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2018年8月

ISO45001について 第14回 「9.パフォーマンス評価」 「9.2 内部監査」

【この記事の執筆者】小川次郎

コンサル風景

 

前回は、猛暑ということで「暑さとインシデント(事故等)」についてお話させていただきました。

 

“寒さ”よりも、“暑さ”の方が事故の発生が多いこと、熱中症とはどんなものか、その対策についてご理解していただけたと思います。

 

今回は規格の話に戻ってISO45001「9.パフォーマンス評価」の2つ目「9.2 内部監査」についてです。

 

その前にお知らせです。

お知らせ

日本規格協会のHPに「OHSMS(ISO45001)審査員」についてアップされています。

・労働安全衛生マネジメントシステム審査員の資格基準及びその関連文書を2018年8月1日付で制定

・申請は近日中に開始

 

この項は、前回(第12回)の最後に記載しましたが、前項のように「6計画」、「8.運用」だけでなく、ISO45001のシステム全体が機能しているかどうかを定期的(多くは毎年)にチェックすることです。

 

本来なら、経営者or監査室が実施する業務かなと思います。

 

実際、大企業では監査室が経営者の命を受けて、業務監査を実施していますよね。小さな組織では、「法令違反がないか」や「危険な作業をしていないか」を経営者or部所長といったラインの人たちがチェックしているのが精いっぱいで、このような観点で社内業務(作業)を見るという概念はあまり持っておられないのが実情のように思います。

 

もちろん、OHSAS18001を実施されていれば別ですが。

 

「内部監査」という概念は、他のマネジメントシステムを運用しておられない組織ではなじみのない概念かと思います。

 

このシステムを有効に機能させようとすると、監査を実施する人の力量に大きく左右されると言えるでしょう。これには、外部の内部監査員講習を受講されることをお勧めします。

 

実際の運用は?

では、実際の運用はどうするのかといいますと、ISOでは、ISO19011「マネジメントシステム監査のための指針」というのがあり、監査の内容を示しています。

 

しかし、このマネジメントシステムの主眼は「意図した成果」すなわち「働く人の労働に関係する負傷及び疾病を防止すること、及び安全で健康的な職場を提供すること」のために「OH&Sパフォーマンスを継続的に向上すること」にあります。

 

この主眼に沿った監査を行うことが重要で、あまりこの指針を気にする必要はないと思います。

 

監査対象は?

監査対象ですが、規格あるいは組織で決めた役割分担を担っているところ(部署)を監査します。同じような役割分担を担っているところはサンプリングでも構いません。

 

では、社長は監査対象?

 よく聞かれるのは、「社長は監査対象ですか?」ですが、社長(トップマネジメント)への要求事項(役割分担)もあり、社長も監査対象にするのが望ましいですが、社長を監査するのは難しいですね。外部認証を受けられている組織は、外部審査に任せるのもひとつの方法です。

 

安全巡察(パトロール)の利用

  実施に当たっては、スタッフ部門(オフィス簿門)とライン部門(生産部門)とに分けて考えるのがよいのではないでしょうか。

 

ライン部門(生産部門)については、安全巡察(パトロール)を利用するのが無理が無くて良いように思います。

 

一般的に安全巡察(パトロール)は事故の発生しやすいライン部門(生産部門)を中心に実施されることが多いですね。

 

そこで、年に一度は、この安全巡察(パトロール)に内部監査の要素(目標や文書化、緊急事態、改善等、安全巡察に不足していること)を加えて実施することが、無理な運用にならない気がします。

 

スタッフ部門(オフィス簿門)は、おそらく、安全巡察(パトロール)などは実施されていないでしょうから、規格要求事項や組織の決め事に対する監査を年度末に実施し、ライン部門(生産部門)の監査内容とともに、監査結果をトップマネジメントに報告するのがよいですね

 

【理解のポイント】

★内部監査の主眼は「OH&Sパフォーマンスを継続的に向上」にある

★監査プログラム及び監査結果は“文書化要求事項

注)監査プログラムは単にスケジュールではなく、実施要領的なものを求めていると考えてよいでしょう。この要領の中に規格の要求していることを盛り込んでおくとうまいですね。

