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ISO9001の内部監査におけるポイント

投稿日:2018年6月5日  最終更新日:2025年3月26日

ISO9001打ち合わせ風景

こんにちは!ISOコムの芝田有輝です。

今回は「ISO9001の内部監査のポイント」を、製造業と建設業、それぞれ従業員50名ほどの中小企業をイメージしながら解説します。

ISO9001の内部監査で大切な3つのポイント

ISO9001のルール(JIS Q 9001:2015)は、会社の「品質」を良くするための世界共通の決まりごとです。

このルールの中で、内部監査では「3つのこと」を確認するように決められています。

 

ポイント① ISO9001のルールを守っているか?

「ISOで決められているルールをきちんと守っているか」をチェックします。

例えば、製造業なら、

・お客様の要望を聞いて、自社でできるか確認し、その結果を記録すること

・不良品やクレームが出たら、原因を調べて再発しないように対策を立てること

 

建設業なら、

・現場の安全ルールを作って守ること

・使う材料が規格に合っているかを確認し、記録を残すこと

これらがきちんと実行されているかを確認します。

 

ポイント② 会社のルールを守っているか?

会社には、元々の「うちのやり方」があります。
例えば、

・製品の検査は必ず2人でダブルチェックする

・建設現場では朝礼を行い、作業内容と注意事項を全員で確認する

これらは会社ごとに定着している大切なルールです。
このルールを守らないと、品質の低下や事故の原因になります。

 

ポイント③ そのルールがうまくいっているか?

ルールを守っていても、結果が悪ければ意味がありません。
例えば、

・お客様からのクレームが減らない

・不良品が増えている

・現場での事故が続いている

こういった場合は、「このルール、本当に役に立ってる?」と見直す必要があります。
改善していくことが大事です。

 

なぜ「会社のルール」を守ることが重要なのか?

ISO9001では、内部監査の目的の順番を決めています。

1番大事なのは「自分たちの会社で決めたルールを守っているか?」

そして「ISOのルールを守っているか?」です。

それは、会社がこれまで積み上げてきた「やり方」や「ルール」は、会社の強みや特徴を守るための大切な約束事だからです。

それが守られていないと、品質も信頼も落ちてしまいます。

 

製造業の例:

ある町工場(50人規模)では、

「加工後は必ずノギスで寸法を測り、検査表に記入してダブルチェックする」というルールを守っています。
これをさぼると、寸法に不具合のある不良品が出荷されてしまい、お客様からクレームがくることも…。

建設業の例:

50人規模の建設会社では、

「毎朝、現場の朝礼でその日の作業内容と危険ポイントと対策を全員で確認する」というルールがあります。
これを守らないと、事故やけがが発生する可能性が増え、いずれは事故やけがにもつながります。

外部審査では見逃される、細かいルールを内部監査でチェック

ISOの認証をしてくれる審査員(審査機関)は、限られた時間の中で会社を見ていきます。ですので、

製品ごとの細かい検査基準

・各現場ごとの安全マニュアルや作業手順書

こういった細かいルールまではチェックできません。
だから、自分たちで行う内部監査でしっかり確認することが必要なのです。

 

ISO9001内部監査の流れと事例(50名規模の製造業・建設業の場合)

ここからは、実際にどんな流れで内部監査を進めればいいのか、具体的なやり方を説明します。
製造業と建設業、それぞれの例も交えています。

① 監査計画を立てよう

まずは計画です。

「思いつきで始める」のではなく、きちんと計画を立ててから監査に入ります。

目的を明確にする

・品質を良くしたい

・クレームを減らしたい

・現場の安全を確認したい

など、目的をはっきりさせます。

監査の対象と範囲を決める

・製造部門や検査部門を重点的に監査する

・建設現場の工程管理や安全管理を重点的に確認する

リスクが高い場所を優先するのがコツです。

スケジュールを決める

たとえば…

・製造業 → 製造部は6月、営業部は7月

・建設業 → 現場Aは7月、現場Bは8月

現場の作業に負担をかけないよう、社長や現場監督と相談して決めましょう。

具体例

製造業では、7月5日に以下のようなスケジュールで実施するという事例です。

・9:00~9:15 初回会議

・10:00~11:30 製造ラインの監査

・13:00~14:00 営業部門の監査

・15:00~16:00 まとめと報告会

② 監査チェックリストを作ろう

チェック項目を、事前にリストアップしておけば、当日の確認がスムーズになります。

製造業の例

・手順書が最新のものか(現場で手順と異なる作業をしていないか)

