ISO14001:2015年版のトップマネジメントレビュー 事例
投稿日:2018年11月19日 最終更新日:2024年12月8日
こんにちは。ISOコム マネジメントコンサルタントの亀田 昭子です。
ISOコム通信にアクセスしていただき、ありがとうございます。
今回のブログでは、「ISO14001のトップマネジメントレビュー 事例」として、ISO14001:2015版のマネジメントレビューとは、どのような情報を経営者にインプットし、経営者は、何をアウトプットすればよいかについて、考えていきたいと思います。
※【参考】ISO14001:2015年度版改訂のポイントについてはこちらをご覧ください。
では、マネジメントレビューとは、どの様なことを行えばよいのか考えてみましょう。
レビューとは?
レビューとは、どのようなことでしょう?わかっているつもりでもいざ聞かれると答えにくいカタカナ語だと思います。
辞書を調べると、レビューとは、再検討(する)、再考(する)、復習(する)、論評(する)、講評(する)、検査(する)、精査(する)、点検(する)、査察(する)、審査(する)、回顧(する)などの意味を持つ英単語になります。
では、マネジメントレビューとは?
皆様の会社の環境マネジメントシステムが、適切で、効果的な活動として、継続しているかを経営者(トップマネジメント)を含めてレビュー(再検討)する活動で、ISOの要求では、適切な間隔で実施する必要があります。
どのようなことを確認するのか?
マネジメントレビューにおいて、社内の担当者(管理責任者他)は、下記の情報を経営者に提供します。(マネジメントレビューのインプット)
①前回までのマネジメントレビューのフォローアップ:経営者から過去のマネジメントレビューの中で検討を依頼されたことに対する対応・進捗状況を説明します。
②環境マネジメントシステムに関連する外部・内部の課題の変化: 皆様の会社を取り巻く外部の状況の変化や会社内部の変化点について説明します。
例えば、会社の事業として新しい分野に取組むべき内容や同業他社の情報、現在対応している案件の対応状況などをインプットします。
③順守義務を含む利害関係者のニーズ及び期待の変化:順守義務として、会社が守らなければならない法律、規制の新規制定や改訂等による会社として取り組むべきことの変化や利害関係者(顧客だけでなく関係会社、地域の住民、都道府県や市町村の行政機関など)の要求事項の変化している点について説明します。
例えば、新しい製造設備を導入した時や新しい施工が始まった場合、騒音や振動が問題ないか、法規制を順守しているか、近隣からの苦情や要求がないか等を検討し、説明されるといいと思います。(必要に応じて、住民説明会を開くなどアクションを決める必要もでてきます)
④著しい環境側面の変化:皆様の会社の活動・業務に対して、著しく環境に影響を及ぼしているところを明確にし、対応を検討されていると思いますが、新たな事業や新たな設備などを導入した場合などにおける著しい環境側面の変化した点を説明します。
例えば、新規事業を導入した時、今まで建設のみ行っていた建設会社が土木業務も導入した場合、自社の発電として、太陽光発電を導入した場合など、著しい環境側面が変わってきますので、説明されるといいと思います。
⑤リスク及び機会の取組みの変化:②内部及び外部の課題、③順守義務を含む利害関係者の要求事項、④著しい環境側面の変化に対し、会社のリスクや機会がある点の変化について説明します。
例えば同業他社の動向から、当社の売り上げが減少する、公共事業のみの業務から民間業務も参入することにより売り上げが増加するなど変化点から取組み内容を検討するといいと思います。
⑥環境目標の達成状況:皆様の会社で設定している環境目標の達成状況を説明します。
現在設定している目標の達成状況の説明です。環境目標は、先ほどから説明している、リスク及び機会の取組みの変化等から、達成状況に対する問題点や今後達成するために対応すべき点などを、説明されるといいと思います。
⑦不適合及び是正処置状況:業務における不適合が発生することにより、環境にも影響を及ぼすことが多々ありますので、業務の不適合また、順守義務などの逸脱による是正処置の状況など説明されるといいと思います。
⑧監視及び測定の結果:環境目標を達成するために監視・測定されている項目の測定結果を説明します。
例えば、マニフェスト報告書を提出するための廃棄物の量、事務所等で使用されているエアコンの定期点検結果、太陽光発電量と電気使用量など、環境目標や自主管理項目として設定している事項についての監視・測定結果の報告です。
⑨順守義務評価結果:法規制の順守を定期的に実施されていると思いますが、その評価結果の説明になります。
審査機関によっては、新たな業務(特に新たな施工現場)が発生した場合は、その都度、評価を行うべきと言われていますが、法規制は、改版があります。また、新たな場所で業務を行う場合は、その市町村の法令も確認する必要がありますので、新たな法規制や関連法規制の改版状況を確認し、その評価を行う必要があります。
⑩内部・外部監査の結果:前回の(昨年や半期前に実施した)マネジメントレビューの後に行った内部監査・審査機関によるISO審査やお客様の監査、行政機関の監査等の結果について、報告します。特に指摘の改善状況は、経営者に報告し、今の対応でいいかどうか、経営者に確認しましょう。