 

参考にISO45001規格要求の実施事項を列記しておきます。

a) 監査プログラムの作成(頻度、方法、責任、協議、計画の要求事項、報告を含む)

・前回までの監査の結果を考慮に入れる

b)監査基準、監査範囲を明確にする

c)監査プロセスの客観性、公平性を確保(監査員の選定)

d)監査結果は関連する管理者に報告する。

e)関連する監査結果は、働く人、関係する利害関係者に報告する。

f)不適合に取組むための処置を取り、OH&Sパフォーマンスを継続的に向上させる

 

次回はISO45001「9.パフォーマンス評価」の後半「9.3 マネジメントレビュー」についてお話ししたいと思います。

 

この項は、「9.パフォーマンス評価」の「9.1 モニタリング,測定,分析及びパフォーマンス評価」と「9.2 内部監査」の結果を基にしたトップマネジメントの判断であり、次のスパイラルアップへ向けた改善、方向性、組織の意志のようなものについてです。楽しみにしていてください。

 

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ISO45001の要求事項に関するポイントはこちらをご覧ください。

2018/08/27

BCPとは何か?わかりやすく簡単に説明する

 【この記事の執筆者】亀田昭子

コンサル風景

こんにちは。ISOコム マネジメントコンサルタントの亀田 昭子です。

 

今回から、BCP(事業継続計画)について、考えていきたいと思います。

第一回目は、「BCPとは何か」わかりやすく簡単に説明してみますね。

 

BCPを考える前に

今年の夏は、非常に暑い日が多く、猛暑日が続いていますね。

また、最近、日本国内において、大きな自然災害が非常に多く発生しています。

6月の大阪北部の地震や7月の西日本の豪雨災害、7月末から大きな台風が日本を直撃しています。それ以前にも地震やゲリラ豪雨、最高気温が40℃を超えるなど、環境破壊によるものも多いと言われている異常気象が発生していますね。

これらの自然災害が発生すると復旧し、通常の生活に戻るまでには、非常に時間がかかります。

 

皆様は、自宅、会社で地震等の自然災害に対して、何か準備は行っていますか?

帰宅経路や避難経路は明確になっていますか?会社で災害に遭遇した時、非常食など、会社に確保されているでしょうか?

私は、自宅に防災バックを準備しているくらいです。

 

そういった災害が多い現在、災害が発生しても会社、事業、業務を継続できるようにするための計画を立てることがBCP(事業継続計画)です。

 

BCPとは

BCPとは、Business Continuity Planの略で、「事業継続計画」と訳され、現在、いろいろなところで、事業継続計画について、取り上げられてきています。

 

災害が発生して、会社が機能しなくなってしまうと製品やサービスが提供できず、人々の生活が困難になります。これは、悪い方、悪い方と、負のサイクルに陥ってしまいます。

なるべく迅速に社会生活が復旧することにより、人々も安心して、生活していくことができます。

 

そのためには、災害が発生する前に、災害が発生した時、会社を通常の状態に戻すための対応を事前に計画しておく必要があります。

 

もし、大地震が発生した場合、帰宅困難者の社員に対して、非常食、非常用電源など準備されているか、会社が倒壊した場合、どこに避難するかなど、災害対応体制を明確にし、対応策を計画し、計画通りできるかどうか、訓練しておく必要があると思います。

 

例えば、私が以前対応していた通信業界の国際的な要求規格としてTL9000という業界規格がありますが、この中でも事業継続計画についての要求があります。災害によって、通信設備が使えなくなってしまった時に、会社として、事業を継続するための計画を立案することが要求されています。

 

これだけ、災害が多発していますので、どのような業種でも事業継続計画を考える必要があると思いますが、このブログでは、国交省での建設関連企業等に要求されているBCP(事業継続計画)認定に特化して、考えていきたいと思います。

 

