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ISO45001について 第5回 「6 計画」リスク及び機会への取組み

投稿日:2018年4月2日  最終更新日:2023年5月12日

【この記事の執筆者】小川次郎

打ち合わせ風景

こんにちは、ISOコム マネジメントコンサルタントの小川 次郎です。

このブログにアクセスしていただき、ありがとうございます。

前回は、ISO45001「5 リーダーシップ及び働く人の参加」についてお話させていただきました。

 

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今回は、ISO45001「6 計画」リスクと機会についてです。

 

ここでは、ISO45001の4項で決定した組織の内外の課題、働く人及びその他の利害関係者のニーズ及び期待、OH&Sマネジメントシステムの適用範囲を考慮して、意図した成果(“働く人の労働に関係する負傷及び疾病を防止すること”及び“安全で健康的な職場を提供すること”)を達成するために実施する(実施するべき)計画に関して書かれています。

 

この項には次のように多くの項目があり、重要度が高く、このシステムの成否が掛かっていると

言えるのではないでしょうか。

 

6.1リスク及び機会への取組み

6.1.1 一般

6.1.2 危険源の特定並びにリスク及び機会の評価

6.1.2.1危険源の特定

6.1.2.2 OH&Sリスク及びOH&Sマネジメントシステムに対するその他のリスクの評価

6.1.2.3 OH&S機会及びOH&Sマネジメントシステムに対するその他の機会の評価

6.1.3 法的要求事項及びその他の要求事項(順守義務)の決定

6.1.4 取組みの計画策定

6.2 OH&S目標及びそれを達成するための計画策定

6.2.1 OH&S目標

6.2.2 OH&S目標を達成するための計画策定

 

6.1項全体では、業務プロセスの中で、日常管理的に実施する(実施するべき)事項に関しての

計画について書かれており、6.2項ではその中でも特に目標管理として実施する事項についての計画に関して書かれています。

 

6.1項の内容は規格の解釈を述べてもなかなか理解し難いところがあるので、事例で説明しましょう。

 

【事例:フォークリフトでの運搬作業】

この作業は工場や物流倉庫に限らず、百貨店やスーパーマーケットの荷捌き場所、建設現場等どこでもある作業ですね。

 

まず、作業手順(分解)に基づき、一般的なリスクアセスメントをして見ました。

フォークリフトでの運搬作業リスクアセスメント

作業 リスク 既存の対策 リスク評価 リスク低減策 措置後のリスク評価
重大性 可能性

発生

 

優先度
重大性 可能性

発生

 

優先度
荷置場での荷取作業 旋回時に作業員に激突する 注意喚起の掲示 床に作業中立入禁止の明示(トラ模様表示)

フォークリフト特性の勉強会

運搬作業 荷が高く、前進走行時に前方の作業員に激突する 荷が高い場合はバック走行の奨励 床に走行路の明示をする

走行ブザーを鳴らす

前進中に作業員が飛び出し、急ブレーキにより荷が飛び出し、作業員に荷が激突する 走行中のパトライトを廻す 床に走行路の明示をする

走行ブザーを鳴らす

スピードの出しすぎにより、死角から出てきた作業員に激突する 速度制限を設定 死角になる場所の検証、荷の高さ制限等死角を無くす
作業場所での荷降ろし作業 旋回時に作業員に激突する 注意喚起の掲示 床に作業中立入禁止の明示(トラ模様表示)

 

上記リスクアセスメントから6.1項で要求されている以下のことを想定してみました。

実作業(以下の1)~5)の特定又は抽出作業)は、当然、事務局や安全担当者、実作業に携わる人、管理者の人たちと議論をして、抽出するのが望ましいですよね。

 

1)危険源(災害発生の元となる主たる要因)の特定

  • フォークリフトの旋回
  • フォークリフト荷の高さ、視界不良
  • フォークリフトの走行速度
  • 走行路の死角
  • フォークリフトの走行範囲への人(作業員、見学者ほか)の立入
  • フォークリフト作業の力量
  • フォークリフトの走行路(凹凸、段差、立入禁止措置)
  • フォークリフトの点検、作業計画
  • 作業員のフォークリフトに対する認識
  • 作業環境(作業場所の照度、騒音、労働時間、運転者の体調管理等)
  • 災害発生時の対応・訓練
  • フォークリフト作業の周知(変更も含む)

2)OH&Sリスク(OH&S上の問題点、危険源と重なるところがある)

  • 旋回時に作業員に激突する
  • 荷が高く、前進走行時に前方の作業員に激突する
  • 前進中に作業員が飛び出し、急ブレーキにより荷が飛び出し、作業員に荷が激突する
  • スピードの出しすぎにより、死角から出てきた作業員に激突する
  • フォークリフトの走行範囲への人(作業員、見学者ほか)の立入
  • フォークリフト作業の力量
  • フォークリフトの点検、作業計画
  • 作業環境(作業場所の照度、騒音、労働時間、運転者の体調管理)

3)OH&Sマネジメントシステムに対するその他のリスク(OH&Sのシステム上の原因)

  • リスク評価への作業者の参加システムの不備
  • 対策の周知システムの不備
  • 作業員の力量保持体制の不備
  • 災害時の対策・措置の周知・訓練不足
  • 作業内容の関係作業員への周知不足
  • 見学者他、外来者への安全注意周知体制の不備

4)OH&S機会(OH&Sの良化のための取組み)

  • 5S運動の促進
  • 安全衛生パトロールの実施
  • フォークリフト走行路設備(柵、明示、死角の除去)の見直し
  • フォークリフト作業計画の見直し

5)OH&Sマネジメントシステムに対するその他の機会(OH&Sのシステムの良化のための取組み)

  • リスク評価システムの見直し
  • 対策の周知システムの見直し
  • 作業員の力量保持体制の見直し
  • 災害時の対策・措置の周知・訓練の見直し
  • 作業内容の関係作業員への周知方法の見直し
  • 見学者他、外来者への安全注意周知体制の見直し

 

リスク及び機会の評価方法は、規格上は特に定めはありません。

 

OH&Sリスクの評価はすでに組織の中で、リスクアセスメントを実施されているようでしたら、

それを利用されるとよいと思います。その他の各リスク及び機会に対しても、

「結果の重大性(大きさ)」と「発生の可能性」、「優先度」で評価し、「取組みの計画策定」をすると良いのではないでしょうか。

 

今回は少し長くなりましたが、ここまではご理解されましたでしょうか。

実際の作業で試してみられると理解が速いのではないでしょうか。

次回は「6 計画」の残りの部分について説明しましょう。

 

【ISO45001についての記事】

【第1回】 ISO45001:2017の発行の動向と既存のシステムとの大きな変化

【第2回】「意図した成果」及び「規格独特の用語」

【第3回】「4 組織及びその状況」

【第4回】「5 リーダーシップ及び働く人の参加」

【第5回】「6 計画」

【第6回】「6 計画」

【第7回】「6 計画」「6.2 OH&S目標及びそれを達成するための計画策定」

【第8回】「7 計画」 「7.1 資源」「7.2 力量」「7.3 認識」

【第9回】「7 計画」 「7.4 コミュニケーション」「7.5 文書化した情報」

 

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