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ISOコム通信

食品工場で認証されると有利なHACCP導入のメリット

投稿日:2019年7月7日  最終更新日:2024年11月10日

 

食品工場こんにちは。ISOコム コンサルタントの花野です。

今回は2020年6月には施行されるHACCP認証の制度化のうち、食品工場ではどうすればいいのか、またその他必要な規格についてお話しします。

 

 

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HACCPの歴史とは?

既にご存じの方は多いと思いますが、HACCPの仕組みはアメリカ生まれです。

1960年代、アメリカとソ連(現ロシア)は熾烈な宇宙競争を繰り広げていました。

その中で、1961年にソ連のガガーリン飛行士が人類で初めて宇宙を飛行しました。

地球を一周する108分間に科学者たちが彼に課した実験の一つに「無重力でも食べ物が飲み込めるか?」というミッションがあり、ガガーリンは水を飲み、チョコレートを食べました。

これが初めての宇宙での食事です。

 

当時アメリカは宇宙競争においてソ連に一歩リードされていましたが、1969年にアポロ11号で2人の宇宙飛行士を月に送り込むことに成功しました。

月への往復は約2週間かかります。

その間の食事には100%の安全が求められました。

宇宙空間で食中毒を起こすと大変なことになってしまいますよね。

そのために考えられたのがHACCPの仕組みによる衛生管理だったんです。

 

1971年にアメリカのピルスベリーという会社がこのHACCPを発表しました。

でも、当時はあまり注目されなかったそうです。

しかし、1982年にオレゴン州・ミシガン州において、ハンバーガーにより腸管出血性大腸菌O157の集団食中毒事件が起きました。

この時にマクドナルド社がHACCPの仕組みを取り入れ、食中毒の予防に効果があることを実証しました。

このようにHACCPはアメリカで生まれ育ってきた仕組みなんです。

 

日本のHACCPとは?

さて、日本では最近になってHACCPという言葉を耳にした方も多いかと思いますが、

1995年に改正された食品衛生法において「総合衛生管理製造過程の承認制度」(通称:マルソウ)という名の「日本版HACCP」がスタートしました。

この制度は今回の制度と異なり、取り組みは任意で、対象業種は6業種に限られていました。

当初はどんどん対象業種を増やしていく予定でしたが、2000年に発生した国内最大手の乳業メーカーの大規模食中毒事件以降増えることはなく、この度のHACCP制度化によって廃止されました。このマルソウが日本で拡がることなく廃止になってしまった原因は・・・

・ハード中心でお金のかかるシステムと誤解されたこと

・ソフトが見れない行政の審査になったこと

・承認が目的となって「取ったら終わり」になったこと

これではだめですね。

そして今回、東京オリンピック、パラリンピックの招致が決まった時からHACCPは義務化に向けて大きく動き出しました。

 

日本で制度化されたHACCPの取り組みとは?

今回、すべての食品等事業者を対象に義務化(制度化)が決まったHACCPはマルソウの失敗を踏まえ、ハード面は問いません。ソフトの仕組みです。

食品工場に限らずすべてに食品等事業者が取り組むこととなりますので、

従業員数や品質管理部門の有無などの一定の規模の条件を有する食品関連事業者が取り組む「HACCPに基づく衛生管理」(旧呼称:基準A)と、

小規模、零細事業者や飲食店などが取り組む「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」(旧呼称:基準B)に分かれています。

食品工場においては事業所の規模(従業員数)によって、どちらかに取り組むことが必須となるわけです。

 

【急げ!】食品衛生法の改正によるHACCP制度化(義務化)が迫る!

 

HACCPに基づく衛生管理

コーデックス(国連の国連食糧農業機関:FAOと世界保健機構:WHOの合同機関)が定めたHACCP 7原則12手順に沿って危害要因を分析し(HA)、重要管理点(CCP)を決定し、管理します。

厚生労働省のホームページに「HACCP入門のための手引書」が掲載されています。

この手引書は業種別に非常に簡単に書かれていますので初めての方におススメです。

まずはここからスタートですね。

 

食品工場で必要となるHACCP認証の制度化と導入

食品工場であれば、従業員数が50人未満の小規模事業所が義務化(制度化)の対象となります。

この取り組みの基本は、こちらも厚生労働省のホームページに掲載されている「食品等事業者団体が作成した業種別手引書」を見ることがスタートになります。

この手引書は現在約40種類出されていて、今後もどんどん増えていきます。

「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」はこの業界が作成した手引書に沿って仕組みを作るのが基本です。

 

HACCP導入のメリット

HACCPの目的は食品の安全を確保することですが、食品工場の現場で品質管理の手順を決めて記録に残していくので、徹底すると従業員の教育に非常に役に立ちます。

このことで従業員のモチベーションアップにつながります。

ちなみに私のコンサル先の工場でも、HACCPの仕組みを構築している途中から既にこの効果が実感できるようになりました。

また、クレームやロス率の低下、品質ばらつきの低減にもつながります。

こうなると当然のように取引先様の評価がグングン上がり、利益が安定して確保できるようになります。

 

HACCP認証のデメリットとは?

「HACCPは仕組みを作って終わり」って、お考えになる方もいらっしゃいます。

でもこの形骸化したHACCPは何の役にも立たず、文書や記録が増えただけ重荷を抱えたものになってしまいます。

HACCPは手段であって目的ではなく、ここを間違えると大きなデメリットになってしまいます。

 

HACCPを導入するなら今後はJFS-B規格がねらい目

 (財)食品安全マネジメント協会が作った食品安全の規格の中にはJFS-A/B/Cの3種類があります。

このうちB規格では7原則12手順に従ったHACCPの構築と運用が求められています。

 

そしてこの規格は第三者機関が審査を行い、認証したことを公にするスタイルなので、取引を開始するとか、継続するなど、お客様への信頼を得ることができます。メリットがいっぱいですね!

 

但し、中小零細規模の食品工場でとろうとする場合、危害分析や具体策の専門知識を持った人がいないと、時間がかかるばかりでなく、肝となる危害の見極めと対策を誤ってしまい、せっかく労力と時間をかけて取り組んだ結果、相変わらず食品事故のリスクがそのまま残っている、ということにもなりかねません。

 

HACCPをしっかり実行していることをお客さまや第三者に証明するのには、ISO22000FSSC22000の審査に合格することが知られていますが、

日本初の食品衛生規格JFS-A/B規格が今後はお薦めです。※JFS-Bが知りたい方はこちら

ISOに比較して、中小企業向けの取り組みやすい規格として作られています。

現在350社ほどの国内合格件数があり、今後も食品衛生法の改正、施行に合わせて大幅に増加する見通しです。

 

当社でもHACCPの導入に加えJFS規格取得のためのコンサルティングを行っております。

自社でHACCPを導入したり、JFS規格を取得するのはちょっと大変というお客様は、ぜひご連絡ください。

ベテランコンサルタントがしっかり認証取得までをサポートいたします。

 

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