国土交通省のBCP(業務継続計画)認定とは

大規模災害が発生した場合、国土交通省だけでは、災害復旧することは難しく、建設関連企業の協力が不可欠です。

そのため、国交省の各地方整備局では、建設関連企業(建設業、建設コンサルタント等)を対象として、BCPの事業継続力の認定を行っています。

 

BCP認定は、建設関連企業の協力支援による、地域の防災力を強化することを目的としていますが、BCP認定されると総合評価で加点評価するなどインセンティブを付与されますので、入札に有利となります。

 

現在、関東地方整備局の管轄区域で約660社認定されているようです。

 

BCP認定のための手順や要求事項については、各地方整備局のホームページに記載されていますので、認定を計画されている企業の方は、ホームページをアクセスするといいと思いますが、このブログでも、関東地方整備局の要求事項をベースにどのような要求があり、どのように準備すればよいかを書いていきたいと思います。

 

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2018/08/22

内部監査の質問例 ISO9001 2015年度版

【この記事の執筆者】柏木博

講座風景

こんにちは。ISOコム マネジメントコンサルタントの柏木 博です。

 

今回は、ISO9001の内部監査での質問の方法について実際の例文にそって考えてみます。

監査では、目的に沿った証拠の収集が必要です。

 

内部監査の目的

内部監査には次のような目的があります。

一つは、社内で運用している品質マネジメントシステムが、ISO9001:2015年版の要求事項に“適合”しているかどうかについての情報を集めることです。

 

もう一つは、その品質マネジメントシステムが、自社が決めたルールに“適合”しているかどうかについての情報を集めることです。

※内部監査のポイントについてはこちらの記事も参考になります。

ISO9001内部監査のポイント

 

内部監査の質問とは

ISO9001:2015年版では、要求事項については『~しなければならない。』との表現になっています。

例えば、8.2.1では『顧客とのコミュニケーションには、次の事項を含めなければならない。』となっています。

 

このうち、『a) 製品及びサービスに関する情報の提供』について、質問してみます。

監査対象部門は営業部です。

 

監査員:お客様とのコミュニケーションには、製品に関する情報提供が含まれていますか。

回答者:はい。含まれています。

 

監査証拠が重要

この回答から、8.2.1の要求に適合した対応がされていると判断されます。

しかし、この口頭回答だけで「監査証拠」としては、不十分です。

監査証拠に繋がる質問を追加する必要があります。

 

監査員:どのような情報を提供されましたか。

回答者:この製品カタログに基づく情報を提供しました。

 

製品カタログが使用されたことが分りましたが、まだ十分ではないようです。

もう少し質問を続けましょう。

 

具体的な監査質問

監査員:いつ、どなたに情報を提供されましたか。

回答者:先月の×日に、A社を訪問し、Yさんに製品カタログに基づく説明をしました。

監査員:Yさんにお会いした記録は有りますか。

回答者:営業週報に記録しています。

監査員:週報の該当する箇所を見せていただけますか。

回答者:はい。この箇所がYさんにお会いした記録になります。

ここまでくると、営業週報を監査証拠として、8.2.1a) の要求に適合した対応が確実に実施されていると判断できます。

このように、監査証拠にたどり着くまで、監査が必要です。

 

しかし、内部監査では監査対象部門が社内ですので、営業部門でどのような活動がされているかは分っているはずです。

最初からそのことを前提とした質問をするのが良いでしょう。

 

監査員:製品情報の提供についてお伺いします。最近、新しいお客様にお会いし、製品情報を提供した記録を見せてください。

回答者:先月、新規顧客であるB社を訪問し、O氏に製品カタログについてご案内したことをこの営業週報のここに記録しています。

 

これでよいでしょう。

必要があれば、その他のお客様に関する週報の記録を確認すれば良いでしょう。

 

社内での取り決めとは?

