FSSC22000のフードディフェンスとは
投稿日:2022年3月29日 最終更新日:2023年5月12日
皆さん、こんにちは。
ISOコム マネジメントシステムコンサルタントの青森 誠治です。
ISOコム通信をご覧いただきましてありがとうございます。
今回は、FSSC22000の要求事項にあるフードディフェンスについてお話しします。
「要求事項」というからには、きちんとやっておかないと認証が取得できないということですから、しっかりと理解をして取り組みたいですね。
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フードディフェンスとは何か?
まず、フードディフェンスというのはどういう考え方なのでしょうか?
国際食品安全イニシアチブ(GFSI:Global Food Safety Initiative)という団体の定義では、
「イデオロギーに動機付けられた汚染を引き起す攻撃を含めた、意図的で悪意のあるすべての形態の攻撃から、食品及び飲料のセキュリティを確保するためのプロセス」
とされています。
これだけだと意味が分かりにくいかも知れませんね。
食品メーカーで働く人は、安全な食品を提供する義務があり、食中毒や異物混入による怪我などの食品事故を起こさないように注意しています。
食品事故が発生するのは、注意はしていたけれど、何らかの原因で管理が不足してしまったことが原因です。
しかし、フードディフェンスというのは、「誰かが悪意を持って」製品の中に病原性の微生物や有害な化学物質、危険な異物などを混入する、という「意図的」に引き起こされる食品事故を防ぐ、という考え方です。
そんな事をする人がいるの?
と思うかも知れませんが、日本でも過去に会社に不満を持った従業員が意図的に化学物質を混入させた事件などがあり、決して発生しないということは言い切れないんです。
フードディフェンスの要求事項とは?
フードディフェンスに関わる要求事項で求められているのは下記の二つです。
(1) 意図的な食品汚染が発生する可能性(脅威と言います)を評価し、重大な脅威は軽減策を実施する、という手順書を作る。
(2) (1)で作った手順書に従って、食品防御の計画を立て、会社の業務に組み込んで実行し、適用される法律があれば守り、定期的に振り返りをする。
まずは、実際にそういう事態が発生する可能性があるのか、発生してしまった場合の影響度はどれぐらいなのか?というのを考慮して、自分たちの会社でそういう事態が起こらないような対策が取れているのか、弱点はどこなのか?というのを見極める必要があるんです。
具体的には
– 誰が攻撃しようとしてくるか?
– どのように攻撃してくるのか?
– 考えられる公衆衛生への影響は何か?
– どのように,その発生を防止できるか?
と言った内容です。
イメージ的にはHACCPのハザード分析に近いですね。
実際の取り組み事例とは?
では、実際にはどのような危険性や対策を考えておけば良いのでしょうか。
食品防御ってカメラを付けておけば良いんでしょ?というお声を聴くこともありますが、決してそうではありません。
カメラも有効な対策の一つではありますが、誰かがずっと見ているのは難しいので、抑止力にはなっても、それだけでは不十分な場合もあります。
対策例としては次のようなものが挙げられます。
・全従業員が自社の食品安全に関わる大切な仕事をしている事を日常的に伝える
・異常に気付いた時はすぐに報告をもらえるように、報告・連絡・相談をしやすい雰囲気を作る
・従業員を採用する場合、可能な範囲で身元確認を行う
・従業員同士だけでなく、外来者が来た時の挨拶を習慣づける
・危険物を取り扱うエリアや保管場所は施錠し、使用・立ち入りを制限する
・不要物を持ち込まないようにポケットのない作業着を採用する
・従業員の日常の様子に注意し、定期的な面談や意見箱の設置など、意見を聞く機会を作る
・外来者が作業場に立ち入る時は誰かが立ち会う、持ち物確認をする
・整理・整頓を心掛け、3定管理(定位置、定品、定数)を行う
・製造途中のものが露出されているまま放置されないようにする
・井戸水や貯水槽などの管理設備は施錠し、許可された人だけが出入りする
・入荷の積み降ろしに立ち合い、入荷チェックしてから受け入れる
これらは一例ですが、必ずしも費用をかけなくても、日常の意識付けやルール決めでできる対策がたくさんあります。
皆さんの会社の現状や、その対策が実施・継続可能かどうかをよく考えて取り入れてくださいね。
フードディフェンスは会社を守るための大切なツール!
今回はFSSC22000の食品防御についてお話ししました。
そんな事は皆さんでの会社では起こるはずがない、そんな事まで心配しないといけないの?と思われたかも知れません。
確かに、日本人は性善説(人間は生まれながら善である)という考え方が基本ですから、ピンと来ない方も多いと思います。
でも、世界には色々な考え方があり、性悪説(人間は生まれながら悪である)という考えの方もいます。
どちらが正しい、という事ではなく、FSSC22000は国際的な食品安全の認証ですから、世界中の方に安心して商品をお届けできる仕組みを作っておかなければならないんですね。
万が一にもそういう事態が起こってしまうと、皆さんの会社はどうなるでしょうか?
販売済みの商品を回収するだけではなく、今後、どれだけ安全な食品を製造しても、安心して購入してもらえなくなるかも知れませんよね。
そういう心配を少しでも減らすために、食品防御計画は客観的な視点で分析・評価しておきましょう。
ISOコムでは、経験豊富なコンサルタントが、第三者視点で食品防御計画の作り方の指導や、チェックを行っています。
規格の要求事項だから、といって形だけの文書を作るのではなく、皆さんの会社を守り、食べる人を守るための食品防御計画を作りませんか?
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