そもそもISO認証とは?
投稿日:2021年9月21日 最終更新日:2025年9月5日
みなさん、こんにちは。ISOコム株式会社の芝田です。
今回は「そもそもISO認証とは?」というテーマで、ISOに馴染みのない方や、これから取得を検討されている企業の担当者の方に向けて、できるだけ分かりやすく丁寧にまとめました。
ISO認証は信頼と継続的改善を実現する仕組みです。
ISOとは?
ISOはInternational Organization for Standardizationの略で、各国が参加し国際規格を策定する団体です。
日常の多くがISO規格に基づき、世界共通のものさしとなっています。
ISOには膨大な規格があり、製品規格に加えてマネジメントシステム規格が含まれます。
ISOのマネジメントシステム規格とは?
マネジメントシステム規格とは、組織が安定して成果を出すための仕組みを体系化した規格です。
品質、環境、情報セキュリティ、労働安全衛生、食品安全など分野ごとに存在し、共通する考え方はPDCAサイクルです。計画を立て、実行し、点検し、改善する。この循環で組織は成長します。
例えば、品質分野では顧客満足度を高める仕組み、環境分野では省エネや廃棄物削減、情報分野では漏洩防止体制、労働分野では事故削減、食品分野では安全確保など、軸は継続的改善です。
ISO認証の基本的な定義と目的
ISO認証とは、第三者の認証機関が審査を行い、その組織が規格要求に適合しているかを確認し、証明する制度です。
認証を受けると認証書とISOマークが付与され、顧客や取引先に対して信頼性をアピールできます。
公共入札に使われることもあります。ただし、認証は一度取得すれば終わりではありません。
毎年維持審査を受け、三年ごとに更新審査を通過しなければなりません。
もし不適合が放置されれば取り消しとなり、自ら不要と判断した場合は返上することもできます。ISOは改善の出発点です。
代表的なISO規格の紹介
ISO9001(品質)
主旨:顧客満足を高めるために、製品やサービスを安定して提供できる仕組みを整備する規格。
効果と事例:精密機械メーカーでは、不良率をに改善し、コスト削減に成功。納期遅延件数を減らし、顧客満足度を向上。
取得業界の傾向:製造、建設、流通、サービスに広がります。
ISO14001(環境)
主旨:環境保護と事業活動を両立させるための仕組みを整備する規格。
効果と事例:自動車部品メーカーでは、照明をLED化し、圧縮空気設備の点検を定例化。
電力使用量を12%削減し、年間450万円を節約。
廃棄物処理費も150万円削減しました。
取得業界の傾向:製造や建設、自治体やサービスにも拡大。
ISO27001(情報セキュリティ)
主旨:情報の機密性・完全性・可用性を維持するための管理体制を整える規格。
効果と事例:IT企業では、全社員教育とリスク分析を徹底。不正アクセス検知件数を削減し、情報漏えいをゼロ。契約更新率の向上、年間収益の増加。
取得業界の傾向:IT、金融、教育、不動産などに普及。
ISO45001(労働安全衛生)
主旨:労働災害や健康被害を防ぎ、安全で健全な職場を作るための規格。
効果と事例:建設会社では、現場リスクを標準化し、労災件数を減少。保険料を削減し、休業災害日数の減少。工期遅延リスクが低下。
取得業界の傾向:建設、製造、物流で導入が進んでいます。
ISO22000/FSSC22000(食品安全)
主旨:食品の安全を確保し、消費者に安心を届けるための規格。
効果と事例:食品加工会社では、金属探知機を強化し、工程ごとにチェック体制を導入。異物混入クレーム減少。リコール費用の削減、利益額の向上。
取得業界の傾向:食品メーカー、外食、物流まで広がっています。
ISO取得の基本的な流れ
ISO9001を例に、他規格にも通じる共通手順を示します。登録証に至るまでの九段階を簡潔に示します。
経営層の意思決定:トップが方針と目的を示し、推進事務局に業務指示としてコミットします。権限のある役員が資源配分を約束し、リスクと機会を踏まえた優先課題を表明します。
1.現状把握とギャップ分析:引合から引渡し、保守までのプロセスを棚卸しし、規格との不足点を洗い出します。力量の証拠、測定器校正、苦情処理、外部委託管理、是正の実態を点検します。
2.文書・手順書の整備:品質マニュアル、業務フロー、手順、記録帳票を現場に合わせて設定します。未使用帳票を増やさず、重複をなくし、責任と権限、改訂手順を簡潔にします。
3.社員教育と運用:全社説明会で目的と役割を共有し、日常業務に落とし込みます。