⑪資源の妥当性:
あなたの会社の中の経営資源(人・設備・作業環境等)の状況を報告しましょう。例えば、人が足りない場合、どんな仕事をする人が足りないのか、どの設備が古くなって故障がちなのか、新しい業務を始めるには、こんな設備が必要など具体的な計画が立てられるように、経営者に報告しましょう。
社員等、会社で働いてる皆さんの要求や社内の課題を解決するためには、経営者に理解してもらう場として、このマネジメントレビューがとっても大切なんです。
⑫苦情を含む利害関係者からの反応や情報:利害関係者とは、お客様だけでなく、あなたの会社の協力会社や役所等の行政機関、地域住民の方なども含まれますので、この利害関係者からの苦情を含め、あなたの会社に対する要望などがあれば、それを報告します。例えば、物作りの工場の場合、製造設備の音がうるさく、近隣から苦情が出ている、協力会社からの納期変更や価格変更の要望が出されている等を経営者に報告しましょう。
⑬継続的改善の機会:会社の中で、どんどん改善していることの状況の報告などを行います。社内で小集団の改善活動や改善発表会を行っている場合があれば、改善状況やその効果、今後の改善活動について経営者に報告します。改善の内容として難しいことを報告しなくても新しい設備を導入した時の教育や緊急事態訓練による対応方法の改善等の報告でも問題ありませんよ。
マネジメントレビューのアウトプット
経営者は、前段に記載した報告してもらった内容から、下記に対して、コメント(提言)します。
①EMSが引き続き、適切、妥当かつ有効であることに関する結論:
報告された内容から経営者は、あなたの会社の環境の取り組みが問題なく、効果を出していける仕組みなのかを決めて報告します。足りない点があったら、経営者から社員の皆さんに対応を頼んで、次年度の目標に折込むなど、対応の検討を経営者から依頼しましょう。
②継続的改善の機会に関する決定:報告された内容から、これからも続けて改善しなくてはいけない活動などあれば、経営者から社員の皆さんに報告します。
例えば、リスク及び機会として検討した内容のうち、会社が良くなる機会やこれからも対応していかなければならない取組みがあれば、それを推進することを依頼することもいいと思います。住宅建設会社で、省エネ住宅建設を推進することが改善の機会として捉えている場合、省エネ住宅設計技術・質の向上のために例えば、設計者の増員や省エネ設計技術の取得などを経営者が決定します。
③資源を含むEMSの変更の必要性:報告から社内の経営資源(人、設備、作業環境など)を変更する必要性があるか経営者の考えを説明してもらいましょう。
例えば、人不足がある場合、経営者としては、採用を行うか、社員を活用するかについて、経営者の考えを説明してもらいましょう。また、古くて故障がちな設備は、新しく取り換えるか、修理点検して乗り切るか等、会社の財政上の課題もあるので、そんなことを踏まえて説明するといいと思いますよ。
④環境目標が達成されていない場合の対処:報告された環境目標が達成していなかった場合、今後どう対応すべきか、経営者の考えを社員の皆さんに通知しましょう。目標を見直しすべきか、目標を達成するための対策を新たに考えるのか、新たな資源等を導入すべきかなどです。
⑤他の事業プロセスへの環境マネジメントシステムの統合を改善するための機会(必要な場合):品質マネジメントシステムや労働安全衛生マネジメントシステムなど他のマネジメントシステムと統合している場合、統合マネジメントシステムとして改善する必要があるか、どの様な改善をすべきかなど報告してください。
⑥組織の戦略的な方向性に関する示唆:会社としての今後どんな方向に行きたいか、今のマネジメントシステムが会社の目指す方向に見合ったものか説明しましょう。会社の事業を拡大しようとして、新しい組織を作る、人の採用を促進しているので、マネジメントシステムが拡大される等、これからの方向性を示しましょう。
今回のブログで、マネジメントレビューのインプット・アウトプットの詳細について、説明しましたが、ご理解いただけたでしょうか?
マネジメントレビューは、経営者と話し、会社を良くすると共に、従業員の皆さんの満足度を上げる活動だと思います。
効果、成果のある場を作っていきましょう!
あなたの会社の事業がもっと反映するように。そして、環境へもっと優しい会社になるように。
まとめ
マネジメント・レビューが出来てないと、せっかく取り組んだ成果を、社長が事業の内容を正確に知らないままに舵取りをしてしまい、会社の向かう方向を間違ってしまう可能性もあり、大変なことになるかも知れません。
でも、ISOコムのISO14001取得コンサルを受ければ大丈夫!
あなたの会社が環境配慮の為に取り組んだ成果を、正しく社長に報告するためのわかりやすくて使いやすい仕組みを伝授します。
ISO取得のご依頼はこちらまで今すぐ『お問い合わせフォーム』からご相談を!
ISOコム株式会社お問合せ窓口 0120-549-330
当社ISOコム株式会社は各種ISOの新規取得や更新の際のサポートを行っているコンサルタント会社です。
ベテランのコンサルタントが親切丁寧にサポートしますので、気になる方はぜひご連絡下さい。