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ISO45001:2017について 第2回 「意図した成果」及び「規格独特の用語」

投稿日:2018年2月13日  最終更新日:2023年5月12日

【この記事の執筆者】小川次郎

打ち合わせ風景

こんにちは、ISOコム マネジメントコンサルタントの小川 次郎です。

このブログにアクセスしていただき、ありがとうございます。

 

前回は、「ISO45001:2017規格の発行の動向」と、「OHSAS18001等の既存のシステムとの大きく変わるところ」についてお話させていただきましたが、

今回は、規格の中によく出てくる「意図した成果」「規格独特の用語の意味するところ」

中心にお話させていただきます。

 

主題に入る前に、ISO45001:2017 FDISが、この1月28日にFDISへの投票結果が公表され、

Pメンバー国の賛成が93%(57/61カ国)、全メンバーの反対が6%(4/66カ国)となりFDISは承認され、今後、ISO中央事務局が約2~3週間かけてISO45001:2017発行への準備を進めるとのことをお伝えしておきます。

 

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【意図した成果】

「意図した成果」はシステムの目指すところなので、当たり前のことですが、この規格にはこのフレーズ「労働安全衛生マネジメントシステムの意図した成果」が良く出てきます。

 

規格の序文に、労働安全衛生マネジメントの意図した成果は「働く人の労働に関係する負傷及び疾病を防止すること、及び安全で健康的な職場を提供すること」と示されています。

 

このことは、我が国の労働安全衛生法(以下、「安衛法」という)の第一条に「・・・・・職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。」としており、

このシステムの目指すところとほぼ同じですね。

 

異なるところは、システムでは対象者が「働く人の・・・」であり、安衛法では「労働者の・・・」です。

これは、次の「用語の意味」のところでも、お話しますが、システムの「働く人」の方が安衛法の

「労働者」より広範囲の人を対象にしている点です。

 

すなわち

働く人(トップマネジメント、管理者、非管理者を含む) > 労働者(賃金を支払われている人)

 

・・・・こんなエピソードがあります・・・・

 

・・・・ある時、建設現場で作業員が足場から墜落をして、血しぶきの飛び散るような大けがをしました。

 

職員は大慌てで、「119」通報をし、支店と労働基準監督署(以下「労基」という)に一報を入れました。

 

一時間ぐらいして、労基の監督官が来場して、現場検証と、関係書類、関係職員、作業員への聴取を始めました。

 

しかし、これは、安衛法の対象の事故ではありませんね」と言って現場を去りました。

 

“これはなぜだと思いますか?”

 

この被災者(作業員)は、賃金台帳を見る限り、賃金では無く、受取(請負)になっており、

労働者ではなく、経営者と見なされた結果です。安衛法の対象はあくまで労働者であり、経営者ではないからです。

 

このISO 45001労働安全衛生マネジメントシステムの「働く人」には、経営者、管理者、非管理者すべてが含まれています。この点が安衛法の「労働者」との大きな違いです。

 

さらに、この労働安全衛生マネジメントシステムでは「効果的な予防保護処置をとることによって危険源を除去し、労働安全衛生リスクを最小化することは、組織にとって非常に重要である。」と示されています。

 

この考えに立って、規格要求事項が作成されたいると言えるでしょう。

 

【ISO45001独特の用語】

次に用語の説明ですが、ISO規格は、普段使い慣れていない独特の「用語」や「言い回し」が多く出てきて、取っ付き難いのではないかと思います。規格書にも多くの定義が記述されていますが、

ここでは特に理解に注意すべき「規格独特の用語」のみを説明をしておきます。

 

1.働く人(worker):

規格の用語及び定義に記載されている通り、トップマネジメント、管理者、非管理者を含みます。

具体的内は、経営者、ボランティア、学生インターンシップ、見習い、パート職員、臨時雇用員、

派遣労働者等が含まれ、雇用契約に関わらず働く人全てが被災しないような配慮を求めています。

前述した通り、安衛法の「労働者」より広い意味を持っているので注意が必要です。

 

2.インシデント(incident):

規格の用語及び定義をそのまま書くと、余計に分からくなりそうなので、平易に書きます。

簡単に言えば、「労働災害及びヒヤリハット的な事象」と言えます。

 

3.考慮する(consider)と考慮に入れる(take into account):

他のISO規格も同じですが、考慮する(consider)は「考える必要はあるが、必ずしも採用しなくても良い」という意味で使用され、考慮に入れる(take into account)は「採用を前提に、考える必要がある」という意味で使用されています。

 

4.確実にする(ensure):

責任は委任(responsibility)してもよいが、実行されたことを確認する説明責任(accountability:説明だけでなく、結果についても責任を負う)は委任できない。

簡単に言えば、「部下に仕事を任せても、組織のトップが責任を負うこと」と言えます。

 

5.維持する(maintain)と保持する(retain)

維持する(maintain)は「変化あるいは変更の可能性のあるものを最新の状態にしておくこと」を意味し、保持する(retain)は「記録のように変化あるいは変更の可能性のないものを、保ち続けること」を意味します。

 

まだまだ、たくさんの「規格独特の用語」がありますが、次回からの規格要求事項の内容のうち

私の経験も踏まえて、私なりの記述をしていきたいと思っております。楽しみにしてください。

 

【ISO45001についての記事】

【第1回】 ISO45001:2017の発行の動向と既存のシステムとの大きな変化

【第2回】「意図した成果」及び「規格独特の用語」

【第3回】「4 組織及びその状況」

【第4回】「5 リーダーシップ及び働く人の参加」

【第5回】「6 計画」

【第6回】「6 計画」

【第7回】「6 計画」「6.2 OH&S目標及びそれを達成するための計画策定」

【第8回】「7 計画」 「7.1 資源」「7.2 力量」「7.3 認識」

【第9回】「7 計画」 「7.4 コミュニケーション」「7.5 文書化した情報」

 

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