな納期遅れの頻発。
その対応へ追われることで、ますます「忙しい」。
どんどんと悪循環になっていきました。
組織体制の見直し
実は、この会社には組織図はありませんでした。
個人商店から始まった組織であり、繁忙のために無計画に増員したため、すべてにおいて「やれる人がやる」組織でした。
部門も役職も、時と場合によって異なりました。
タイミングよく、情報システムの見直しが行われていました。
システム業者の力も借りて、各部門で情報がどのように伝達され、処理されているのか、組織の情報の流れを明確にする機会になりました。
併せて、どのような部門があり、どのような役職があって、どの部門で、どの役職者が何を管理するのか、組織の役割と権限を明確にしました。
これは、就業規則の見直しにも至りました。
情報システムには、不具合に関する情報を提供する仕組みも取り入れました。
不具合により発生した損金などの情報が具体的に見えるようになると、不具合に関する情報の分析への要望が社内から起きてきました。
そして、ISO9001認証取得後7年、(やっと?!)品質保証部が組織されました。
利害関係者から品質保証部門の要請の声は、ずっと上がっていました。
しかし、「製造の中で品質を作りこむ」との強い自負があり、品質保証部門設置に抵抗があったのです。
しかし、数字はうそをつきません。
お客様への対応のためにも、品質保証部門は必要であったのです。
社内報と安全パトロール
事務局は総務部門、支援業務は得意です。
作業服や保護具、設備の補修、健康診断、資格手当を含む給与や人事など、工場で働く1人1人とつながっている部門でした。
しかし、「何をやっているのかわからない」「もっと情報を発信してほしい」との要望があったのです。
新しく発行を決めた社内報は、そのタイトルも社内から募集、編集委員も任命しました。
安全面への取組みとして、総務部門も参加した安全パトロールを開始、現場からの要望への早期対応を行っていきました。
このことで、総務部門への協力者は増えていきました。
役員の方々の巻頭言、Before-Afterの写真付きの安全パトロール結果、売上情報、不具合情報、インフラの情報、複数サイトで働く仲間の紹介など、毎月の社内報で公開、共有できるようになりました。
毎月のISO会議の開催
毎月の開催が危ぶまれる状況でしたが、レジュメの送付、出欠の確認、欠席の場合の代理者要請、参加者は少人数であっても定期的に開催、全社への議事録の配布、報告を丁寧に実施しました。
遅れている記録の督促、不適合の傾向分析、是正処置の検証などを実施、その中で、1つのプロジェクトとして、事務局が現場で聞き取りを行って手順の見直し作業を進めていきました。
組織のために頑張っていると、協力者や味方になってくれる人は現れるものです。
1人、1人と、参加者は増えていきました。
3人寄れば文殊の知恵、新しい意見も出てきます。
内部監査員の増員
内部監査員は、部門責任者の男性ばかりでした。
教育訓練の機会を増やし、事務の女性にも内部監査員になってもらいました。
彼女たちは、他部門の監査を行う中で、自分たちが毎日の業務で作成している伝票の意味、提出している情報がどのように活用されているかを、再認識したそうです。
そうすると、新しい知恵が沸きます。
「紙ではなく、データで渡した方が、後で加工ができて都合がいい」
「この情報のうち、この項目は不要、この項目はより詳しく伝える必要がある」
「次部門で作成しなくても、自部門ですべて情報はある」
部門をまたがる業務改善へつながりました。
重大お客さまクレーム発生!
ISO9001運用の見直しに力を入れて3年、やっと軌道に乗ってきたころ、重大お客さまクレームが発生しました。
製品を納品、使用中に発見された不適合で、高額な補償を求められる事態になりました。
製品は手順に従って製造されていました。
使用した設備は日常的に点検され、法定点検を実施し、記録が残されていました。
製品の出荷前検査の記録は、適切に保存されていました。
検査に使用する計測機器の校正記録もありました。
製造業務を行った人、検査を実施した人員の力量も、確認できました。
それでも発生してしまった不適合について、管理責任者でもある工場長は、手順と記録を提示して会社の適切性、妥当性をお客さまへ説明することができました。
紆余曲折はあったものの、このお客さまクレームを収めることができ、このお客さまとの取引は、この後も継続しています。
ISO9001はお客さま満足を追求するものではありますが、結果として、自社を守る活動になっていたのです。
ISO9001の継続
ISO9001:2015年版への移行の後、現在、この会社ではこのように言っています。
「ISOの要求事項だから」ではなく「自分たちの風土」としてISO9001を運用していきたい、と。
いかがでしたか?
ISOは審査合格が実はスタートであり、その後はISOがあるのは当たり前。
成果がどう出ているのか?をお客様はじっと見ています。
つまり、システムを使いこなして品質向上に結びついているのかを。
とった後、お客様や社内の課題等を踏まえて、タイムリーに対策を打ち、システムを磨かなければISOはただの重荷になるだけです。
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