目標を数値で定義し、週次や月次で進捗確認。手順通りの作業と記録の徹底、逸脱時の報告と是正の流れも定義します。力量の証拠は監査と審査で重視されます。
4.内部監査:計画に基づき監査を実施。適合性と有効性を確認し、指摘ごとに是正、原因分析、再発防止、効果確認まで記録を整えます。所見は横展開します。
5.マネジメントレビュー:内部監査や目標の達成度、苦情や不適合の傾向、外部変化を経営層が審議。資源配分や目標見直しを決定します。
6.一次審査:審査機関が文書と初期運用を確認。方針・目標、内部監査、マネジメントレビュー、主要プロセスの整備状況が焦点です。懸念事項は書面で示され、期限内に是正計画と実施記録を整えます。
7.二次審査:現地でヒアリング、現場観察、記録確認を行い、一次審査指摘への対応状況を確認します。ここでは二次審査を受けられる状態か否かの判断を重視します。一次審査と二次審査は通常1~2ヶ月程度間隔を空けます。FSSC22000では、2ヶ月空けるのが一般的です。
8.判定・登録・公開:判定会議で審査の適正と登録の妥当性を審議。合格後に登録証が発行され、認定機関や審査機関のサイトで公開されます。
実務のタイムラインは、単一サイト50名規模で着手から8〜12ヶ月が現実的です。
キックオフからシステム構築に3〜4ヶ月、運用と内部監査・レビューに2〜3ヶ月、一次・二次審査と是正対応に2〜3ヶ月という配分です。
証拠は方針と目標、業務フロー、手順書、力量と教育記録、点検や校正記録、不適合と是正、苦情処理、内部監査、レビュー記録などです。
第二段階審査月が今後の審査月になるため、基準日は戦略的に設定します。
運用を成功させる実務TIPS
● 文書は使う人中心に設定:誰が、いつ、どこで、何を、どうするかを4W1Hを明確にルール作り。既存システムですでにある記録を活用し、ISOで二重管理しないこと。
● 審査月の設定が命:第二段階審査の月が、認証取得後の毎年の審査を受ける基準月になります。繁忙期や決算と重ねない、主要メンバーの休暇時期を外す、等年次計画と連動させます。
● 内部監査は経営の眼で見る:不良、歩留まり、納期、苦情などのKPIと監査所見を結び、改善テーマをレビューで意思決定。成功事例は横展開します。
● 是正は原因と再発防止まで:修正処置(対症療法)で終わらせず、発生原因・流出原因などを特定し、4M(man,method,material,machine,measurement)等の4Mや5Mの観点から仕組みを改善します。
よくある質問(FAQ)
Q1:どの審査機関を選べば良いですか?
A:JAB、UKAS、ANABなどの認定を受けた審査機関なら国際的な信頼性は十分です。業界経験の有無、見積りに含まれる日数や旅費精算の条件、再審査時の方針なども比較しましょう。
Q2:最短でどれくらいで取れますか?
A:要件次第ですが、単一サイト50名規模で4〜6ヶ月での事例もあります。ただし小規模事業者の場合、現場負荷が高くなりがちです。認証後のシステム定着と効果創出を優先するなら、10〜12ヶ月が現実的です。
Q3:取得後に運用が重くなりませんか?
A:文書と記録を必要十分に保ち、既存システムを極力活用すれば過負荷は回避できます。システム構築時の現状分析と、差分の追加段階が非常に大切です。
その際に、責任者や担当者が、納得し、繁忙期でも消化可能なルールであることを確認するプロセスを経ておく必要があります。
その後、内部監査や、審査機関による審査を通じて、現状とルールの乖離を見直し、現実的なルールに修正していけば、重いルールに縛られる可能性は低くなります。
ISO認証にかかる費用
従業員50名規模の製造業を例にすると、コンサル費用は100万〜200万円、審査費用は100万〜200万円)、維持費用は年間30万〜50万円が目安です。初年度合計は200万〜400万円程度。
ISO認証のデメリット
コスト負担が大きいこと、文書作成や審査準備などの業務負担が増えること、認証維持のためだけの作業に陥る形骸化リスクが挙げられます。
対策は、取得後に達成したい目的(新規顧客獲得、入札参加資格確保、品質管理体制の強化、次世代経営者への経営システム移行、環境負荷低減、情報漏洩の撲滅、労働災害撲滅等)、を明確にし、費用対効果を検証することです。
まとめとお問い合わせ
ISO認証は、組織が事業を継続的に改善し、信頼を得るための強力な枠組みです。
不良率や歩留まり、納期遵守や事故防止、顧客満足の向上など成果は数値で現れます。大切なのは、認証を取ることよりも改善のエンジンとして活用する姿勢です。
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