以上は規格の要求事項に対する監査ですが、

さらに、社内での取り決めについても確認しておくことが必要です。

 

例えば、主要顧客については月に1回は訪問すること、年に1回は製品説明を実施することが社内ルールとして定められていれば、次のような質問を追加する必要があります。

 

監査員:主要顧客であるC社、D社、E社について、製品情報を提供した記録を見せてください。

回答者:はい。C社については、先々月、D社、E社については先月に製品説明を実施しており、それぞれこれらの週報にこのような形で記録しています。

 

この質疑により、社内ルールに対する監査証拠も確認できています。

 

この質疑は、社内ルールに基づく監査なのですが、8.2.1a) の要求事項が反映されていることが分ります。

 

このように、社内ルールについての監査がしっかり出来れば、多くは規格要求事項に関する監査も同時に出来ます。

規格要求事項を背景として社内ルールについて監査を進める質問ができれば、監査を効率よく進めることが出来ます。

 

このことを念頭において、質問を考えてみては如何でしょうか。

 

まとめ

監査は、あなたの会社が決めたルールを守っているかのチェック。

 

そのときの質問が曖昧だったり、質問に対して、集めた証拠が足りなかったりしたら、監査の意味がないので、時間のムダとなります。

そして大事なのが、クレームや事故の芽を内部監査で積んでおくことなんですが、それが出来てないと、大変なことになるかも知れません。

 

ISOコムのISO9001取得コンサルタントは、あなたの会社の業種、大きさにピッタリ合わせた監査の質問を作り、必要な証拠を集めるためのノウハウを伝授します。

 

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・ISO9001取得の目的とメリット

・ISO9001:2015年度版のポイント

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2018/08/20

ISO14001の力量表(スキルマップ)とは

【この記事の執筆者】亀田昭子

コンサル風景

こんにちは。ISOコム マネジメントコンサルタントの亀田 昭子です。

このブログにアクセスしていただき、ありがとうございます。

 

前回のブログで、「ISO14001(EMS)の教育訓練としてどのような資料を作成しなければいけないか」について、書かせていただきました。

今回のブログでは、前回の教育訓練に関連した「力量表(スキルマップ)」について、お話したいと思います。

 

力量とは?

最初に力量って何でしょう?

力の量?

何の力だろう?

重いものを持てる力の量のことかなあ?

 

「力量」とは、普段あまり使わない、難しい言葉の一つですよね。

 

辞書で調べてみると、「力量」とは、

物事を成し遂げる力の程度。能力の大きさ。「指導者としての力量が問われる」

とあります。

また、ISO14001の要求事項の中に記載している「力量」とは、

意図した結果を達成するために知識及び技能を適用する能力

とあります。

よけい???になってしまう説明ですね。

 

皆様の会社には、様々な人が働いていると思います。

会社で働いている人たち、それぞれがどのような能力を持って、仕事をしているか、明確でしょうか?

例えば、あの人は、建築士の資格を持っているから建物の設計をやっているとか、あの人は、製品の半田付けのむらがなく、早く、きれいで、不良を出さないから、はんだ付け作業者として認定し、仕事をしてもらっているとか、

など、

免許・資格だけでなく、会社で働いている人それぞれがこういう能力を持っている。

というのが、力量になります。

 

力量は、仕事に直接関わるものばかりでなく、間接的に影響するものも含まれます。例えば、パソコンのエクセルでグラフを作成できるとか、パワーポイントでプレゼンテーション資料が作れるなどのようなものも含まれます。

会社として意図した結果というのは、売上倍増だったり、新たな事業への参入だったり、会社がこれからどのような方向に進むのか、今の業務で、会社を大きくするためにはどのようにしていけばよいか等、経営者が考えていると思います。

その会社の方針を達成するためには、会社の中で、それなりの力量を持った人が必要です。

経営者一人でなく、会社がやりたいことをできる能力を持った人たちがいなくては、会社が望んだ結果を出す事は難しいでしょう。

 

力量表(スキルマップ)とは、会社で働いている人たちがどのような能力を持っているか一目でわかるもの

 

では、力量表とはどのようなものでしょう?

