ISO9001の品質マニュアルとは
投稿日:2025年3月4日 最終更新日:2025年3月5日
皆さん、こんにちは。ISOコム株式会社の芝田有輝です。
今回は「ISO9001の品質マニュアルとは何か?」について、分かりやすく説明します。
それでは、さっそく始めましょう!
ISO9001とは?
ISO9001とは、会社や工場などが「お客様に良い製品やサービスを継続して届けて、満足してもらい、リピート注文をもらうための仕組み」が書かれた国際規格です。
この規格では、お客様からの注文の受付、材料の調達、設計、製造、検査、出荷、納品に至るまでの各業務で、決められた仕様(スペック)どおりに製品やサービスを提供できるよう、さまざまなルールを定めています。
よく「ISO9001を取得する」と言いますが、これは、この規格に沿って業務のルールを作り、実際に運用し、外部の審査機関のチェックを受けて、合格(認証)したら、登録証をもらうことを指します。
ISO9001の品質マニュアルは作る必要があるか?
ISO9001規格は1987年に初めて発行され、それ以降、何度も改訂されてきました。
2008年に発行された「ISO9001:2000年度版」では、「品質マニュアルを作ること」が求められていました。
しかし、2015年度の改訂で、このルールはなくなり、品質マニュアルを作るかどうかは、企業の判断に任されるようになりました。
つまり、現在のISO9001では「品質マニュアルを作っても作らなくてもよい」ということになります。
ISO9001の品質マニュアルを作る意味とは?
それでも、弊社ISOコムでは、ISO9001のコンサルをする際、必ず品質マニュアルを作成するようにしています。
なぜなら、品質マニュアルがないと、ISO9001のルールをどう会社や工場に反映させるかが分かりにくくなり、審査を受けるのが難しくなるからです。
ISO9001規格には「○○すること」というルールは書かれていますが、「誰が」「いつ」「どこで」「どのように」行うかまでは書かれていません。
そのため、品質マニュアルがないと、審査員から質問された際に、ルールをすべて暗記して答える必要があり、審査を通るのが大変になります。
だからこそ、品質マニュアルを作っておいた方が、スムーズに審査を受けることができます。
品質マニュアルの作り方
品質マニュアルは、ISO9001の「○○すること」と書かれているルールごとに、
• 誰が
• いつ
• どこで
• どのように
• 記録を残すかどうか
といった内容を加えて作ります。
例えば、ISO9001の規格には、
「組織は、顧客や外部提供者の所有物を適切に管理しなければならない。」
と書かれています。
これを品質マニュアルに落とし込む場合、
「製造部は、顧客や外部委託先などからの支給品や一時預かり品などを、○○の手順で管理する。」
といったように、具体的なルールにしていきます。
品質マニュアルを作る前に、会社や工場の業務の流れを整理しておくと、よりスムーズに作成できます。
使いやすい品質マニュアルにするためには?
品質マニュアルを実際の業務で役立つものにするためには、次の点に注意することが大切です。
(1)実際の業務に合わせて作る
弊社では、「オーダーメイドで服を作るように」品質マニュアルを作ることを心がけています。
良い服を作るには、まず「採寸」が必要ですよね?
品質マニュアルも同じで、
• モノの流れ
• 情報の流れ
• 帳票の流れ
を正確に把握し、現場の業務に合ったルールを作ることが大切です。
また、理想的なルールではなく、「現実的に守れるルール」を作ることも重要です。
間違ったやり方は、「ISO9001の規格に合わせてルールを作る」ことです。
これをすると、必要のない書類や手続きが増え、余計な業務が増えてしまいます。
よく「ISOを取ると書類が増えて大変」と言われるのは、まさにこれが原因です。
(2)分かりやすい表現にする
ISO9001の専門用語をそのまま使わず、会社や工場で普段使っている言葉に置き換えましょう。
そのほうが、現場の人が理解しやすくなります。
(3)全員が品質マニュアルを理解する必要はない
ISOの教育で、品質マニュアルを全員で勉強する会社もありますが、これは必要ないと考えます。
品質マニュアル全体を理解するのは、ISOの事務局など、審査機関とやりとりをする人だけで十分です。
それよりも、各社員が自分の仕事に関係する部分を理解していることが重要です。
(4)定期的に見直して改訂する
品質マニュアルは、一度作ったら終わりではなく、定期的に見直し、改訂することが必要です。
主な改訂の理由は、
• お客様や法律などのルール変更
• 不良やクレーム、トラブルの防止策としてルールを変更
• 内部監査や外部審査の指摘を受けて改善
などが考えられます。
また、ルールを変更する際は、品質マニュアルだけでなく、実際に使う帳票類の改訂もセットで行うと、より実用的になります。
まとめ
いかがでしたか?
今回は「ISO9001の品質マニュアルとは?」についてお話ししました。
品質マニュアルとは、お客様に良い製品やサービスを継続して届けるためのルールブックです。
定期的に見直して、無理なく運用できるものにしていきましょう!
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