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FSSC22000の要求事項が新バージョンに更新!ver.6.0の変更点とは?

投稿日:2024年3月13日  最終更新日:2024年9月19日

こんにちは。ISOコムです。

今回は、食品安全の規格、FSSC22000の要求事項が新バージョンに更新されましたので、

ver6.0の変更点や移行期間についてお話ししていきたいと思います。

それでは、早速いってみましょう!

 

FSSC22000とは?

世界中の食品メーカーや、食品を販売する会社が集まって、食品の安全安心を保証する仕組みを作っています。
その内の一つがFSSC22000という仕組み(規格といいます)です。

 

この、FSSC22000という規格は、EUを中心に、世界中で広く採用されており、国際標準規格として認められています。

 

海外に、自分の会社で作った商品を売りたい会社、また、世界中から、安全で安心できる良い食品を仕入れて買いたい会社には、このFSSC22000に従って、食品衛生に取り組んでいる証明書が、

一つの目安となり、日本国内でも認証を受ける(証明書をもらう)会社が年々増えています。

 

この、FSSC22000という規格に従って、安全安心な製品を製造していることを、第3者に証明してもらうFSSC22000認証制度があります。

この認証を受けると、世界中に自分の会社の製品は、安全で安心できる製品だよ、とアピールすることができます。

最近では取引条件として、このFSSC22000の認証を受けていることを求められるところも増えてきています。

 

FSSC22000の仕組みとは?

FSSC22000という仕組みですが、「食品安全マネジメントシステム(FSMS)」と呼ばれる、

ISO22000という規格と、食品製造に関連する施設の、一般的な衛生管理基準を取りまとめた「TS-22002-1」という規格、

 

それに加えて、FSSC財団(オランダに本部がある「食品安全認証財団」と呼ばれる組織)から、

追加的に求められる、「FSSC追加要求事項」の3つが組み合わさってできています。

 

特に、3つ目のFSSC追加要求事項は、その時々に、食品に求められる安全性を考え、数年ごとに要求されるルールを、追加したり、変更され、改訂されています。

これまでのFSSC22000のバージョンアップ(改訂)も、多くは、追加要求事項の変更、改正によるものです。

 

FSSC22000の要求事項 バージョン6.0はいつから?

2023年3月までは、FSSC22000、バージョン5.1(Ver.5.1 と書きます)だったのですが、

今回2023年4月から、FSSC22000 バージョン6.0(Ver.6.0 と書きます)に改訂されました。

 

これまでのFSSC22000 Ver.5.1 で、認証を受けていても、新しくVer.6.0 の認証審査を受け、FSSC2200 Ver.6.0 の仕組みで、工場が運営されていることが証明できなければ、

安全安心に食品を製造しているという証明である認証書が、無効になってしまいます。

 

FSSC22000  バージョン6.0への移行期間とは?

移行期間は、2024年4月~2025年3月末までで、

新規に認証を受ける場合はもちろん、この間に認証を受けた工場を対象に、

毎年実施されるサーベランス審査(維持審査)などを受審される場合は、Ver.6.0で求めている要求事項を満たすことが求められます。

 

つまり、これから認証を受けようとする工場、既に認証を受けておられる工場ともに、2024年度中にVer.6.0への変更を完了しなければならないということです。

 

そこで今回は、既に、FSSC22000 Ver.5.1 に取り組まれていた皆様を対象に、新たに改訂されたFSSC22000 Ver.6.0の改訂点、改訂内容について、簡単に解説していきたいと思います。

 

FSSC22000  バージョン6.0変更の目的とは?

今回の、FSSC財団によるVer.5.1からVer.6.0への改訂目的は、V6のスキームブックの中で、

次のためと明記されています。https://www.fssc.com/schemes/fssc-22000/documents/fssc-22000-version-6/

 

1.更新された、ISO22003-1:2022(食品安全マネジメントシステムの審査及び認証を行う機関に対する要求事項)の要求事項の組み入れ

2.国連の、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献する組織を、支援するための要求事項の強化

3.編集上の変更 及び修正(継続的改善の一環)

これらの目的のため、今回Ver.6.0へ改訂され、変更、追加、強化、または明確化されています。
では、内容を簡単ながら解説していきますね。

 

カテゴリー/サブカテゴリ―のコード変更とは?