会社で働いているそれぞれの人が、どのような免許・資格、仕事に対する能力を持っているかをわかりやすく示した表です。

 

ISO14001では、「力量表を作成しなさい」という要求はありません。

但し、ISO14001の要求として、7.2項「力量」に

 

環境に影響を与える仕事や環境に関する法規制を守る必要がある人々に必要な力量を決め、関連する人々がその力量を備えていることを確実にしなさい

 

と言われていますので、ISO14001を推進する上では、力量表を作成することで、要求事項に対応することができると思います。

 

力量表には、皆様の会社で必要な能力、免許・資格を明確にしていただき、それぞれの働いている人たちがその能力を持っているかどうかを考えて、持っている能力にはチェックを入れるなどして、まとめるといいと思います。

 

環境に関わる必要な能力

特にISO14001では、環境に関わる必要な能力が要求されていますので、通常の仕事の能力だけでなく、ISO14001を理解し、環境影響評価や関連法規制の要求事項を理解し、対応できる能力が必要です。

 

また、これから身に付けて頂きたい能力については、必要な力量として、明確にして、その後の社員の教育計画に織り込むなどするといいと思います。

 

まとめ

ブログを読んでいただき、ありがとうございました。

 

以上、今回もISO14001については当社のコンサルタントが解説しました。

正直なところ、余裕のある会社ならISOの新規取得や更新は自社でもできます。

ただ、弊社のようなコンサルタントを入れた方が、無駄な作業に社員が関わらなくなるため、長い目で見ると結果的に安く済みます。社員の皆さんは本来の事業に注力できるため売り上げ増につながるのです。これは間違いありません。

また、当社のコンサルタントであれば皆さまの事業に活用できるISOに作り変えるため、経営改善にも絶対に役立つはず。

ISO取得のご依頼はこちらまで今すぐご相談を!

 

ISO14001取得コンサルティング

2018/08/08

ISO45001について 第13回 「暑さとインシデント(事故等)」

【この記事の執筆者】小川次郎

立ち合い風景

こんにちは、ISOコム マネジメントコンサルタントの小川 次郎です。

このブログにアクセスしていただき、ありがとうございます。

 

地震、大雨の後は、連日35度を超える猛暑ですね。水害被災地の復旧作業もこの暑さで熱中症続出だそうです。全国で毎日数千人が救急搬送されているそうです。

 

暑さとインシデント(事故等)について

今回は、あまりに熱いので、固い規格の話はお休みにして、「暑さとインシデント(事故等)の話をしたいと思います。

 

このような知識も労働安全衛生マネジメントシステムでいうところのリスク評価には必要なことですよね。

 

勝手な言い分かな? 規格の話を楽しみにしている人には「ごめんなさい」。

 

私は、毎日、15,000人~20,000人の作業員(社員も含めて)が全国で働く建設会社の労働安全の責任者として、十数年やっておりました。

 

この会社では、4日以上の休業災害が毎月数件、死亡災害が年に1件程度発生します。

 

こんな言い方をするとお叱りをうけるかも分かりませんが、安全のデータ収集、勉強をする上では、実にサンプルの宝庫でした。

 

私がこの会社の安全の責任者となって、力を入れた一つに、労働災害データの整備があります。

 

労働行政の要求する型別、起因別等々の分類以外に、作業別、職種別、月別、曜日別、時間別、新規入場から何日目、休み明けとその他の比較、雨天・晴天別、補償費・・・・・・と実に様々なデータを精査・分別し(報告書上だけでなく、自分の目で現地を見て、精査・分別し)、社員のだれもが検索可能なデータベースを作成し、現場の安全に役立てて頂きました。

 

多少自己満足のきらいがありましたが、それなりに役立ったと思っております。

 

このデータの中に、気温別のデータも整理しました。結果は労災の発生は寒さの要素より、暑さの要素が大きく影響していました。

 

当然、月別でいうと6月、7月(建設のサイクル的にはあまり忙しくない時期)に山があります。

 

ある年度の月別度数率の表を参考までに添付しておきます。件数の多寡は別にして、毎年同じような形状になります。

 

月別度数率

 

これは、熱中症もありますが、暑さに体が慣れるまで、“ボー”としているといった、体調不良と集中力不足によるものというような気がします。

 

この時期は実に残念な事故が増えます。

 

