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内部監査の質問例 ISO9001 2015年度版

投稿日:2018年8月20日  最終更新日:2025年3月26日

 

内部監査の風景

こんにちは!ISOコムの芝田 有輝です。

今回は「ISO9001の内部監査ってどう進めるの?」「どんな質問をすればいいの?」という疑問にお答えします。

 

製造業と建設業、それぞれの例を交えながら、実際の流れや質問方法をわかりやすく説明します。

ISO9001の内部監査ってなに?

簡単にいうと、「会社で決めたルールを、ちゃんと守っているかチェックする活動」です。

・ルールを守っていないと、大きなトラブルや事故になるかも…

・品質や安全を守るためにも、内部監査が大事!

 

ISO9001内部監査の目的とは?

内部監査には次の目的があります。

・運用が、ISO9001の要求に“適合”しているかどうかを確認

・運用が、自社ルールに“適合”しているかどうか

この証拠を現地現認で確認することです。(コロナ時にはリモートの事例もありました)

 

※内部監査のポイントについてはこちらの記事も参考になります。

ISO9001内部監査のポイント

 

では、どんな手順でやるのか、順番に説明します!

 

ISO9001内部監査の流れ(製造業・建設業 の場合)

 

① 監査計画を立てよう

いきなり現場に行って「はい、監査します!」ではダメです。まずは準備。

 

【目的を決める】

クレームを減らしたい、製品の品質を上げたい、安全第一を守りたい など

 

【対象と範囲を決める】

製造部を重点的に、建設現場A・Bを確認、不良や手直し手戻り、事故等のリスクの高いところから優先しましょう!

 

【スケジュールを決める】

例)7月5日 製造業
9:00~9:15 初回会議
9:15~10:00管理責任者・事務局
10:00~11:30 製造ライン
13:00~14:00 営業部門
15:00~16:00  まとめ
16:00~16:30 最終会議

 

② 内部監査チェックリストを作ろう

当日、何を確認するかをリスト化します。これで時短になるし、スムーズに進みます!

内部監査のチェックリストは、会社のルールやISO9001の決まりをもとに作ります。

 

大切なのは、最初から「5W1H(いつ・誰が・どこで・何を・なぜ・どうやって)」を使って質問を考えることです。

 

例えば、「この作業はいつ、誰がやっていますか?」「どこで実施していますか?」と順番に確認します。

ひとつの質問に対して「はい」「いいえ」で答えられる質問も組み合わせ、情報を整理しながら話を進めると、相手も答えやすくなります。

 

そして最後には「それを記録しているものを見せてください」「現場で確認してもいいですか?」と証拠を確認する流れが大事です。

話を聞くだけではなく、記録や現場の状況で裏付けを取ることで、正しい監査ができます。

 

現場監査:質問と模範解答

いよいよ本番!ポイントは「見る聞く」「証拠を確認する」「記録する」。

 

【製造業の例】

 作業手順に関する質問(電子データ管理・クラウド版)】

■質問

「この工程で使っている作業手順書の最新版を、クラウド上のデータで確認させていただけますか?」

■模範解答

「はい、こちらがクラウドで管理している作業手順書です。ファイル名は『MFG-2023-01』で、最終改訂日は2025年1月10日になっています。閲覧権限のある社員は、いつでもこのフォルダにアクセスできるようになっています。また、現場のタブレットからも確認できます。」

■補足

クラウド上のファイルには、発行日・改訂日・改訂履歴が記載されているかを確認します。さらに、過去の版が間違って使用されていないよう、アクセス権や履歴管理(バージョン管理)が適切に設定されているかもチェックします。

また、現場作業者が最新手順書を確実に確認できる運用になっているかも確認ポイントです。

 

②実際の作業が手順書通りかの確認

■質問

「今行っているこの作業手順は、手順書の通りに実施していますか?具体的に説明してください。」

■模範解答

「はい、手順書の『3.2 工程検査』に従って、組み立て後の寸法検査を実施し、合格なら次工程へ進める流れになっています。作業開始前に必要な治工具の点検も実施済みです。」

■補足

その場で実際に作業を観察し、「工程検査記録」や「点検チェックリスト」があるかも確認する。

 

③不良品処理に関する質問

■質問

「直近で不良品が発生した事例はありますか?あれば、その処理方法と記録を見せてください。」

■模範解答

「はい、先週の3月10日に穴位置不良の部品が出ました。不良品ラベルを貼り、不良品置き場に隔離し、『不適合品処理報告書 No.2025-0310』を作成しました。この報告書には原因分析と是正処置も記載済みで、改善策として作業者への再教育を実施しました。」

■補足

不適合品の区分方法(赤札や専用棚)も現地で目視確認すると効果的。

 

【建設業の例】

① KY(危険予知)活動の実施状況

■質問

「本日のKY活動の内容を教えてください。また、その記録を見せていただけますか?」

■模範解答

「今朝のKYでは『足場の滑りによる転落』を重点確認項目とし、対策として『足場の泥や水を作業開始前に清掃し、すべり止めマットを敷く』ことを全員で確認しました。この内容はKYシートに記録し、写真もあります。」

■補足

KYシートの記録内容、実施時間、参加者名簿、リーダーのサインが揃っているかを確認。

 

② 安全帯・保護具の着用確認

■質問

「高所作業中の作業員の安全帯の使用状況を確認させてください。フックはどこに掛けていますか?」

■模範解答

「全員が二丁掛け(ダブルランヤード)のフルハーネス型安全帯を使用しています。フックは必ず指定された親綱に掛けており、親綱は第三者による点検後のものを使っています。使用前点検チェックリストにも記録しています。」

■補足

現場で実際に安全帯が正しく装着・使用されているか、フックの位置や親綱の設置状態を目視確認する。

 