目立つところで、大きな変更点は、(サブ)カテゴリーのコード表記が、変わりました。
また、前述の通り、追加された(サブ)カテゴリーもあります。

変更の対象となる認証取得企業様は、多くないと思いますが、一度ご参照ください。

 

・Aの動物生産は削除、C0の動物(一次転換)が追加。C0には、家畜や狩猟肉の一時収容、屠殺、内臓除去、一括冷却、一括凍結、魚の一括冷凍などを含む。

・植物製品の前処理として、BⅢが追加。収穫された植物が対象で元の形が変わらないもの。
洗浄消毒、トリミング、選別、等級分け、束ね、冷却、ワックスがけ、保管、梱包など。

・DⅡa、DⅡb (ペットフード)はカテゴリーC(加工食品)に統合。

・仲介業、取引、電子商取引を新たにFⅡとしてカテゴライズ。物理的な取り扱いがなくても、フードチェーンとして適用範囲に設定。

・GⅠ、GⅡ(輸送および保管)はカテゴリGに統合。

審査機関、認定機関の要件(工数変更)とは?

Ver.6.0の変更点には、ISO22003-1:2022 の更新された要求事項を取り入れ、審査計画、PRP の最低審査時間、審査の実施、および報告についての明確化、なども含まれており、審査(認証)機関、認定機関(注)といった、審査する側にも要求事項があります。

 

(注)審査機関/認証機関:実際に組織に対し審査を行い、規格の要求事項に適合しているかどうかを判断し、認証する機関のこと。
認定機関:審査/認証機関が、適切な審査を行っているか、適切に、認証判定を行っているか、審査を行い、正当な審査/認証機関であることを認定する機関のこと。
認定されていない認証機関が発行した認証書は無効となる。

審査する側の内容ですので、詳細は割愛致しますが、最低審査時間の変更に伴い、審査工数が追加されることは確認しておきましょう。

審査費用の増額が予想されますので、経営者層の立場から見ると、大きな変更点とも言えるかもしれませんね。

 

◎審査・認証を受ける側の要求事項の変更とは?

これまでも求められていた要求事項に、新しい要求事項の追加や詳細化が行われました。
簡単にではありますが、以下に内容や考え方、ポイントを列挙致します。

【新たな要求事項を追加】

2.5.1 (e) -食品を最終的に包装する、フィルムやラップなどの 、最終包装材の生産に使用する原材料として、再生包装材を使用するための、法律で決められたことや、顧客から求められていることを守るための基準を確立し、確保すること。(カテゴリⅠ)
・昨今のSDGsの要件を取り込んだもの。
・製造に失敗した不良品や、破材、切りくず、などをリサイクルして使うためのルールを、しっかり決めておきましょう、という要求です。

 

2.5.2 (c) – アレルゲン、栄養成分、製造方法、加工・流通過程(注)、原材料の状態などにその製品が、他の製品より優れている面を強調して、表示を行う場合は、それを裏付ける検証の証拠を保持し、製品が、決められた通りに製造されている状態を維持するため、トレーサビリティーや、質量バランスを含めた、正しく製造されたことを確認するため仕組みを、導入すること。

(注)加工・流通過程:「農場から食卓へ(ファーム・トゥ・テーブル)とも呼ばれる、食品を生産し、加工し、調理し、販売し、配達するなど、食品を生産してから消費するまでの流れのこと。

・2.5.4 食品偽装の軽減にも関連してくる。

 

2.5.2 (d) – アートワークマネジメントとプリントコントロール(カテゴリⅠ)
・アートワーク(食品のフィルムなどのデザイン)の承認と印刷仕様の管理、古くなったアートワークや、印刷素材を管理するプロセスが求められる。

・合意された基準、マスターサンプルに対する各印刷の承認が必要。
・印刷エラーを検出し特定する手順を確立すること。
・未使用の印刷製品を区別するプロセス、などが求められる。

2.5.3/2.5.4 – サプライヤーに対する食品防御/食品偽装の要求事項
・カテゴリFⅡの場合、サプライヤーが食品防御/食品偽装(注)軽減計画を
実施していることを確認する必要がある。

(注)食品防御:原材料や製品などに、食品安全上問題のあるもの(薬物や異物など)を混入されたり、いたずらされないようにするための仕組みのこと。
食品偽装:食品に対して、何らかのウソの表示を行うことで、例えば産地偽装(海外産を国産と偽る)、賞味期限偽装(賞味期限を書き直してもっと長く販売できるようにする)などがある。

2.5.10 (d) – 輸送用タンカーの洗浄

・翻訳の都合上、「タンカー」という表現になっているが、実際は、タンクローリーやバルクで使用するコンテナもこれにあたる。

・交差汚染防止(注)のための洗浄と、その検証、またサプライヤーに対しては、タンカー洗浄の妥当性(本当にこのやり方が有効か、他に有効な方法はないかの)確認、管理措置について取り決めが必要とされている。

