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ISOコム通信

ISO9001の教育訓練とは

投稿日:2022年5月24日  最終更新日:2024年10月1日

こんにちは、ISOコムコンサルタントの柏木 博です。
今回は、ISO9001の教育訓練とは についてお話ししてみたいと思います。

 

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このブログの目的

このブログの目的は、ISO9001:2015で要求されている教育訓練について、規格要求の内容をわかりやすく説明し、正しい理解の上で、過度な対応をすることなく、審査に合格いただくことの一助となることを目的としています。

 

結論

ISO9001の教育訓練とは、品質やサービスの品質に直接影響する仕事をする人に、必要な程度の知識や技術を持てるようにすること

といえます。

 

さて、まずは、定義から考えてみましょう。

 

ISO9001でいう教育訓練とは?

「教育訓練」については、ISO9001:2015(以下、「規格」)では定義は設けられていません。
したがって、辞書に記載されている意味で使用することで問題ありません。
英語では「training」と表記され、「訓練」又は「教育訓練」と翻訳しています。

 

「7.2 力量」のb)で、力量の背景として「教育(education)」「訓練(training)」「経験(experience)」が要求されています。
全てが必要ということではなく、対象となる力量に応じて必要な要素やそのレベルが異なってきます。

 

c)では、「必要な力量を身に付けるための処置」が要求されています。
注記で、「処置」としては「教育訓練(training)」や「指導(mentoring)」などが取り上げられていますが、「教育(education)」は含まれていません。

 

ISO9001でいう力量とは?

規格が明確に力量を求めているのは、7.2項 力量 と8.5.1項 製造及びサービス提供の管理です。

8.5.1項では、e)で、製造やサービスをお客様に提供する上で、必要な力量を決めて、その力量を持っている人々を任命しなさい、と書かれています。

 

7.2項では、a),b)で、品質マネジメントシステムのパフォーマンスや有効性(ISO9001の要求に従って仕事をした成果)に影響する業務に従事する要員について力量を求めています。
簡単に言いますと、製品やサービスの品質に影響する仕事っていうことですね。

 

この2つの項から読み取ると、

 

ISO9001では、お客様からの引き合いを受けてから、お客様に製品やサービスが引き渡しされるまでを管理する規格で、営業、設計、購買、製造、検査、出荷、設備の取り扱いや点検、測定機器の取り扱いや公正等、様々な業務について要求をしていますので、その中で、どんな仕事に必要な力量を求めるのかについては、会社が決めていくと理解できます。

必要な力量が決定すれば、その力量を担当者が取得するための方法を明確にし、取り組んでいくことになります。

 

ちなみに、第三者審査で力量を求められる業務としては、

製造・サービス業務、検査業務、設計業務、社内校正(測定機器が正しく測定できるかの確認作業)等ですが、
それら以外にも、その人がその業務を怠ったり、工程を飛ばしてしまったりすると、直接不良やクレームにつながったりするような場合には、力量設定が必要ではないか、その人がその力量を持っていることを管理すべきではないか、など指摘される可能性があります。

 

ISO9001が要求していないこととは?

ISO9001では、「力量の証拠として,適切な文書化した情報を保持する」という要求があります。記録の要求ですね。

 

力量の証拠とは何で証明するか、ですが、これは解釈にばらつきがありますが、
一般的には、教育や研修をした記録、仕事をその人にさせてみて出来ると評価した記録、テストの結果、力量と作業者のマトリクス的なもの、資格の一覧表、個人ごとに教育を受けた履歴 等が考えられます。

どれがふさわしいかは、会社で決めればOKです。

 

20年前くらいにはOJT、つまり、現場で上司や先輩が実際に作業をしながら技術や知識を教えていくことなのですが、これにも記録が必要だという審査員が結構いましたね。今はほとんど聞きませんが・・・。実際的ではないですよね。

ちなみに、担当する業務に関連しない教育訓練や指導の実施、記録は要求されていません。
また、業務に関連しない教育訓練や指導をしてはいけないとの記載は一切ありません。

 

会社では、今現在の業務に直結した力量だけではなく、作業者の将来を見据えて、あるいは知識を広げるために教育訓練や指導を計画することがよくあります。
また、将来のために大学や研究機関の教育を受けさせるために派遣されることもあります。

 

将来必要となる教育、訓練や指導を先取りして実施させることは、担当者の視野の拡大につながるケースが多く、マイナス要因よりもプラス要因がはるかに多くなります。
このような観点から、可能な範囲で積極的に教育訓練に取り組むことはお奨めです。

 

教育訓練の効果的な取り組み

7.2 c)では、「…必要な力量を身につけるための処置をとり、取った処置の有効性を評価する。」と書かれています。つまり、教育(配置転換、業務委託、人から機械に作業をさせる 等教育以外の処置も含みます)した結果、身についているか、効果があったかを評価するっていうことですね。

 

ここでは、規格が提案している[P(計画)・D(実施)・C(評価)・A(修正)]のうちの[D・C]のみが要求されていますが、評価した結果、力量が不十分となれば、不足する部分を補う教育訓練等が行われることになりますので、[A]つまり、教育の計画はもういちど作り直すことになると思います。

 

作業担当者の現状の力量を把握して、作業を実施するのに必要となる力量に達するための教育計画は、教育訓練を効果的かつ効率的に行うことになりますので、規格にはそこまで要求はありませんが、お奨めしたいと思います。

 

まとめ

ISO9001の教育訓練とは、その人が怠ったり、工程を飛ばしたりすると、途端に不良やクレームにつながるような業務、作業。

その仕事をする上で、ちゃんとできるように教育し、力量があるかを把握すること。その人に力量があることを証拠として残しておくこと。を要求しているって言うことですね。

 

製品やサービスを受け取る側としては、「そんなの、当然でしょ!」ということなんですけども、そういうことをISO9001では要求しているっていうことでした。

 

でも、そのあたりをちゃんと管理しておかなかったために、不良やクレームが止まらないっていうこともあり得ます。
どんな仕事が製品やサービスを提供する上で、教育して力量を確保しておかなきゃいけないのか。
そのあたりを、あなたの会社のお客様の立場で一緒になって考え、仕組みを作って、運用を支援する。

 

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