第2回 ISO14001解説「内部及び外部の課題」の具体例
投稿日:2017年10月4日 最終更新日:2024年10月8日
こんにちは。ISOコムの亀田 昭子です。
今回は、2015年版ISO14001(EMS)の新規要求事項である4.1章の「組織及びその状況の理解」の中に出てくる「内部及び外部の課題」をお話しします。
このブログは、ISO14001:2015で要求されている『内部及び外部の課題』について、 要求事項の内容と具体例をあげてわかりやすく説明し、 これからISO14001に取り組まれる方、既に取得したが、どうしたらいいかいまいちよく分からない方を対象に、ご理解の一助としていただくことを目的としています。
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ISO14001 内部・外部の課題とは?
ISO2015年版統合マネジメントシステム(例えば品質・環境の統合)を準備中のお客様で、
SWOT分析をすでに取り入れて事業計画を立案されているお客様も最近は多く見られます。
そのため、作成されているお客様のSWOT分析や事業計画書等を見せていただくと
品質に対する内部・外部の課題、利害関係者のニーズは明確に考えられていらっしゃいます。
では、「環境について考慮されているところはどの部分になりますか?」と質問すると、
「うーん」と考え込んでしまう場合があります。
一方で、事業計画書等を見ながら確認していくと、品質向上のための事業方針が
実は環境向上も考慮していることになる場合が多いことに気が付きます。
例えば、製品不良を削減することにより、品質向上、生産性の向上になりますが、更に不良による歩留まりが削減されることにより設備稼働による電力量の削減や廃棄物の削減にもつながっていきます。
今後、ISO14001規格6.1項「リスク及び機会の取組み」を検討する時、環境のことも考慮に入れて考えていただくと、効率的に品質・環境活動の改善や統合マネジメントシステム化につながると思います。
「内部・外部の課題」ISO14001の例
最初に外部の課題(外部環境)とは、どういったものでしょう?
外部環境とは、皆さんがコントロールできない環境で、それは常に変化し続け、
その変化を察知できずに流れに取り残されてしまえば企業は競合に後れをとり、生き残っていけなくなるような環境で、会社にとって機会にもなりまた脅威にもなるものです。
それはマクロ環境とミクロ環境に分けられます。
マクロ環境とは、PEST(Politics:政治、Economy:経済、Social:社会情勢、Technology:技術革新)等の
企業に間接的に影響を与える外部環境を意味します。
また、ミクロ環境とは、企業に直接的な影響を与える要素を指し、「市場」、「顧客」、「競争相手」の
3つが代表的なものといえます。
例えば、
①産廃処分費用の増大
②地球温暖化現象の拡大
③高齢者増加による家屋解体物件の増加
④東京オリンピックによる市場拡大による廃棄物増加、資源の枯渇
⑤大規模災害の増加
⑥地球資源の枯渇
などがISO14001での外部環境(課題)として考えられます。
では、内部の課題(内部環境)はいかがでしょうか?
自社の人、モノ、カネ、情報などでビジネス上、他の会社と比べて相対的に強いものと弱いもの(強みと弱み)のことで、
強みとは、自社のリソースでビジネスの武器となるもの、他社よりも優れているもの、
弱みとは、会社の弱み、会社が抱えている問題、社内の不平不満などです。
内部環境の強みの例としては、
① 太陽光発電事業の取組み
② 廃棄物・有価物の分別徹底
③ 自社内での廃棄物処理
④ 環境関連の社員への日常教育・安全教育の浸透などがあります。
また、内部課題の弱みの例としては、
① コストダウンへの取組み不足
② 会社設備、廃棄物保管場所等の老朽化
③ 下請け職人・外注先への意識付け不足
④ 若手社員の採用遅れなどがあります。
例えば、建設業で、マクロの外部環境として、東京オリンピックによる市場拡大による建築需要の増大が
考えられるとすると、需要が増えることにより産業廃棄物の量も増加することになります。
もし自社内に廃棄物処理施設があれば、内部環境として自社の強みとなります。
特に廃棄物処理から再生資源化し、販売することにより、会社としての利益にもつながります。
しかし、自社として廃棄物処理設備がなく、処理を依頼している場合、処理費用増大は会社のリスクと
なってきます。
このような外部と内部の課題から自社がこれから何を行うべきかを考え、自社の目標に落とし込むことにより、事業発展につながると思います。
まとめ
環境面の外部、内部課題を理解していないと、あなたの会社の取り組むべき課題が放置され、後々トラブルや会社継続への障害に発展するかも知れません。
ISOコムのISO14001取得支援コンサルでは、あなたの会社の環境課題をヒアリングしながら明らかにし、
成果が上げられるようスムーズに導いていきます。
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【ISO14001に関する過去記事】
4.1項「組織及びその状況の理解」、4.2項「利害関係者のニーズと期待の理解」、6.1項「リスク及び機会の取組み」について(その1)
4.1項「組織及びその状況の理解」の「内部及び外部の課題」について(その2)