ISO14001の「コミュニケーション」のポイントを解説
投稿日:2023年8月17日 最終更新日:2024年6月5日
こんにちは。ISOコム株式会社 芝田 有輝です。
ISO14001とは、国際標準化機構(ISO)によって定められた、環境マネジメントシステムの国際規格です。
ISO14001は、この規格の要求を守り、組織や会社が環境に関する法規制の要求や
取引先や地域協定などの要求事項等を守って、地球環境や地域環境等への影響を最小限に抑えたり、
有効な活動については更にパフォーマンスを向上させるように管理するための事業の仕組みを言います。
今回、ISO14001の要求事項である7.4「コミュニケーション」について、具体的にどのようなことを要求されているのか、ポイントを押さえつつ解説してみたいと思います。
ISO14001取得を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
コミュニケーションとは?
コミュニケーションは、人と人との情報のやり取りや意思の伝達のことを言います。
情報の発信と、情報の入手、両方を踏まえて考える必要があります。
ISO14001におけるコミュニケーションとは?
ISO14001のコミュニケーションの項目では、環境マネジメントシステムを運用するにあたって、誰に・どんな情報を・いつ・どのような方法で伝達するのか明確にするよう要求されています。
コミュニケーションの要求事項は、以下の3部構成になっています。
・7.4.1項:一般的な要求事項
・7.4.2項:内部コミュニケーションについて
・7.4.3項:外部コミュニケーションについて
7.4.1項 一般的な要求事項とは?
コミュニケーションの種類は大きくまとめて
・内部コミュニケーション 組織や会社の内部で行われるコミュニケーション
・外部コミュニケーション 組織や会社の外部、例えば、お客様、取引先、行政機関、地域住民、協力会社、株主等とのコミュニケーション
の2つに分けられています。
内部及び外部共に、以下の4点を明確にする必要があります。
a)コミュニケーションの内容
b)コミュニケーションの実施時期
c)コミュニケーションの対象者
d)コミュニケーションの方法
上記のように、7.4.1の規格要求事項では、
コミュニケーションに関するプロセスを確立するよう求められているんです。
どのような内容で、いつ・誰が・誰と・どのようにコミュニケーションをするのかを、
必要となるコミュニケーションの分だけ、明確にするということですね。
また、コミュニケーションのプロセスを確立する際の注意点についても記載されており、
「順守義務を考慮に入れる」
「伝達されてきた環境に関する情報が、環境マネジメントシステムを運用する上で作成した情報と内容が合っていて(矛盾がなく)、信頼性を確保する」
ことが前提条件となっています。
順守義務を考慮に入れるというのは、
6.1.3項 順守義務 に書かれた要求を考慮に入れるということになります。
ここでは、環境法規制や、お客様からの環境配慮面での要求や約束、
地域住民や消費者等からの要求等をまとめて一覧表等文書にしておくことを要求していますので、
これらの情報を、お客様や、行政機関、地域住民や団体などに、情報の発信や入手、
報告や届出などをどのように行っていくのかを含めておく、ということになります。
伝達される環境情報の信頼性については、
企業が自ら行う環境報告書やホームページで伝達されている情報と、社内で得られた環境情報とが食い違っていてはならず、内容に信頼性があること等が該当しそうです。
外部とのコミュニケーションは、組織によっては対応する部署が異なる場合もあるので、
各部署で対応する窓口が異なり、外部に対する情報がバラバラの場合、信頼に欠けてしまいます。
場合によっては、コンプライアンスに関わる大きな問題にもなりかねませんので、
社内での調整にも注意が必要になることがあるかもしれませんね。
7.4.2項 内部コミュニケーションとは?
内部コミュニケーションについては、以下の2点が要求事項として規定されています。
1)必要に応じて、環境マネジメントシステムの変更を含めて、
関連する情報を、組織の各階層・機能間で内部コミュニケーションを行う。
ここでは、環境マネジメントシステムの活動や、そのルール変更の情報を含めて、
組織や会社の経営層、事業部層、部門、課、チーム等の各階層と、
営業・企画・開発・設計・製造(施工)、購買、検査(点検)、出荷、引き渡し、引き渡しの活動(保守、メンテナンスなど)の機能間で、情報のやりとりを行うことを求めています。
2)コミュニケーションプロセスが、組織が管理下で働く人々が継続的改善に貢献できるようにする。
ここでは、組織や会社の管理の下で働く人々(従業員等)が、環境マネジメントシステムの活動を通じて、仕組みと、成果の両面で継続して改善していくことに参加、貢献できるようにすることを求めています。
外部コミュニケーションについて
外部コミュニケーションについても解説しましょう。
「外部」とは、組織や会社の外部、例えば、お客様、取引先、行政機関、地域住民、協力会社、
株主等などが考えられ、対象によって、発信、入手する情報は異なってきますね。
規格では、「順守義務による要求に従って環境マネジメントシステムに関連する情報について、
外部コミュニケーションを行わなければならない。」と要求されているので、
一般的な要求事項でも説明したように、
環境法規制や、お客様からの環境配慮面での要求や約束、地域住民や消費者等からの要求等を考慮に入れて、
どんな情報をどのタイミングで、どのような方法で発信するのか、
受信するのかのプロセスを決め、それに従って実行することが求められています。
いかがでしたでしょうか。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
今回は、ISO14001の「コミュニケーション」のポイントについて解説しました。
情報の公開や伝達が、社内で統一されていない、
また遅かったり、怠ったりしていれば、組織への信頼性が欠け、そのことによって、
社内の指揮が下がったり、お客様や近隣、消費者等からクレームが発生したり、
信頼低下につながるなど、組織や会社にとって、致命傷になり得るケースもあり得ます。
そうならないよう、規格要求を正確に把握し、正しい情報を、タイムリーに、
決められた方法で受発信する仕組みの構築、実行はとても大切ではないかと思います。
ISOコムでは、現役審査員による、負担は少なく、成果を期待できる仕組みの構築、運用支援が強みです。
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