HACCPとは何か。わかりやすく簡単に説明します。
投稿日:2018年9月13日 最終更新日:2025年3月26日
こんにちは!ISOコム株式会社の芝田 有輝です。
食品を作ったり販売したりする会社にとって、一番大切なことは「安全」ですよね。
せっかく作ったごはんやお菓子でも、食べた人が「お腹が痛い…」「気分が悪い…」なんてことになったら大変です。
そこで、今とても注目されているのが HACCP(ハサップ) という仕組みです。
「聞いたことあるけど、むずかしそう…」と思っていませんか?
大丈夫!この記事では、HACCPの意味や必要な理由、どうやって取り入れるのかを、具体例を交えながら、できるだけわかりやすく説明します。
HACCP(ハサップ)ってなに?
HACCPは、英語で「Hazard Analysis and Critical Control Point」と書きます。
日本語では、「危害要因分析と重要管理点」という意味です。
…と言われてもピンとこないですよね?
もっと簡単に言うと、
「食品を作るときに、危ないところを前もってチェックして、安全なものを作る方法」 です。
たとえば、給食のサラダに「洗い残し」があったらどうなるでしょう?
バイ菌が残っているかもしれません。
もし、それを食べた人が お腹をこわしたり、食中毒 になってしまったら…。
HACCPは、そういう危険をあらかじめ防ぐためのルールなんです。
1-1. なぜHACCPが必要なの?
食べ物の事故はとても怖いです。
たとえば、ハンバーグがちゃんと焼けていなくて、中にバイ菌が残っていたら…?
そのまま食べた人が お腹を壊したり、最悪の場合、命に関わる事故 が起こるかもしれません。
HACCPは、
・「どこでミスが起こりやすいか」
・「どうやったら安全になるか」
をしっかり考えて、作る途中できちんとチェックする方法です。
たとえば、ハンバーグ工場では、
「お肉の中までしっかり75℃で1分以上加熱する」
というルールを決めて、毎回ちゃんとできているか確認します。
それを守れば、安全な食品を届けられるというわけです。
日本ではHACCPが義務になっています!
実は、日本では 2021年6月 から、すべての食品関係の会社や工場でHACCPを導入することが法律で決められました。
これは、「食品衛生法」という法律が変わったからなんです。
法律はこちら:https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000233
つまり、
・パン屋さん
・レストラン
・スーパーのお惣菜コーナー
すべてのお店が、HACCPの仕組みを取り入れなくてはいけません。
でも、小さなお店や工場は、「簡略版HACCP」という簡単な方法でもOK!
詳しいやり方は、厚生労働省が手引書を出しています。
従来のやり方とHACCPの違いは?
昔は、「できあがった食品を最後に検査する」というやり方が多かったんです。
でも、それでは問題が起こったときにはもう手遅れ…。
お客さんの元に危ない商品が届いてしまうかもしれません。
HACCPは、「作っている途中でチェック!」 がポイント。
・手はちゃんと洗っている?
・包丁はキレイに消毒してある?
・肉はちゃんと火が通っている?
こんなチェックを毎回しながら作ります。
だから、HACCPは 「最初から安全をつくる」 やり方なんです。
HACCPの7つのルールと12の手順
HACCPは 7つの基本ルール と 12の手順 に沿って進めます。
具体例:カレーを作る工場
1.HACCP担当チームを作る
2.商品と作り方を説明(どんなカレー?どんな材料?)
3.作業の流れを図にする(材料を仕入れる→切る→煮る→冷ます→包装…)
4.危ないポイントを見つける(肉の加熱不足、異物混入など)
5.特に大事なチェックポイントを決める(お肉の加熱温度!)
6.具体的なルールを決める(75℃以上で1分以上加熱など)
7.温度計やタイマーでチェックして記録する
8.問題が起こったときの対応(再加熱・廃棄の判断)
9.記録をきちんと残す(後から見直せるように)
10.うまくできているか検証する
11.手順書にまとめて保存
12.スタッフ全員に教育と訓練を行う
HACCPを導入するメリットは?