(注)交差汚染:高濃度に汚染された食品などから、軽度にしか汚染されていない食品などに、汚染が移ること。例えば生肉をのせていた皿に、加熱調理後の肉をのせてしまい、生肉についていた病原菌が、加熱後の肉に移ってしまうような場合をいう。

2.5.11 (d) – 異物検出器を不要とした場合、その正当性を示す文書化した情報を、保持・製品によっては、金属探知機やX線探知機を使用していない製造ラインがあるが、その場合に、異物混入(食品に食品でないものが混ざってしまうこと。金属片、石、ガラス片など)のリスクを、どう軽減しているかを証明する必要がある。

2.5.13 (e) – 継続的な保存期限の検証プロセス
・製品の安全性を検証するための、製品検査や、賞味期限検査を実施する。

2.5.13 (f) – RTC(ready-to-cook;調理済食品)製品に対する製品表示、または記載された調理手順が、検証されていること。
・食品安全システムの検証の一環になる。

【詳細化した要求事項】

2.5.5 – ロゴの使用
・認証を受けた組織(会社、工場等)が、ロゴを使用するときは、認証機関に、最新のFSSCロゴを請求すること。
・従来通り、製品、ラベル、包装にFSSCロゴは使用できない。

・それに加え、分析証明書(CoA)や適合証明書(CoC)にも使用できない。
・認証機関の審査を受けていない施設・設備を含む組織(会社、工場等)も使用できない。

2.5.6 – アレルゲン管理
・FSSC 第 6 版の改訂で、最も充実が図られたのは、アレルゲン(食物アレルギーを引き起こす原因物質のこと、アレルギー物質ともいう)の管理に関してで、アレルゲン管理計画書を含む、以下の6事項が追加されました。

・原料及び最終製品を含む、サイトで取り扱われる、全てのアレルゲンのリスト。

・コンタミ(注)防止など、これらの管理手段の妥当性確認、及び検証の実施し文書化した情報として、維持する。 表面試験、空気サンプリング及び/又は製品試験などが、これにあたる。

(注)コンタミ:コンタミネーション(contamination)の略で、「汚染」という意味。食品製造業界では、食材や製品に、細菌や化学物質等が微量に混じり込んでしまうことをいう。

例えば「うどんを作っていたら、そばのアレルゲンがコンタミしてしまった」や「ヨーグルトを発酵させていたら、有害細菌がコンタミしてしまった」などと使う。

 

・コンタミ注意又は警告表示は、必要な管理措置を効果的に実施してもなお、アレルゲンの交差汚染リスクが残る場合にのみ認められる。アレルゲン管理施策の実施、検証試験の実施を、免除するものではない。

・アレルゲンの認識に関する研修、および各自の業務範囲に関連する、アレルゲン管理対策に関する固有の研修を、全従業員が受けなければならない。

・アレルゲン管理計画は、少なくとも毎年見直すこと。また工程中に重要な変更、アレルゲンに関連する撤去(リコール)の後、及び業界内で、アレルゲン問題が発生した場合は、直ちに見直すこと。

・フードチェーンカテゴリー(注)D(飼料・ペットフード)については、動物飼料の販売国にアレルゲン関連の法律が無い、もしくは関連する表明がない場合、「該当しない」と記載することができる。

(注)フードチェーンカテゴリー:前述のカテゴリー/サブカテゴリ―で示した通り。FSSC22000認証の管理の都合上、食品関連業者は、業務内容や取扱品目によって分類されている。

2.5.7 – 環境モニタリング
・環境モニタリング(食品を製造・加工している場所の環境が、清潔な状態を維持しているか確認すること)プログラム(手順、計画)の対象が、「関連する病原菌、腐敗、指標細菌」と明記された。

・環境モニタリングプログラムには、製造環境からの汚染を防⽌のための、すべての対策、管理手段(方法)が有効性に機能しているか、評価するための⼿順書を作成する。
・これには最低でも、実際の微⽣物及び、アレルゲンの管理⼿段の評価を含めること。

【新しく追加された要求事項】

2.5.8 – 食品安全および品質文化
・従来はISO/FSSC22000が運用できている=食品文化が醸成できている、という判断だったが、さらに強調する形になっている。
・何を以て食品安全文化、品質文化と呼ぶか、はっきりとした定義がないが、判断する要素として4つ示されている。
・(1)コミュニケーション、(2)教育訓練、(3)従業員のフィードバックとエンゲージメント(注)、(4)定義された活動のパフォーマンス測定
・食品安全文化と品質文化計画書の文書化が必要。
(注)エンゲージメント:「愛着心」「思い入れ」「愛社精神(自分の会社を愛する気持ち)」「帰属意識(組織の一員である、仲間である、という気持ち)」、「個人と組織が一体となり、双方の成長に貢献しあう関係」

