第4回 ISO14001解説 2015年度版 改正(改訂) 要求事項6.1.2項「環境側面」について
投稿日:2023年5月12日 最終更新日:2024年8月5日
こんにちは。このブログにアクセスしていただき、ありがとうございます。
今回のブログでは、ISO14001改正版の6.1.2項「環境側面」について考えていきたいと思います。
ISO14001の6.1.2章は、
皆様の組織の、環境マネジメントシステムにおける適用範囲の中で、
“ライフサイクルの視点”を考慮し、組織の活動、製品・サービスについて、
環境側面と、それに伴う環境影響を決めることを要求しています。
この要求は、2004年度版から要求されていますが、2015年度版では、以下が変更・追加されました。
・環境側面を決める時に
-ライフサイクルの視点を考慮する。
-環境影響も決める。
-非通常の状態を考慮する。
-予見できる緊急事態を考慮する。
・著しい環境側面を決める時に基準を設定する。
・著しい環境側面決定後に必要に応じた著しい環境側面を伝達する。
・文書化の対象に「環境側面及びそれに伴う環境影響」「著しい環境側面を決定するために用いた基準」
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“ライフサイクル”とは?
人の場合、誕生から、死に至る人の一生を意味しますが、
製品の場合は、
原材料の取得~設計~製造~製品の輸送(提供)~製品の使用~使用後の処理~最終処分(リサイクル)に
なります。
その中で、自社が影響を及ぼすことができる環境側面とは、
例えば、原材料の調達や外注先での製造、完成品の輸送など、
自社で行っている業務ではないものがある場合、自社の環境側面にはなりませんが、
自社が、その購買先や委託先に対して、管理することが可能な環境側面まで考慮しなさい
ということが、要求事項になっています。
「非通常状態」とは?
製造工場の場合、非通常とは、
①長期休暇
②故障での設備の停止
③新規設備などの導入立上げ状態
など
通常とは異なる状態を意味し、このような場合も考慮しなさいということになります。
「予見できる緊急事態」とは?
ISO14001での予見できる緊急事態とは、
①自社が地球に与える緊急事態(火災や事故)
②地球が自社に与える緊急事態(地震、台風など)
③その他(直接環境には影響を与えない緊急事態で、労働災害や法規制対応の遅れによる操業停止など)
が考えられると思います。
このような新しい要求事項を踏まえ、環境側面と環境影響・著しい環境側面を決める必要があります。
これだけ多くの要求が追加されていて、
環境影響評価を行うことが、非常に大変だと感じられるかもしれませんが、
ISO14001:2015年版の改版では、環境影響評価を行うための手順は要求されてなく、
自社の環境側面と、それに伴う環境影響と、著しい環境影響を決めればよいので、
今までより、少し楽に考えてみてもいいのではないでしょうか。
あるお客様で、まず環境側面を抽出するための手順書を作成し、
その手順に基づき、各部門が環境側面を抽出し、それに対し、環境影響評価・点数付けを行い、
著しい環境側面を決め、これを毎年実施されていらっしゃいましたが、
2015年版への対応では、点数付けをやめ、
社内関連部門との環境関連の打合せの中で、事業内容や新規設備等から環境側面を再確認し、
その場で著しい環境側面まで検討することとして、環境影響評価における工数を減らすことができた、という事例があります。
ISO14001:2015年度版の規格の中では、環境影響評価をどのような方法によって行うのか、については、何の要求もありませんので、合理的な方法を自社で決めることが出来る、ということですね。
これからは、自社に見合ったやり方を考えて、自社の環境影響評価を行うことで、
環境にやさしい企業を目指すことでいいと思います。
次回のブログでは、ISO14001の順守義務について考えていきたいと思います。
今回の記事はいかがでしたでしょうか?
環境側面を理解し、あなたの会社にあったやり方で取り組みを決めないと、
余計な時間や手間がかかって、本業にも影響を及ぼしかねません。
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本業をすること=環境保護 となっていきます。
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【ISO14001に関する過去記事】
4.1項「組織及びその状況の理解」、4.2項「利害関係者のニーズと期待の理解」、6.1項「リスク及び機会の取組み」について(その1)
4.1項「組織及びその状況の理解」の「内部及び外部の課題」について(その2)