ISO内部監査の進め方
投稿日:2019年8月6日 最終更新日:2024年9月28日
こんにちは!
ISOコム マネジメントコンサルタントの柏木 博です。
今回は、ISO内部監査の進め方(ISO9001)を説明しますね。
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ISO9001における内部監査の要求
ISO9001は、仕組みの運用を、会社が決めたルールと規格の要求に合っているかを確認して、監査の依頼者(経営層)に報告するために行うよう求めています。
内部監査の目的
会社が決めたルールに対して、ヒアリングや作業現場の観察等により、証拠を確認していきます。
この際に、ルール通りに運用できているか(適合性)と、運用した結果、期待している成果、パフォーマンスにつながっているか(有効性)を確認することを目的としています。
例えば、社長の目から見て、経営の指標や仕組みの成果のデータから、十分とは言えない、又は会社の目的が十分達成できてないと判断する時、社内の仕組みが計画通りに動いているかどうか気になります。
この場合には、適合性の観点から、仕組みの確認を行うことになります。
内部監査の結果、仕組みの一部が正常に働いていないことが確認できれば、仕組みを改善します。
また、成果やパフォーマンスがいまいちで、仕組みの運用が、規格や自社ルール通りに運用していれば、有効性の観点から、目的達成には不十分なISO9001のシステムと判定できますね。
更に、異常が起こる予兆がないかも気になりますね。
内部監査結果の報告
内部監査の結果をマネジメントレビューで経営層に、更に監査を受けた部門の責任者へ報告する事が必要で、有益な情報になります。
せっかく時間をかけて実施するなら、成果に結びついて、業務効率化にもなるような改善が沢山出るのがいいですよね。
内部監査の準備
内部監査の実施範囲、実施時期の決定と監査する部門への通知、内部監査員の選定、チェックリストの作成及びその内容確認などがあります。
1回の内部監査で、全ての部門を監査できないときは、計画的に監査を実施することが必要なので、各回の監査範囲を定めておきます。
内部監査の実施時期
内部監査の結果を、マネジメントレビューに報告するので、不適合の是正処置の完了後に、マネジメントレビューを行うタイミングで、時期を決めるとよいでしょう。
なお、近年は、マネジメントレビューを、経営層の会議に合わせて、複数回行う企業が増えています。
(例:毎月の経営会議、幹部会議等)
内部監査員の選定
監査員の人数としては、ISO規格(ISO9001,14001,27001,45001,22000,FSSc22000等)等では、自分の仕事を監査することを禁止されていますので、最低2人は必要です。
被監査部門と関連が深い組織から監査員を選定することは、他の部門の中味を知る、良いタイミングにもなり、会社を横断的に見る視点も養われるため、人材育成の観点からも有効と言えます。
部門間の風通しの改善を望むなら、上流部門、下流部門の監査員が有効ですし、業務改善を狙うなら、類似業務部門や、別拠点で同じ機能の部門がクロスしてお互い監査し、監査を受ける形が有効です。
チェックリストの作成
マネジメントマニュアルや、社内規定のような社内共通のルールの他、、監査される部門が使っている業務手順書などを使って、チェックリストを作ります。
できれば、監査員が作ることが、監査の効果を高めるには望ましいですが、事務局さんが作ることもありますね。
いずれにせよ、社内ルールや監査を受ける部門が使う手順書を読み込み、事前に理解して監査に臨むことはとても大事です。
監査直前にチェックリストを事務局から渡されて、とりあえず、チェックリストを読んで質問していく・・・
というのは、禁止されているわけではありませんが、チェックリストの質問の意味の理解、返ってきた答えが想定外の場合の臨機応変な対応等に、影響が出て、監査の目的から外れてしまう可能性がありますね。
監査前に、ルールの不自然さがないか、足りないところがないか、などをチェック。
業務の質に影響が高いところをピックアップしていきます。
時間不足で確認できなかったところは、次回の監査で実施できるよう、チェックリストに書いて、監査報告書に反映させて、申し送りするなどするとよいでしょう。
監査員が作成したチェックリストは、事務局で確認する。
