ISO22000のインシデントとは?
2023年5月24日
皆さん、こんにちは。ISOコム マネジメントコンサルタントの青森誠治です。
ISOコム通信をご覧いただきましてありがとうございます。
今回はISO22000のインシデントについてお話しします。
インシデントという言葉の意味は?
インシデント、とは何でしょうか?
日常生活ではあまり使わない言葉なので、イメージしにくいかも知れませんが、ニュースなどで「航空重大インシデント」や「鉄道重大インシデント」というような言葉は聞いたことがありませんか?
運輸安全委員会のホームページでは、「航空重大インシデント」の事例として、飛行中のエンジン出力の低下や、滑走路の逸脱などが掲載されています。
一方、「交通重大インシデント」の事例としては、信号違反や車両傷害といったものが掲載されているんです。
これらは非常に危険な出来事ですが、実際に大きな事故が起こっている訳ではありません。
でも、これを放置して原因の調査や再発予防も含めた対処をしなければ、いつか大きな事故につながるかも知れません。
このように、「インシデント」という言葉には、実際に事故が発生している訳ではないけれど、それにつながる可能性が高いような出来事を指すんです。
ハインリッヒの法則というものがあるのですが、その中では、「1件の重大事故があれば、その背後に29件の軽微の事故が隠れていて、さらにその背後には300件の異常(ヒヤリとしたりハッとしたりする危険な状態)が隠れている。」と言われます。
食品を扱う仕事をする以上、食中毒や固い異物が混入したことによる怪我、アレルギー表示の間違いによる事故など、重大な食品事故は発生させてはいけませんよね。
皆さんの会社で、過去に何も大きな食品事故を起こしたことがなかったとしても、
ひょっとするとその背後にインシデントと見なした方が良い事態が隠れているかも知れません。
万が一のインシデントの発生に備えて、正しく対処ができるように準備しておきたいですね。
食品安全での「インシデント」とは?
では、食品安全での「インシデント」とは何でしょうか?
いくつか例を挙げると、以下のようなものが考えられます。
・停電により冷蔵庫が停止した
・製造に不可欠な機械が壊れ、生産を中断しなければならなくなった
・従業員がノロウイルスに感染し、製造現場でおう吐した
・近隣で水道管の破裂があって、水道が使えなくなった
いずれの出来事も、発生した時点では、安全ではない製品ができたわけではありませんが、正しく対処をしなければ、そうなる可能性は高くなりますよね?
例を挙げた以外にも、自社にとって考えられる「インシデント」というのは何なのか?
どのような事態がインシデントとなるかは、会社ごとで異なりますので、社内でよく検討し、発生した際の社内外の連絡体制や担当者、手順を整理しておきましょう。
「インシデント」にはどのように対応するのか?
もし、インシデントが発生してしまったら、速やかに、そして適切に対応しなければいけません。
対応の遅れや間違った対応をしてしまうと、被害が広がり、たくさんのお客様にご迷惑をおかけしますし、会社の評判が悪くなって、大きなダメージを受けてしまいますよね。
そうならないために、対応手順では、いつ、誰が、何を、どのようにするのかを明確にしておきましょう。
社外からのクレームなどで情報が入る場合、社内発見で情報が入る場合それぞれを想定し、社内での連絡体制や、すみやかな対応ができる役割分担、すべきことの明確化をして、被害を最小限にできる手順にしておきたいですね。
また、手順を作ったら終わりではない、ということにも注意してください。
手順は作ってあるが、担当者が誰も内容を把握していなかった、書いてある手順に間違いがあった、分かりにくくて時間がかかった、というようなことがあってはいけませんので、実際に発生したことを想定して、対応の訓練をしておきましょう。
実際にインシデントが発生して対応した場合もそうなのですが、訓練を実施した後も、結果の振り返りをする必要があります。
規定した手順通りに対応ができたのか?そもそも決めた手順に問題や分かりにくい場所はなかったのか?より早く、適切に対応できるように工夫できることはないか?などの視点でおきましょう。
今日はISO22000のインシデントについてお話ししました。
インシデントを正しく想定して、適切な対応手順を作っておくことは非常に大切です。
インシデントに対して、適切ではない対応をしてしまった場合、
被害が広がり、たくさんのお客様にご迷惑をおかけしますし、会社の評判が悪くなって、大きなダメージを受けてしまい、最悪なケースでは、事業を続けることが出来なくなる場合もあります。
そうならないように、もし、自社のメンバーで手順を考えるのが難しい場合や、作った手順が本当に有効なものなのかどうか不安な時は、外部のコンサルタントなど、第3者を活用することもお勧めです。
ISOコムでは、経験豊富なコンサルタントが、考えておくべきインシデントや、その対応方法を分かりやすく解説したり、手順の訓練の立ち合いをしたりして、有意義なインシデント対応手順の作成をお手伝いします。
審査にもしっかり合格できるだけでなく、万が一の時に会社を守る仕組みに興味のある方は、今すぐご相談ください。
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