ISO9001 2015年度版 QMSの適用除外の考え方とは?
投稿日:2017年10月23日 最終更新日:2024年7月30日
こんにちは。マネジメントシステムコンサルタントの柏木 博です。
今回は、ISO9001 2015年度版の4.3項の『適用範囲』について考えてみます。
ここには、2つの要求事項があります。
一つ目は“組織のQMSの適用範囲”を明確にすることですので、
先ず、QMSを適用しようとする“製品、サービス”を決めることからはじめます。
なぜ、その“製品、サービス”についてQMSを構築しようとしたのか?
例えば、“その製品について顧客から品質マネジメントシステムの認証取得を要求された。”
あるいは、“お客様の要求に沿った(あるいは、それを超える)製品・サービス提供を継続的に提供して
お客様の満足度の向上を図り、他社との差別化を図りたい。”
など、いろいろな理由があるでしょうが、
それらの理由によってどの“製品、サービス”を対象とするかが決まります。
そこが決まれば、その“製品、サービス”に関与している組織を対象とすればよいことになります。
本社だけでなく、工場や営業所も含まれます。
企業の業務形態によっては、自社単独だけでなく、関連会社も含めてQMSの範囲に含めることが
適切である(管理が楽になる)場合もあります。
“対象とする製品、サービス”“組織のQMSの適用範囲”が決まると、それを文書化することが
要求されています。
もし、皆さんの会社が認証を受けているのであれば、審査登録機関から登録証が発行され、
その登録証には対象となる製品及びサービスを含め、QMSの組織上の適用範囲が明示されていますので
、既に文書化されていることになります。
この範囲については審査員が審査した上で判定しているものですから、客観的に妥当であるといえます。
2つ目の要求事項は、『組織のQMSへ適用することが不可能な規格の要求事項』がある場合には、それを明確にしておくことです。
適用不可能項目、即ちISO 9001:2008年版で言うところの“除外項目”に関しては、
2000年版以後と同様、“設計・開発”の取り扱いについてはいろいろな意見があるようです。
“設計・開発”の取り扱いについてはISO 9001:2008年版から変化無いとの意見が主流ですが、
ISO 9001:2008年版からISO 9001:2015年版になって“設計・開発”の定義が変化したことにより、
設計・開発が取り扱う対象が広がったとの意見、あるいはISO 9001:2000年版の時点から
設計・開発の取り扱い範囲は一般的な範囲よりも広いという意見などがあります。
審査機関の取り扱いも異なるようですので審査機関に考え方を確認する等注意が必要ですが、
概ねISO 9001:2015年版においてもISO 9001:2008年版の定義の通り、
『要求事項を、製品の特性又は仕様書に変換するプロセス。』のままでよいとの意見が主流のようです。
ISO 9001:2015年版では、定義が変更され、『対象に対する要求事項を、より詳細な要求事項に変換する
プロセス。』となっていますが、要求事項は“対象”についてのものですので、
お客様から製品について要求があった場合にその製品を実現するためにより詳細な要求事項に
変換することは、製品の特性又は仕様書に変換することと同一であると考えるのがもっとも自然です。
中には、化学製品のようにお客様から要求された製品については特性が提示されており、
その特性を実現化するための作業条件の計画が設計・開発に該当するものもあります。
JABの講演会で筑波大学の山田秀先生は、
設計・開発プロセスを含めることが製品実現能力に効果的であれば使用すれば良い、と説明を
されていました。
審査を受ける側としては、「8.3項 設計・開発」がQMSの対象になるかどうかは
ずいぶん違ってくるイメージがありますが、いろいろな物事を計画的に進めるためには、
設計・開発の要求事項に沿って運用することが失敗による手戻りを最小限にすることが出来、
また目的に沿った結果を達成できるなど、効果的な場合が多く有りますので、うまく使用すればよいと
思われます。
【ISO9001の改正についての過去記事】
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