事務局がチェックリストを作成したら管理責任者が、その内容がいいか確認するのがよいでしょう。
内部監査員に必要な力量
例えば、ISO9001の場合、ISO9001「9.2 内部監査」では、内部監査員の選定についての要求はありますが、監査員の力量については言及されていません。
一方で、ISO9001「7.2 力量」では、ISO9001の成果に影響のある仕事をする人には力量が必要だと書いています。
ここから内部監査の結果がISO9001の成果に影響があるので、力量が必要になると思います。
これは、ISOのマネジメントシステムの他の規格でも同様に理解いただけるといいと思います。
通常は、ISO19011という監査に対する要求を書いて規格があるので、ここから必要な力量をピックアップしておくとよいでしょう。
ISO9001内部監査の進め方
では、ここからは実際の内部監査の進め方についてご説明します。
内部監査の実施
監査は、事前打ち合わせ、監査の実施、審査所見の整理、審査所見に対する協議、監査後の予定の確認などが必要になります。
事前会議
監査する側から、監査の目的、監査対象とする範囲(監査の対象とする手順書の種類など)、監査対象の仕事の確認をします。
お互い顔見知りの場合には、自己紹介等は必要ないでしょう。
監査する側がリードして打ち合わせを進めます。
監査の実施
事前に用意したチェックリストを使って行い、項目毎に監査結果をメモしていきます。
良い点があれば積極的に評価することは大切です。
指摘ばかりでは監査される側のモチベーションも下がりますので。
また、不適合や改善・推奨等は、業務改善につながるので、監査所見として記録します。
監査終了後は、一旦、監査結果を整理します。その後、終了会議に臨みます。
終了会議
監査後に作成する報告書に書くものは、総評(監査対象範囲の業務がルール通りか、成果が上がっているかの評価等)、その中で良かった点、
改善が望まれる点(不適合事項、推奨事項等)を報告します。
改善点につては、改善の必要性、修正処置、原因究明、再発防止策の実施、再発防止策が機能しているかの評価については、監査された側と、内容と実施期限の合意が必要です。
一方的な押し付けにならないように、ルールと確認した証拠を丁寧に説明します。
監査はどうやって進めるか?
基本はインタビューによる面談形式です。
できるだけ職場や作業場所で聞くのがいいでしょう。
会議室に閉じこもるのは現場の証拠に基づかない内部監査になるのでNGです。
面談での回答を確認する場合には、職場や作業場所に行って観察する、ルールが書かれているマニュアルや手順書、帳票を確認する、仕事の結果の記録監査では、不適合を探すのではなく、ルール通りの仕事ができていることを確認するのが目的です。
不適合が見つからなければ“適合”になります。
適合かどうかは、面談の内容、回答されたことを裏付ける証拠(仕事をしている様子、文書や仕事の記録)で、確認します。
回答と証拠が守るべきルールや手順と違えば、または不足があれば、不適合の可能性があります。
監査を受ける側が、ルール通りに仕事をしていること証明するために、証拠を出してもらい、確認する必要があります。
なので、監査される側は、いつも社内ルールや手順を意識して仕事していなければ、必要な証拠をすぐに出せない、ということになりますね。
内部監査の報告
監査報告書を作ることが一般的です。
報告先は、内部監査の依頼者となる、経営層になるでしょう。
工場単体で認証している場合には、工場長となることもありますね。
別に内部監査の責任者がいる場合は、その責任者に報告します。
また監査を受けた部門に対しても報告します。
監査報告書では、監査日時、監査対象部門、監査範囲・基準、総評(監査対象範囲の業務がルール通りか、成果が上がっているか等)、良かった点、改善が望まれる点(改善・推奨、不適合)などについて報告します。
この監査報告書は、マネジメントレビューのインプット情報となります。
ISO9001の内部監査は品質改善が見つかる重要な機会
以上が、ISO9001の内部監査の進め方の最初から最後までです。
内部監査を適当にやっていたのでは、監査する人、監査を受ける人、結果の報告を受ける経営層など、みんなの時間の無駄になってしまいます。
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