③ 工事日報と検査記録の確認

■質問

「昨日行った作業内容を、工事日報で確認させてください。あわせて、その作業に対する工程検査記録も見せていただけますか?」

■模範解答

「昨日は基礎の配筋作業を行い、工事日報に作業内容、作業員数、使用資材を記載しています。配筋検査は施工管理者と第三者検査員が立ち会い、検査記録(検査チェックリストおよび写真)を作成・保存しています。」

■補足

日報と実作業内容に矛盾がないか、工程写真や配筋検査記録の整合性を確認する。

 

【内部監査での質問と模範解答のポイント】

①現場作業者にも分かる言葉で質問する
→ 難しい表現は避け、具体的な行動を聞く

例:「KY活動やった?」→「今朝、どんな危険があるって話をしましたか?」

②「記録を見せてください」と必ず証拠を確認する
→ 口頭の説明だけでは証拠になりません!

 

③目で見て、手で触れて確かめる
→ 手順書・記録・実作業を、必ずリンクさせる

 

④ 内部監査の結果をまとめて報告しよう

内部監査が終わったら「よかった点」「直した方がいい点」を報告します。

 

【製造業の例】

良かった:測定記録がしっかり管理されていた

改善点:古い手順書が使われていた → 更新が必要!

 

【建設業の例】

良かった:KY活動が毎日実施されていた

改善点:有資格者の更新が必要 → すぐ手続きを!

 

⑤ 是正処置とフォローアップをしよう

問題が見つかったら、しっかり改善!

【製造業の例】

問題:測定機の校正が切れていた

修正:すぐ停止&校正会社に依頼

再発防止:校正記録のダブルチェックをルール化!

 

【建設業の例】

問題:安全帯をしていなかった

修正:作業を止めて即装着

再発防止:毎朝のチェックを徹底!

 

4.具体的なISO9001内部監査の質問と回答事例

ここからはISO9001実際の内部監査の質問と答えの例を紹介します!

営業、設計・開発、製造・施工、検査、購買管理の5つの業務について、それぞれ3つずつ。

 

【営業業務】

事例1

質問:「最近、新規顧客にどんな製品情報を提供しましたか?」

回答:「先月、B社のO様に製品カタログを説明しました。営業週報に記録しています。」

 

事例2

質問:「その時、顧客からの問い合わせやクレームはありませんでしたか?」

回答:「特にありませんが、納期についての確認がありました。議事録に記載済みです。」

 

事例3

質問:「主要顧客への月1回訪問のルールは守れていますか?」

回答:「C社とD社は先月訪問済み、E社は今週訪問予定です。全て週報で確認できます。」

 

【設計・開発業務】

事例1

質問:「設計変更の記録はどこにありますか?その変更は誰が承認しましたか?」

回答:「設計変更管理表に記録し、設計部長が承認済みです。」

 

事例2

質問:「開発した製品の安全面については、どんな試験をしましたか?記録はありますか?」

回答:「強度試験と耐久試験を実施し、試験成績書を保存しています。」

 

事例3

質問:「この一年で、設計業務が原因で製品不良が発生した事例はありますか。事例があれば内容を教えてもらえますか。」

回答:「この1年で設計業務が原因の製品不良は、昨年9月に1件発生しました。製品Aの部品が組立時に干渉し、不良となった事例です。」

 

【製造・施工業務】

事例1

質問:「●●作業に必要な手順書はあるのですか?ある場合、最新のものを使っていますか?」

回答:「はい。●●作業手順書に基づいて作業します。社内LANからダウンロードした最新版のものを、現場に掲示し、作業前に説明しています。」

 

 事例2

質問:「不良品が発生した時の対応は?結果の記録は何を見れば分かりますか」

回答:「不良品は赤札で区別し、移動できるものは不良品置場に隔離します。不良報告書を作成しています。」

 

事例3

質問:「今日は作業前に、安全確認は行いましたか?その記録は何を見れば分かりますか?」

回答:「今朝KY活動で確認し、作業者には安全帯とヘルメット着用を指示しています。KY記録に記録しています。」

 

【検査業務】

事例1

質問:「製品の検査記録はありますか?」

回答:「検査成績書に記録しています。」

 

事例2

質問:「不合格品があった場合、現物を合格品と混同しないようにどうしていますか?」

回答:「すぐに不適合品置き場に移動させています。」

 

事例3

質問:「測定機器は校正されていますか?校正した証拠は何を見れば分かりますか?」

回答:「年1回校正し、校正証明書を管理しています。現場では校正期限を表示しています。」

 

【購買管理業務】

事例1

「仕入先の選定基準は?」

回答:価格、品質、納期、実績で評価し、評価記録を作っています。

 

事例2

「納入された材料の検査はどこでしていますか?結果を何に記録しますか?」

回答:受入検査室で行い、受入検査記録を残しています。

 

事例3

「不適合な材料が納入された場合はどうしていますか?頻繁だったり重大な不適合の場合にはどうしますか?」

回答:受け入れを拒否し、仕入先に報告しています。頻繁や重大事には、再発防止策を仕入先と協議し、記録に残しています。

 

5.まとめ

ISO9001の内部監査の質問は、内部監査チェックリストを使いながら、「いつ(When)」「誰が(Who)」「何を(What)」といった5W1Hで質問し、具体的な業務の流れや実施状況を確認します。

 

このような質問により「はい」「いいえ」では答えられない情報を引き出しやすくなります。

その後、回答の裏付けとして現場の状況、記録を確認します。

「見せてください」「教えてもらえますか?」の一言を忘れず、ルールと実態が合っているかを証拠で確かめましょう。

 

ISOコムでは、業種や会社規模に合わせた内部監査の質問リスト作成や、監査員の育成をお手伝いしています。

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