5-1. 食中毒のリスクがぐんと減る!
HACCPの一番のメリットは、食中毒をしっかり防げること です。
特に、次のような場面でHACCPはとても効果を発揮します。
① 細菌やウイルスの繁殖を防ぐ
食品は、温度や時間によって「細菌(ばい菌)」がどんどん増えてしまうことがあります。
たとえば、夏場にお弁当を作って放っておくと、
・黄色ブドウ球菌
・サルモネラ菌
・腸管出血性大腸菌(O157など)
などの危険な菌が増殖してしまい、食べた人が腹痛や下痢、ひどいときには命に関わることも…。
HACCPでは、「菌が増えにくい環境」を作るために、
・加熱は中心温度を75℃以上で1分以上守る
・冷却は90分以内に10℃以下に下げる
といったルールを決めて、必ず守ります。
これにより、細菌の繁殖をしっかり防ぐことができます。
② 異物混入を防ぐ
髪の毛、プラスチックのかけら、金属片などの異物が食品に混ざってしまうと、
・ケガの原因 になる
・信用を失ってしまう
などの大きな問題につながります。
HACCPでは、
・作業員は帽子やマスク、手袋を着用し、髪の毛や汗が落ちないようにする
・金属探知機を使って金属片の混入をチェック
・包丁やまな板を色分けして、アレルギーや交差汚染(菌が移ること)を防ぐ
こうした仕組みで、異物が入らないようにしています。
③ アレルギー事故を防ぐ
アレルギーがある人にとっては、たとえば 卵や乳製品、そば が入っている食品を間違って食べると、
・呼吸困難
・アナフィラキシーショック
といった命に関わる危険な状況になることがあります。
HACCPでは、
・アレルゲン(アレルギー物質)を含む原材料の保管場所を分ける
・アレルゲン対応の作業ラインを分けたり、清掃のルールを厳しくしたりして、混ざることを防ぎます。
・表示ミスを防ぐために、ラベル貼付作業のダブルチェックを行う
こうした取り組みで、アレルギー事故を未然に防ぐことができます。
④ ウイルスによる感染を防ぐ
冬場によく問題になる ノロウイルス は、ほんの少しのウイルスでも食べ物から感染し、
・激しい嘔吐や下痢
・集団感染
などが発生します。
HACCPでは、
・調理前の手洗いを正しい方法で徹底
・作業員が体調不良の場合は出勤停止にする
・調理器具の消毒をしっかり行う
などの対策をとります。
これによって、ノロウイルスの感染リスクを大幅に減らすことができます。
⑤ 二次汚染や交差汚染を防ぐ
「生の肉」を切った包丁で、そのまま「野菜」を切ると、肉にいた菌が野菜に移ってしまいます。
これを 二次汚染(交差汚染) といいます。
HACCPでは、
・包丁やまな板を用途別に色分け
・使用後はすぐに洗浄・消毒
などをルール化することで、汚染を防ぎます。
5-2. 信頼されるお店や会社になれる!
「この工場や会社はHACCP認証を取得している」と分かれば、お客さまは「衛生管理がしっかりしていて安心」と感じ、信頼して商品を選んでくれます。
会社や工場が「HACCP認証を取得している」とウェブサイトや名刺に記載することで、衛生管理が徹底された信頼できる企業であることが伝わります。
取引先や顧客からの信用が高まり、ビジネスチャンスが広がることにも繋がります。
また、工場や事務所に認証証明書を掲示すれば、訪問したお客さまにも安心感を与えることができ、取引の決め手になるケースも増えています。
5-3. 海外でも通用!
