ISO認証が取り消しになったらどうする?その影響とは
投稿日:2022年3月22日 最終更新日:2024年6月5日
こんにちは。ISOコムの芝田 有輝です。
今日は、ISO認証が取り消しになったらどうする?その影響とは についてお話してみたいと思います。
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ISO認証取り消し事例とは?
私たちはこれまで、ISO9001や14001などを始めるとする認証支援のコンサルティングを始めて25年目になりますが、
日本国内でISO認証が取り消しになった事例にはどんなものがあったのか、振り返って考えてみたいと思います。
・某菓子製造メーカーが、工場で製品の製造中に床に落ちた材料を、拾い上げて、もう1度
使って製品を作っているということが、日常的に起こっていたことが発覚した。
・某電力会社が、データの改ざんをしていることが発覚した。
・建築物の耐震偽装に関わっていた。
・某自動車会社で製造した車輌が、走行中に車輪の脱輪によって人を跳ね、死亡に至らせてしまった。
・某電気メーカーの製品出荷前検査で、検査資格のない者が検査を行っていることが発覚した。
・某タイヤメーカーが、不適切な方法で品質の試験を行い、結果のデータを改ざんしていた
“ISO 認証取り消し”で検索すると、審査機関のサイトから色々と実名でISO取り消しや、一次停止の事例やその理由が公表されています。
最近多いのは、「意図的な不正の発覚」のようです。
恐らくですが、内部告発によって発覚したのかなと想像します。
また、上記事例の中では、企業不祥事がテレビや新聞などのマスメディアによって大きく報道されたこともありますので、ご存じの方も多くおられるのではないでしょうか。
次に、ISO認証が取り消しになるまでのプロセスを考えてみましょう。
ISO認証が取り消しになるまでのプロセスとは?
(1)不祥事が発生
(2)内部告発等→ISO審査機関又は、認定機関(JAB等)が報告を受ける
メディアでの報道→ISO認定機関(JAB等)が知る→ISO審査機関が知る。
(3)当該企業への「特別審査」の実施
(4)認証取り消しor一次停止
(5)審査機関が結果をホームページなどで公表
特別審査は、通常行われる審査とは異なり、不祥事が発覚した背景やプロセスなどについて現地に向かい、集中して、経営層や関係者にヒアリング、証拠の確認を行い、
結果、認証の取り消し、一次停止になるという流れになるようです。
私自身、特別審査ではありませんが、経営層が環境関連法違反で報道された会社へ、ISO14001の審査にリーダーとして参加したことがあります。その審査には、審査機関の審査部長も同席していました。
その際には、経営層に、事の発端からの経緯を一つ一つ細かくヒアリングし、
再発防止策が形だけでなく、本当に効き目が期待できるのかどうかを非常に緊張しながら確認していった記憶があります。
結果、一次停止とはなりませんでしたが、審査する側としてとても緊張しましたね。
ISO認証が取り消しになったその影響とは?
ISO認証取り消しによる影響というのは、当初その企業がISOを認証する目的や背景によって影響が異なるとは思いますが、
当社調べでは、ISOの認証に取り組む企業の約95%が、取引先やお客様からのISO認証を要求や、入札参加するのに必要など、売り上げを確保するために必要だということで認証に至るので、
ISO認証が取り消しになることによって、ISOの認証を取引する条件として要求していた取引先やお客様との取引がなくなったり、これまで継続して参加できていた入札へ参加資格がなくなってしまい、売上げが落ち込むことが考えられます。
更に、脱輪による死傷、データ改ざん、耐震偽装などからのISO認証取り消しの事例では、新聞やテレビなどのマスメディアによって、大きく報道されることもありますので、
そのことによる風評被害で、直接の事象以上に、その企業に対するイメージが大きく損なわれ、直接不祥事に関係しない製品やサービスを提供しているお客様から取引を見合わせられてしまうなど、悪影響が拡大する可能性は、あると思われます。
ISO認証が取り消し後の処置
認証が取り消しになった場合は(不祥事など)1年間は、当初審査をしていた審査機関の審査を受けることは出来なくなります。
また、その審査機関以外の審査機関に移転しようと思っても、審査機関同士でその情報の共有がなされており、再認証の申請をしようと思ってもどこも受け付けてくれないという状況になります。
組織の不祥事以外であれば、認証取り消しになった理由(理由にも寄りますが)が解消されていることが確認できれば、再度の認証は可能と思われます。
ただ、不祥事の場合で例えば、データ改ざんや重大な事故については、企業として修正処置、原因究明、再発防止策の実行、水平展開をISOのマネジメントシステムに基づいて実行し、審査機関に報告し、有効性が認められれば、効果を確認していくということは必要であり、審査機関もこのあたりを入念に確認します。
ISO審査制度は、顧客や社会からの信頼に基づいた制度です
色々とお話ししましたが、顧客など、その組織に発注する会社や人々から信頼を損なうような行為をした会社が、ISO認証取り消しになっています。
それは、そもそもISOの審査制度が、顧客、発注者が、「ISOを取得している会社はいい会社である」という信頼に基づいた制度であるためです。
以下は、公益財団法人 日本適合性認定協会(通称JAB/ジャブ)のウェブサイトです。
https://www.jab.or.jp/accreditation/system/
あなたの会社を審査する審査会社を認定している組織です。
このサイトには、私たちが製品を買ったり、サービスを利用したりするときに、
安心して頼めるかの「判断する拠り所になるもの」として、「その会社に信頼できる仕組みがあるのかをあなたに代わって確かめ」、仕組みが出来ていることを確認できれば「認証」という形で、信頼を支える(担保する)ことが書かれています。
つまり、ISO審査制度=信頼 ということができます。
この信頼を損なうような行為をしてしまったら、ISO認証が取り消しになるのは当然とも言えますね。
ただ、取り消しになっても、その後修正対応を行い、再発防止策を作り、水平展開も含めて実行し、再発していないことが確認できれば、再度の認証も可能ですので、信頼回復のチャンスが残されている制度でもあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ISO認証が取り消しになったらどうなる?その影響とは、についてお話ししてみました。
ISOは信頼の証。
その信頼に見合うだけの仕組みと実行があって初めて信頼に見合う組織なのだとも言えます。
ですので、ISOは、とるのが目的、とったら終わりではなく、とってからがスタートでもあります。
つくった仕組みを実行し、外部や社内の変化に対応して仕組みを磨いて、もっとよい成果を出し、会社として成長し、より顧客や社会から信頼されることを目指していくものと考えます。
そういった意味では、自分たちの会社に合った仕組みを作り、自分たちで実行できる仕組みを作ることの大切さ。
自分たちでその仕組みを説明し、証拠を出し、審査員を納得させて審査に合格するということが、
あなたの会社に発注してくれる顧客、発注者の信頼に値するということが、如何に大切なのかをご理解いただけるのではないでしょうか。
そのための支援をISOコムでは、全力で行います。
あなたの会社の業務を理解した上で、あなたの会社に合った、実行しやすい仕組みを作り、自力で審査に合格し、顧客や発注者から更なる信頼を獲得できるよう強力に支援します。
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