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ISOコム通信

ISO9001の是正処置から分かる苦情・クレーム

投稿日:2022年4月26日  最終更新日:2024年6月5日

みなさんこんにちは!ISOコムです。

今回はISO9001の是正処置から分かる苦情・クレームについてお話します。

 

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ISO9001の苦情と「complaints」とは?

前回のブログでも書きましたが、ISO9001の原文では、「complaints」(ISO 9001:2015では「苦情」と翻訳)が書かれています。これがお客様からのクレームにあたります。

「complaints」とは、提供した製品やサービスへの不満を含め、お客様による会社への不満の表明です。

ISO9001では、お客様に提供した製品やサービスを含め、要求事項を満たしていない製品及びサービスについては適切な処置が求められています。

 

さらに、そのような不適合や不適合製品が発生したり、お客様や市場に流出した原因を究明し、同じような不適合が再発することを防止するための処置求められています。

このような一連の処置を「是正処置」と呼んでいるんです。

 

是正処置とは?

再発防止策のみを取り上げて「是正処置」と呼んでいるケースが見られますが、

原因を明らかにし、そのうえで再発防止対策を講じる一連の手続きを「是正処置」と定義しているんです。

 

再発防止策については、該当する製品やサービスだけでなく、

同じ原因により、同じ様な不適合が発生する可能性のある、類似製品やサービスも対象として実施すること、

すなわち、水平展開と呼ばれる再発防止策も含めて「是正処置」ということになります。

 

一般的には、このように提供した製品やサービスについて不適合があり、すぐに処置を必要とする場合を「クレーム」と呼び、それ以外を「苦情」と使い分けしているようです。

 

なお、すぐに処置が必要な場合には、購入した製品やサービスが、

お客様の要求した内容と違っていたり、製品に欠陥があって、

使った人のけがとか災害に繋がる場合なども対象となります。

 

ISO9001の是正処置とは?

是正処置は不適合に対してとられる処置です。

ISO9001規格では、是正処置については、次のようなことが求められています。

・不適合の状況をよく調べて分析する
・分析結果から不適合の原因を明確にする
・原因から再発を防止するために必要となった処置を計画し、実施する

・計画した再発防止処置を、計画したとおりにちゃんと実施しているかどうかの程度の確認(有効性の確認)。
・実施した再発防止処置が不適合の再発防止に効果を発揮しているかの確認。
・効果が不十分な場合には、発生原因を再分析し、再発防止処置を計画し、実施する。

・併せて、類似する不適合があるのかどうか、そして同じような不適合が発生する可能性があるかどうかを予想して、必要な場合には再発を防止するための処置を実施する。
・必要な場合には、会社が予防処置として取り組んでいる「リスク及び機会(会社としての業務を行う上で、社内外の環境の変化などによって生じるリスクや機会)」の見直しを行い、適切な予防処置対応が取れるようにする。・更に必要な場合には、会社の仕組み(製品の製造の仕組みやサービス提供の仕組み)を変更することにより、不適合の発生防止を行う。

 

これらの要求に対してどのように、どの程度取組むかはいろいろな背景、会社の事情などによって変わってきます。

 

是正処置の例とは?その1

例えば、

航空機事故については公的な調査委員会が立ち上げられ、1年、2年かけて原因を究明しています。
多数の人命に関わりますので、徹底した再発防止策を行うために原因を徹底して究明されます。

 

この中で、製品としての不適合箇所、機体整備サービスの不適合内容など、事故の原因につながる不適合が明らかになってきます。

この結果、飛行機の構造変更や、機体整備のための検査機器の開発などにつながっています。

 

是正処置の例とは?その2

A社に送るはずの家電品の修理に、必要な部品を間違えて、B社に送ってしまったような不適合については、

A社にとっては、家電品の修理にかかる納期遅れの被害が発生するものの、

不良部品が送られたために、これを使用した結果として家電品が過電流により故障したり、

 

さらには発火によりやけどなどの人身災害が発生したりなどの物的、

人的被害の発生につながるような内容ではありません。

 

このような場合にも徹底して原因を究明し、再発防止対策を講じることは可能と思われますが、

その必要性については、お客様に与える影響の大きさによって、決定してもよいのではないでしょうか。

 

ポカミスとは?

人が作業をする限り、所謂「ポカミス」を絶滅することはなかなか難しいですね。

どうしても「ポカミス」の発生を防止する必要があるのであれば、人為作業の必要ない仕組みをつくる必要があります。

これにより「ポカミス」を防止することは可能ですが、当然、費用的には大幅に増加する可能性があります。

例えば、はんだ付け作業を手作業の代わりに自動半田装置を導入する、あるいは汎用旋盤による切削作業に代わりNC旋盤を導入することにより作業が自動化されますが、これらの自動装置の導入にはかなりの投資が必要となります。

「ポカミス」の発生によって生じる損失と、「ポカミス」を防止するための自動化に掛かる費用の大きさのバランスから、自動化装置の採否を決定すべきと考えられます。

 

実施すべき是正処置の程度とは?

ISO9001規格の10.2.1では「是正処置は、検出された不適合の持つ影響に応じたものでなければならない。」ことが要求されています。

この要求事項の狙いは、

発生した不適合に対して「是正処置をやっています。」ということでは不十分であり、

不適合によりどのような影響が生じるのを評価し、

その影響に十分に見合った再発防止対策を講じるべきであることが求められています。

 

しかし、逆に、簡易な不適合に対しては、簡易な是正処置で済ませるとか、さらには是正処置自体の省略も考慮してもよいのではないかと思っています。

 

まとめ

顧客からの「苦情」「クレーム」の情報は、会社の品質保証に関わる、仕組みの改善に繋げることができる貴重な情報です。

・どんな苦情やクレームなのか内容を確認する
・すぐに修正対応を行う
・なぜ起こったのか原因を特定する

・原因を除く対策をとる(再発防止)
・対策をちゃんと実行しているか、再発を防いでいるのか確認する
・仕組みの変更が必要なら変更する

 

このような流れをしっかりやっておかないと、

また苦情やクレームが再発してしまい、いよいよお客様の信頼を失って、他の会社に発注を移されてしまうかもしれません。

 

そうならないように、苦情やクレームの対策をしっかり行い、「二度繰り返さない」会社を目指してみませんか?

 

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