HACCPは世界基準。
国連のFAOやWHOもすすめていて、海外に食品を輸出したい場合も HACCPは必須 です。
HACCPは「ISO22000」「FSSC22000」といった国際認証にも組み込まれていて、特にFSSC22000は「グローバル食品安全イニシアチブ(GFSI)」にも認められた認証です。
👉 GFSI公式サイト:https://mygfsi.com
HACCPをしないとどうなる?【罰則も!】
HACCPは法律で決まっているので、やらないと
・保健所から指導
・営業停止
・ひどい場合は 6か月以下の懲役か、50万円以下の罰金
さらに、食中毒などが起きるとニュースで報道されて、お店や会社の信用ガタ落ち… になってしまうことも。
法律の詳細はこちら!
👉 食品衛生法:https://laws.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO233.html
HACCP認証ってなに?どう取るの?
HACCPをきちんと実施していると、外部の機関から 「HACCP認証」 をもらえます。
認証があると
・信頼がアップ
・ホームページやチラシに「認証取得済み!」と書ける
など、お店のアピールにもなります。
取得までにかかる期間は 8〜14ヶ月。
コストは規模によりますが、「JFS-B規格」は比較的短期間・低コストで導入できます。
👉 詳しくはこちら
- JFS-B:https://isocom.co.jp/wp/?p=3048
- ISO22000:https://isocom.co.jp/wp/?p=3256
- FSSC22000:https://isocom.co.jp/wp/?p=3959
HACCPに関する資格もある!
資格がなくてもHACCPはできますが、持っていると役立ちます。
たとえば…
・HACCP管理者
・HACCP普及指導員
・HACCPリーダー
取得できる機関はこちら
・日本食品分析センター:https://www.jfri.or.jp/Portals/0/resources/soudan/HACCP_course.html
・大日本水産会:https://www.suisankai.or.jp/haccp/index.html
HACCP導入は低コストでも可能!
「HACCPってお金がかかりそう…」と思われがちですが、実は 無料の手引書 もたくさんあります。
小さなお店や工場なら「簡略版HACCP」でシンプルな記録とチェックをすれば大丈夫です。
👉 無料手引書ダウンロード
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000207035.html
HACCP導入はマニュアル作りから!
まずは「手順書」を作りましょう!
・写真やイラストを使って分かりやすく
・難しい言葉は使わない
・具体的に「どうやるか」を書く(加熱温度・時間など)
困ったときは、ISOコムのHACCP支援もあります!
👉 https://isocom.co.jp/iso/haccp.html
HACCPはアポロ計画がルーツ!
実はHACCPは、アメリカのNASA(ナサ)が宇宙食の安全を守るために作った方法なんです!
宇宙飛行士が宇宙で お腹を壊したり、ケガをしたり したら大変!
だから、NASAは「絶対に安全な食品を作ろう!」と考えたのがHACCPの始まりです。
なんと、当時の目標は
「100万食作って、不良品は1個あるかないか」 というレベル!
この厳しい管理が、今の食品工場でも生かされています。
HACCPはコストがかかる?…実は違います!
HACCPは「コストがかかりそう…」と思われがちですが、実際は コスト削減 になることが多いんです。
実際の事例
・HACCPを導入したら商品の鮮度が上がり、売上が伸びた!
・無駄やムラが減り、生産効率アップでコストも削減!
・賞味期限切れの廃棄も減って、利益率が上がった!
まとめ
HACCPは「食品を安全に届けるための仕組み」です。
むずかしく考えず、
・「危険を予測する」
・「大事なところをチェックする」
・「記録を残す」
…この3つが基本!
まずは、できることからHACCPを始めてみましょう!
ISOコムなら、HACCPをスムーズに導入するお手伝いができます。
👉 https://isocom.co.jp/iso/haccp.html
HACCP取得のご依頼は今すぐお問合せフォームからご相談を!
ISOコム株式会社お問合せ窓口 0120-549-330
当社ISOコム株式会社は各種ISOの新規取得や更新の際のサポートを行っているコンサルタント会社です。
ベテランのコンサルタントが親切丁寧にサポートしますので、気になる方はぜひご連絡下さい。