例えば「解体現場で、がれきに躓き転倒、さらにそれに気づかず、その上に鉄筋廃材を置き、死亡させた。」とか「作業終了後、送迎バスを待つ間に、路肩の擁壁に腰かけていて、後ろへ倒れて墜落し重症」といったような事故です。

 

さて、熱中症の話ですが、医者の話では、

 

熱中症とは」. わかりやすく言うと、暑さのせいで 引き起こされた体の不調すべての総称です。

 

 

その原因として、体温の上昇もさることながら、脱水による電解質バランスの異常がとても重要だと考えられます。

 

このバランスが崩れると、各臓器との必要な物質のやり取りができなくなり、多臓器不全を起こし、死に至るからです。

 

そのため、非常にぐったりしていた被災者が、病院で点滴治療(電解質バランスが通常の状態に戻る)を受けると、何事も無かったように、元気で帰ってきます。

 

この電解質バランスを戻してやるのに時間がかかるので、手遅れにならない内に、処置することが重要です。

熱中症と

される病名

症   状

熱失神 血管の拡張によって血圧が低下します.めまい、失神、顔面そう白、呼吸回数の増加などが見られます
熱疲労 大量の汗をかき、脱水による症状が起こります.脱力感、倦怠感、めまい、頭痛、吐き気などが見られます.
熱けいれん 大量に汗をかき、血液の塩分濃度が低下した時に、足、腕、腹部の筋肉に痛みを伴ったけいれん(こむら返り)がおこります.
熱射病 体温の上昇のため中枢機能に異常をきたした状態です.吐き気、めまい、意識障害、ショック状態などが見られます.時に死に至ることもあり重篤な状態です.

出所:国立病院機構鈴鹿業員HP「熱中症にならないために」

 

― 対策 ―

どこでも言われていることですが、以下のことが重要です。工事現場には水と塩飴を常備しています。

  • 「水分を」こまめに取る
  • 「塩分を」ほどよく取る
  • 「暴飲、暴食、睡眠不足を」避け、体調管理をする

 

― 処 置 ―

以下の要領で対応するのが一般的ですが、前述のように、熱中症の疑いがある場合は、早めに病院に連れて行って、点滴を行うのが最も安心な方法です。特に高齢者小さな子供は注意が必要です。

 

 【一般的な対応要領】

  • 体を冷却しやすいように衣服をゆるめ、安静にする。
  • 涼しい場所(風通しのよい日陰、クーラーの効いた部屋)で休ませる。
  • 氷嚢、氷塊などで腋わきの下、首のまわり、脚の付け根などを冷やし、血液循環を通じて体温を早く冷ます。
  • 意識がはっきりしていれば、水分補給(スポーツドリンク)を行う。
  • 意識障害や吐き気がある場合は、医療機関での輸液が必要で、救急車を呼んで至急医療施設へ搬送する。

 

私の工事現場への指示は「予め、搬送病院を決めておいて、病院にお願いしておき、熱中症の疑いのある作業員は、冷却や休息より、すぐに病院に連れて行き、点滴治療を受けさせなさい」でした。重傷者はほとんどなくなりました。

 

ちなみに、なぜ、自前で病院に連れていくかと言いますと、以前に、あまりに建設現場からの119番が多くて、「建設現場のためだけに119番があるのではない」と強くお叱りを受けたことがあるからです。

 

冷却や休息といった処置を省くのですから怒られて当然かも分かりません。

 

しかし、一度、冷却や休息の処置をしている間に重症化して死亡したという、痛い目に合うと、そんな悠長なことはやっていられないと思ったので、このような指示になりました。

 

少しは、暑さとインシデント(事故等)、熱中症について、ご理解いただけたと思います。次回掲載時には暑さも和らいでいるとよいですね。

 

 

次回はISO45001「9.パフォーマンス評価」の2つ目「9.2 内部監査」についてです。

 

「内部監査」とはシステム全体が機能しているかどうかを定期的(多くは毎年)にチェックすることです。楽しみにしておいてください。

 

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ISO45001の要求事項に関するポイントはこちらをご覧ください。

2018/08/06

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