・測定結果は記録されているか

・不良品が正しい方法で処理されているか

建設業の例

・ヘルメットや安全帯の使用状況、KY活動の記録はあるか

・資格が必要な工事をする者の資格は有効期限内か

・工程検査、段階確認がルール通りに行われているか、記録はあるか

③ 現場で監査を実施しよう

実際に現場で「見る」「聞く」「記録する」ことが基本です。

 

製造業の事例

・作業員に「作業手順書はどこにありますか?」と聞く

・作業している様子を見て、手順通りか確認

・不良品が出た場合、きちんと報告・記録されているかを確認

建設業の事例

・作業員に「今日実施したKYの内容は何でしたか?」と確認

・ヘルメットや安全帯などの着用状況を目で見て確認

・工事日報がその日にきちんと書かれているかを確認

④ 監査結果をまとめて報告しよう

監査が終わったら、良かった点と問題点を「監査報告書」にまとめます。

製造業の例

・良かった点 → 測定記録が毎日的確に書かれていた

・改善点 → 手順書が古いまま使われていた → 更新が必要

建設業の例

・良かった点 → KYが毎日実施され、対策が適切に行われていた。

・改善点 →有資格者の期限切れがあと1ヶ月で満了。即時の更新が必要。

報告書は社長や工場長、現場監督にも共有し、全員で認識を合わせます。

⑤ 是正処置とフォローアップをしよう

ISO9001の内部監査で問題(不適合)が見つかった場合は、その場しのぎではなく、しっかりと原因を探り、再発しないように対策を考えます。

【製造業の例】
● 不適合事象
「測定機器(ノギス)の校正期限が切れていた」
● 修正処置(原状復帰策)
すぐに測定機器の使用を停止し、校正会社に再校正を依頼。他にある校正済みの機器を使用する。校正期限切れ以降、その測定器で測定した結果の妥当性を評価、適切な対応をとる。
● 原因
測定器現物の校正期限表示に誤りがあり、期限切れを現場で気がつかなかった。
● 再発防止策
校正期限表示のルールを、表示を印刷する前に、機器ごとの校正証明書に記載された校正日を元に、一律2年と決め、表示印刷後にダブルチェックをすることとした。

【建設業の例】
● 不適合事象
「作業員が安全帯を付けていなかった」
● 修正処置
すぐに作業を中断し、該当作業員に安全帯を着用させた。
● 原因
朝礼で安全ルールの確認をしなかった。作業前の安全確認が十分でなかった。
● 再発防止策
毎朝のKY時に安全帯チェックを徹底し、現場監督が作業開始前に必ず安全確認を実施。

このように、「何が悪かったか」「なぜそうなったか」を考え、再発しないような仕組みを作ることが大事です。

⑥ 力量ある監査チームをつくろう

監査をする人(監査員)は、スキルがある人を選びます。

経験のある人と新人をペアにし、実地で学ぶ(OJT)ことでスキルアップできます。

⑦ ISO9001の内部監査は業務改善のチャンス!

監査はミスを責めるためにやるのではありません。

「もっと良くするため」にやるものです。

 

ISO9001内部監査の質問例はこちらの記事も参考にご覧ください。

まとめ ~内部監査を活かすコツ~

ISO9001の内部監査は、会社をよくするための「チャンス」です。

・自分たちのルールを守る

・効果を確認する

・問題があればすぐ改善する。このサイクルを続けることで品質が良くなる

・お客様が満足する

・会社全体がレベルアップする

社長、現場、監査員が一丸となり、「もっと良い会社」を目指しましょう!

 

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