ISO9001 2015年度改正(改訂)版における利害関係者とは?
2017年10月16日
こんにちは。マネジメントシステムコンサルタントの柏木 博です。
ISO9001 2015年度版では、4.2項に『利害関係者』という言葉が出てきますが、
『利害関係者』といわれても、どの範囲までを含めればよいか迷ってしまいますよね。
そこで、改めてISO9001:2015の「4.2項 利害関係者のニーズ及び期待の理解」見てみると、
『QMSに密接に関連する利害関係者』と表現されています。
ということは、ISO9001:2015規格の中に現れてくる『利害関係者』を中心に考えればいいのではないかと
考えられます。
この視点でISO9001:2015規格を見てみましょう。
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利害関係者とは誰だ?
「5.1.2項 顧客重視」
「8.2項 製品及びサービスに関する要求事項」
「9.1.2項 顧客満足」
では、『顧客』が関係者として出てきます。規格の狙いからすれば当然のことですが。
また
「7.1.2項 人々」
「7.2項 力量」
では、社内の『従業員(パートさんやアルバイトも含まれます。)』が
関係者として取り上げられていますね。
さらに、「8.4項 外部から提供されるプロセス,製品及びサービスの管理」では
『外部提供者』も関係者として取り上げられています。
ISO9001:2015規格で取り上げられている『利害関係者』は以上になります。
『顧客』については直接のお客様だけでなく、その先のお客様やエンドユーザーまでを
利害関係者に含めたほうが良い場合があるでしょう。それぞれの業種によってお客様の範囲は異なると
思われます。
では、『外部提供者』についてはどこまでを含める必要があるのでしょうか。
それぞれの事情によると思いますが、概ね、アウトソース先(会社機能又は業務の一部の委託先)を
含めておけばよいかと思われます。
多くの場合、部品や製品の購買先に関しては監視し、レビューしなければならないような
QMSに関する要求事項の情報は殆ど無いかと思われます。
購買しようとする部品や製品について、購買先から要求がある場合には
「7.4項のコミュニケーション」で扱うことになりますので、
これ以外に監視し、レビューしなければならないような情報は余り無いように思われます。
しかし、アウトソース先に関しては「7.4項 コミュニケーション」で扱う情報も多いのですが、
『外部から提供されるプロセスを組織のQMSの管理下にとどめることを、確実にする(8.4.2項)』
ことを達成するためには、
外注先の要求事項に関する情報の監視や、レビューが必要になる場合が想定されます。
例えば、社内で製造している製品の一部について製造を委託しているような場合には、
委託先での設備の入れ替えや委託先の従業員に対する教育訓練の内容が
製品品質や製造量に影響する場合が有りますし、あるいは残業時間や夏季休暇の時期なども
生産量や生産時期と密接に関係する場合も考えられます。
アウトソースの実態に合わせて、密接に関連する利害関係者に該当するか否かを決めていくことが必要となります。
これ以外の利害関係者を含めるかどうかは、それぞれの企業の事情によって変わってきます。
ISO9001:2015規格では『法令・規制要求事項を満たした製品及びサービス』を提供することが
目的ですので、官公庁や規制当局も対象に含めること必要になるかもしれません。
しかし、ISO14001 2015年度版(環境)の場合には、周辺住民や製品の納入先への影響も
考慮する必要があるのに対して、『QMSに密接に関連する』範囲でよいので、
製品や企業活動に直接的に関わる範囲で官公庁や規制当局を対象に含めることで十分でしょう。
また、企業によっては、親会社が存在しており、親会社の意向がQMSに大きく関わってくる
場合がありますので、このような場合には、『利害関係者』として親会社を含めておくとよいと思われます。
ISO9001:2015(JIS Q 9001)では『QMSに密接に関連する』利害関係者を明確にすることが
求められていますが、『利害関係者』という言葉に惑わされないように、
皆さんの会社にとって「良品や良質なサービスを継続して供給する上で」
本当に必要な利害関係者を把握することが重要だと思われます。
いかがでしたか?“利害関係者とは何か”。
その人たち、その人たちの声を無視しては会社を続けることが難しい、そんなところでしょうか。
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