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ISOが無駄になっていないか

投稿日:2025年10月26日  最終更新日:2025年10月26日

【この記事の執筆者】芝田有輝

 

講座風景

みなさんこんにちは。ISOコム (アイソコム)   株式会社 芝田 有輝です。

今日は、ISOが無駄になっていないか について、お話ししてみたいと思います。

 

ISO9001、ISO14001、ISO27001を中心にの真の価値を引き出す方法をお伝えします。

 

1.ISO取得の本当の目的を見失っていませんか?

理由は、これらの規格は、弊社の印象値でいいますと、比較的、取引先からの取得要求によって、本当は取得したくはないけど、取得を余儀なくされての取得、というのが、全体の9割以上を占めると感じています。

 

例えば、主要取引先。親会社からの取得要求、入札参加条件にこれらの規格があるなどですね。

 

つまり、“取得が目的”となり、取得したら目的達成となる傾向があるため、取得後は、以下のように、毎年一回の審査を仕方なく受け続けるという傾向が多いように感じます。

 

「取引先に言われてISO9001を取ったけど、正直ムダに感じている」
「ISO14001を維持するだけで精一杯。返上しようか迷っている」

 

実は、このように“ISOが形だけになっている企業”が全体の9割以上を占めているように感じています。
しかし、ISOを正しく運用すれば、売上や業務効率、社員の意識までも変わるのです。

 

2.ISOへの取り組み姿勢は2つに分かれる

企業のISO運用は、大きく次の2タイプに分かれます。

  • 維持できれば良い(形骸化型)

審査費用を経費として、できるだけ安いコストで、最低限の取り組みに済ませてISOの維持のみを目指す。

  • 取得効果を出す(成果創出型)

審査費用を経費ではなく、投資として、取り組み成果を追求する

 

ちなみに、ISOコムのコンサルでは、この“成果創出型”に企業を導くことを目的としています。

 

では、夫々詳しく解説しましょう。

 

3.維持目的(形骸化)型の審査の受け方

審査費用を経費として、できるだけ安いコストで、最低限の取り組みに済ませてISOの維持のみを目指すので、目的が維持で、あればよい、ということなので、その取り組みは極力最小限にして、成果は視野になく、コストも最小限にしたい。

 

この場合には、

 

・ISOで要求されている外部内部の課題、利害関係者からのニーズ及び期待、リスク機会、目的目標等は、苦労しなくても達成できる程度の内容にして取り組みの苦労がないようにする

 

・内部監査

形式的にチェックリストに基づき、書類を中心に、ルールと書類合わせに終わるため、業務改善につながる指摘はなく、監査の効果はほぼなし

 

・マネジメント・レビュー

 

形式的に記録フォームを埋めて、完了するため、無難な内容となる。改善につながる課題の記載や必要な対策には至らない。

 

・ISO9001特有

製品不良やクレームは会社の売り上げや利益、お客様評価につながるのでここは前向きに取り組む。一方で、ISO9001で要求されている、不良やクレーム発生時の記録作成や、原因究明、再発防止策については、顧客要求時以外にはあまり取り組まないため、社内不良の低減には中々つながらない。

 

・ISO14001特有

環境法規制の最新化や順守評価は、初回審査時にコンサルが入ったままで分かる範囲で見直しを行う。しかし、誰も理解をしておらず、組織主体の管理になっていないため、法規制違反や近隣苦情発生のリスクが潜在する。

 

・ISO27001特有

情報資産台帳について、新規や追加の情報資産の見直しやそれに伴うリスク評価が十分でないため、情報漏洩や情報事故、アクセス出来ない等のトラブルが潜在する

 

4.成果を出すISO運用とは?(ISOを投資として活かす)

審査費用を経費ではなく、投資として、取り組み成果を追求しますので、以下のような成果が期待できます。

 

・事業課題、目標管理

ISOで要求されている外部内部の課題、利害関係者からのニーズ及び期待、リスク機会、目的目標等は、実際の事業継続上、必要な課題を洗い出し、漏れなく文書化し、事業計画書や中期経営計画、又はそれに準ずるような形式でまとめ、優先順位を決めて、目標や維持管理課題にし、会社の必須事項として取り組み、様々な会社の課題解決につながり、事業継続に役立つ。

 

・内部監査

製造や建設等、実際の作業現場を含めて、業務上の課題を見つけ、改善することを目的に行います。そのために、内部監査員の教育もレベルアップを視野に継続して行います。その結果、社内の人でしか気づけないような、業務上の課題について、内部監査で指摘に上がるようになり、本格的な業務改善につながります。

また、内部監査員は、自分の仕事以外の他部門などの仕事内容や作業内容を深く理解することができ、部門間での課題解決が比較的スムーズに進むことが期待できます。

更に、中長期的には、徐々に会社全体から自分の仕事の位置づけ、重要性を理解し、将来の幹部候補生としして期待できるようになります。

 

・マネジメント・レビュー

会社経営の健康診断的にマネジメント・レビューを位置づけます。

ISO規格でマネジメント・レビューのインプットで要求される事項について、実際のデータを元に状況を把握し、経営層が、次の事業継続のための重要な一手を指示、決定するための有効な位置づけになります。

 

結果として、規格毎に以下のような成果が期待できます。

 

ISO9001:不良やクレームの低減、納期順守率の向上、業務効率化、歩留まり低減、顧客満足度の向上、リピート率の向上、取引先の拡大、売り上げ向上

ISO14001:環境保護、環境汚染の低減、リサイクル率の向上、Co2排出量の低減、不良やクレームの低減、業務効率化、近隣住民からの苦情撲滅、取引先の拡大、売り上げ向上

ISO27001:情報事故の低減、インシデントの低減、顧客満足・安心感の向上、取引先の拡大、売り上げ向上

 