2.5.9 – 品質管理
・ISO9001(品質マネジメントシステム)の要素が追加された。
・品質方針、品質目標の確立、実施、維持を要求。

・最終製品の仕様と、その品質パラメーター(その食品の品質を構成する要素。例えば、タンパク質、脂肪、炭水化物、水分、糖質、塩分など)の設定、導入、維持を要求。
・顧客及び法的要求事項を満たすための、品質パラメーターや包装表示に関する手順の確立が必要。

2.5.15 – 設備管理(衛生的なデザイン)
・衛生的な設計、適用される法的要求事項、および顧客要求事項への適合、及び取扱製品を含めた設備の使用目的に対応する、文書化された機器の仕様が必要。

・サプライヤーは、設置前に、購入仕様を満たしている証拠を提供する。
・新規機器及び/または既存機器の変更に対するリスクは、発生し得るリスクを想定して、そのリスクを、最小限に抑える考え方に基づいた、変更管理プロセス(手順、手法、仕組み)を確立し、実施すること。

・その証拠は、試運転が成功した証拠を含めて文書化しておく。
・考えられる既存システムへの影響を評価し、適切な管理方法を決定し、実施すること。
・つまり、設備の設置、変更は、しっかり考えられた上で実行している、という証拠を残しておくことが求められている。

2.5.16 – 食品ロスおよび廃棄
・近年注目のSDGsに関連する要求事項。
・食品ロス(注)と廃棄を削減するための組織戦略を、文書化された方針及び目標に、詳しく書いておくこと。

・寄付に供する製品が安全に消費されるように管理する。
・動物飼料等に使用する余剰製品(注)や副産物による、製品への汚染を防止する。
(注)食品ロス:まだ食べられるのに廃棄される食品のこと。食べ残し、期限切れ、売れ残り、作り過ぎた余剰品などを指す。
余剰製品:作りすぎて余っている製品。

2.5.17 – コミュニケーション要求事項(認証を受けた組織が認証機関に対して)
・これまでも緊急事態が生じた時は、認証機関へ連絡することとなっていたが、周知徹底されていないので、明確に要求事項として追加された。

・食品の安全性を脅かす事態(緊急事態)が発生した場合は、3営業日以内に認証機関に伝え、適切な対応をとらなければならない。

→天災、戦争、ストライキ、テロ、犯罪、洪水、地震、悪意のあるコンピュータハッキングなど

・FSSCの認証を受けているが、認証が、求めている内容が十分に実施できていないと思われる状況、又はFSSC(財団)の名誉名声が傷つけられる可能性のある、深刻な状況になった場合(例えば、「FSSC財団は、こんなひどい工場にも食品の安全安心の認証を与えているのか?」などと、世間に騒がれる状況に陥った場合など)も、3営業日以内に認証機関に伝え、適切な対応をとらなければならない。

→例:リコール(製品回収)、食品衛生法違反、規制当局からの何らかの活動が課せられた(営業許可の停止、現場検証など)場合、消費者や取引先から裁判で訴えられた、故意ではないが大きなミスや不注意があった、不正行為があった、汚職があったなど

まとめ

・FSSC22000とは、食品の安全安心を保証する仕組みであり、取得すると、自社製品は安全で安心できる製品とアピールできる。
・この規格は、その時々に食品に求められる安全性を踏まえ、数年ごとに要求追加、変更し、改訂している。
・2023年4月にFSSC22000 バージョン6.0(Ver.6.0 と書きます)に改訂された。
移行期間は2024年4月~2025年3月末までで、これから認証を受けようとする工場、既に認証を受けておられる工場ともに、2024年度中にVer.6.0への変更を完了しなければならない。
・追加要求に伴い、審査工数が追加され、審査費用の増額が予想される。

いかがでしたでしょうか。

今回は、FSSC22000 Ver.6.0について、お話ししました。

自社で対応可能な場合には、是非、参考にしていただけましたら幸いです。

一方で、FSSC22000  Ver.6.0の審査を受ける上で、自力で対応することにご不安な場合には、

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■FSSC22000 Ver.6.0の詳細

FSSC財団HPより最新のPDFがダウンロードできます。
https://www.fssc.com/schemes/fssc-22000/documents/fssc-22000-version-6/
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