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電子部品の設計製造業 ISO9001の文書をスリム化する流れ(埼玉県での事例)

投稿日:2021年8月24日  最終更新日:2025年3月31日

電子部品

こんにちは。
今回は、電子部品の設計・製造会社がISO9001のマニュアルや文書を削減し、スリム化するにはどうしたらいいかについてお話をしてみます。

電子部品業界の特性と問題点

電子機器に使用されているプリント基板の製造は、スマートフォンやゲーム機等、同じものを大量に生産する少品種大量生産とスーパーコンピュータに使用されるプリント基板のような多品種少量生産があります。

この多品種少量生産は、いろいろな形のプリント基板にプリント基板ごとに異なった部品を使用するため、生産に時間がかかります。

製造を自動化してもセットする部品の交換が頻繁にあるため、効率化が難しく、そうした製品は、外部へ製造委託する企業が多くあります。

以前は、国内に製造委託会社が多くありましたが、コストの面で海外工場に委託する企業も多くなり、国内の工場が減少してきていました。

しかし、新型コロナの発生により、海外への展開も難しくなり、また、品質の面からも国内の製造委託会社に再度委託する企業も増加しています。

そのため、この業界は、以前より業務が増加している傾向が見られます。

依頼から製造・出荷までの流れ

ここでは、一般的な流れを説明してみます。

1. 電子機器製品提供企業より依頼を受ける

最初に、電子機器製品提供企業から発注されます。その時には、発注書や図面、必要に応じて製造に必要な部品を供給されることもあったりします。

特に製造に必要なプリント基板や重要部品は、顧客より供給されたり、自社購入したりもしている場合もあります。

2. 部品準備

顧客より供給された部品以外に必要な部品を発注、管理します。

3. 図面に基づいた製造

顧客から供給された図面に基づいて製品を製造し、顧客へ提供します。

主な部品については、自動実装機に部品をセットし、自動で、実装したりします。

自動実装できない部品は、作業者の手で実装する場合もありますね。

部品を実装した後は、はんだ付けを行い、その後、外観検査機又は、目視で検査を行い、その後、必要に応じて試験を行い、顧客へ出荷します。

電子部品のISO9001スリム化(マニュアル削減)事例とは?

(1) スリム化対応のための現状の確認

スリム化を行う前に今のマネジメントシステムの状況、どのような品質マニュアルを作成しているか、どのような基準・手順書・記録類があるか、今までの審査での所見・コメントの確認を実施し、どこに負荷がかかっているかを確認します。

(2) 品質マニュアル、手順書の見直し

品質マニュアルについては、要求事項に対し、最低限の対応を記載することで問題ないか、今までのマニュアルの中で必要な部分を記載するかを相談しながら、見直しを行い軽量化を進めます。

また、関連規定がある場合、今でも活用しているか、マニュアルに引用する必要がある規定かどうか確認し、不要な文書は、マニュアルからの引用をやめます。

やめるといっても、廃棄するかどうかは別で、本当に不要なら廃止、必要な事もあるかも、ということであれば、会社の知識・情報としていわゆるその他ファイルに保管しておくにも良いかもしれませんね。

また、品質マニュアルに引用していない手順書・規定がある場合、現在使用・活用しているかどうかを文書管理をしている台帳や各規定等に基づいて、確認し、不要なものを、ISO9001の管理すべき文書から除外します。

(3) 内部監査・マネジメントレビューの見直し

内部監査やマネジメントレビューの内容では、ISO9001の規格要求事項以上の過剰な管理をしていないかを確認します。

過剰な資料がある場合には、その部分について、”ISOのためかどうかは置いておいて、会社にとって本当に必要か?”を質問します。

“No”であればISOの規格要求で最低限必要な資料のみに簡略化を行います。

マネジメントレビューについても同様に行い、簡略化していきます。

ISO9001 マネジメント・レビューの実施頻度と実施方法について

 

電子部品設計・製造におけるISO9001をスリム化するメリットとは?

2015年版のISO9001では、以前のISO9001 での文書(手順)作成の要求が緩和されました。

要求事項の中に「文書化した情報として維持しなさい。保持しなさい。」として要求されている以外は、自社で必要と判断したものを作成することでよいことになっています。

長年ISOに取組まれている企業では、文書量が非常に多く、またその文書を作成して、運用している効果に対し、疑問を持たれていらっしゃる組織が多くあります。

現在要求されている文書化した情報については、会社が良くなるために必要なところを文書化しなさいという要求です。

最低限、ISO9001で要求されている文書のみ準備することで認証可能となります。

そのため、2008年版以前のISO9001を取得されている組織では、マネジメントシステムのスリム化が可能となります。

ISO9001取得後、それまでなかった手間や書類が増えて、負担に感じたまま仕事を続けると、心身共に負担が増え、ミスも出やすくなり、かえって余計な仕事が増えたりしてしまいます。

また、余計な手間や書類で、普段の仕事に必要ないと判断して飛ばしてしまうと、審査の前に、その書類を作る、という本当に無駄な手間や仕事をするという、本末転倒なことになりかねません。

今までのマネジメントシステムが負担に感じている組織の皆様、また、文書が多く、組織の実態に合っていないと感じている組織の皆様、マネジメントシステムのスリム化(文書の削減)を進めてみませんか。

ISOコムのマネジメントシステムのスリム化コンサルティングは、皆様の効果的なマネジメントシステムの推進につながるものと信じています。

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