・ISO9001特有の成果

製品不良やクレームは会社の売り上げや利益、お客様評価につながるのでここは前向きに取り組む。一方で、ISO9001で要求されている、不良やクレーム発生時の記録作成や、原因究明、再発防止策については、顧客要求時以外にはあまり取り組まないため、社内不良の低減には中々つながらない。

 

・ISO14001特有の成果

環境法規制の最新化や順守評価は、初回審査時にコンサルが入ったままで分かる範囲で見直しを行う。しかし、誰も理解をしておらず、組織主体の管理になっていないため、法規制違反や近隣苦情発生のリスクが潜在する。

 

・ISO27001特有の成果

情報資産台帳について、新規や追加の情報資産の見直しやそれに伴うリスク評価が十分でないため、情報漏洩や情報事故、アクセス出来ない等のトラブルが潜在する

 

5.審査機関の選定や審査員の選び方

意外と見落とされがちなのが「審査機関の選び方」です。

 

  • 維持できれば良い(形骸化)の場合

毎年の審査を受ける目的は、規格の維持のためだけになります。往々にしてセレモニー化する傾向があるように感じています。

 

不適合指摘は、 “出してほしくない”“めんどくさい”“対応に手間がかかる”“指摘された部門が経営層に叱られる”など受審する組織の潜在的な要望を審査員が忖度します。

 

ISO規格と書類や記録の照合を中心にして、作業現場はほとんど見に行かない、という傾向があると感じています。ですので、作業現場での指摘はほとんど書かれることはないと思います。形式的にそろっている書類を形式的に確認して、問題なしという感じで審査を終わります。

 

また、本来合ってはいけないことですが、“不適合指摘をだすと、その後のフォローに時間を要する”ため、審査員側の業務効率を重視して、不適合を出さない傾向があると感じています。

そのような“やさしい審査”を行うため、不適合はまず出されません。改善や観察事項などは出されますが、こちらは審査上は、適合の範疇ですので、その後、指摘対応をするかどうかは、会社次第ですので、この指摘対応をすることはまずありません。

 

結果、審査を受けることによる、業務改善や課題解決にはつながりません。

ただ、審査に合格した、という維持のみが成果となります。

 

一概には言えませんが、価格の安さを強みとしてアピールされる審査機関は、往々にして、審査の質として、ほとんど不適合指摘を出さない傾向があるように感じています。

 

6.本来有るべき第三者審査とは?

審査は、正式には第三者審査といいまして、あなたの会社の発注者や利害関係者などの代わりに、第三者の立場で現地現認(ICT審査も一部有ります)で証拠で確認し、規格要求に準じた適切で有効な取り組みを証明することを目的にして行います。

 

そういう意味では、適正に指摘を出してくれる審査機関や審査員が、本来の第三者審査であり、毎年とはいいませんが、時々不適合指摘がでる、というのが健全な審査結果ではないかなと思っています。

 

  • 取得効果(成果創出)型審査の受け方

毎年の審査を受ける目的は、事業継続や業務改善などの視点から、自社では中々気づくことの出来ない視点での指摘を期待します。

外部で受ける健康診断のようなイメージでしょうか。勿論、ISOの維持は当然のことではあります。

 

不適合指摘は、気持ち的には歓迎ではないが、必要であれば対応するつもり、改善の為の提言はできるだけ沢山もらいたいという態度で審査を受けます。

 

審査員はそのことを理解して審査に臨みますので、規格要求に対する適合性だけでなく有効性も踏まえて細かい点も含めて、特に生産現場に足を運んで審査を行います。

よって、生産現場で不適合などを含めて指摘が出されます。

 

また、審査員は、不適合を出した後のフォローは業務の一環として考えているため、忖度なしに指摘を出します。勿論、意見の押しつけや規格要求事項の個人的意見による指摘や御法度ですので、指摘を審査を受ける会社に理解してもらう為に丁寧に説明を行い、合意を得ます。

 

不適合指摘の場合には、修正処置といいまして、ルール通りの本来の運用状況に戻す処置の確認、不適合の原因を特定し、再発防止策の実施、有効性の評価(更新時のみの場合が多い)まで、審査員が責任を持ってフォローしてくれるため、会社にとっては、より強い体制ができることになります。

 

また、改善や観察事項については、不適合にはならないものの、潜在的にある事業継続上のリスク、品質リスク、環境リスク、情報リスクに対して有効な内容が多くなります。

これを、取組の価値があるかを踏まえて、積極的に対応を取りますので、結果として、“審査を受ける度に、脇が締まる、強い組織になっていく”ことが期待できます。

 

8.まとめ

いかがでしたでしょうか。ISOが無駄になっていないか について、ISO9001、ISO14001、ISO27001を中心にお話しました。

 

ISOを経費としてみるか、投資としてみるかによって、随分、取組成果が変わりうることをご理解いただけましたでしょうか。

 

ISO9001・ISO14001を無駄にしないためには、“維持のため”から“成果を出すため”の運用へ切り替えることが欠かせません。

 

ISOは経費ではなく、未来への投資です。
ISOを通じて社員の意識を変え、現場を変え、会社を変える。

そのための最短ルートが、専門コンサルによる伴走支援です。

ISOコムはISOを投資として、事業継続のための有効なツールとしてお取り組みいただきたいと考え、ご支援しております。

 

 ISOが無駄に感じる

 ISO9001やISO14001の返上を検討している

 ISOコンサルの導入を迷っている又は、導入効果が感じられない

 

このような方は、ぜひ一度ISOコム株式会社へご相談ください。
ISOを“守るための仕組み”から、“伸ばすための仕組み”へ。
― ISOコムが、御社のISOを利益につなげます ―

 

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