【運用とは? ISO9001 2015年版(改正/改訂)】
投稿日:2018年2月19日 最終更新日:2023年5月12日
附属書SL(注1)の影響により、ISO9001 2015年版(改正/改訂)では『8. 運用』とのタイトル表示と
なり、分りにくくなりましたが、ISO9001 2008年版の『7. 製品実現』に相当します。
まず、8.1ですが、ここでは具体的に要求があるというよりは、8.2以降の要求事項を総括しているといえる
でしょう。
ISO9001 2008年版の7.1 と比較すると、a)の“品質目標”及びc)の“検証、妥当性確認、監視、測定”に関する
要求がなくなっています。
“品質目標”に関しては、6.2でも品質目標についての要求事項が出てくることから、混乱を防止するために
使用を避けたものと思われます。
ただし、ISO9001 2008年版の7.1で使われていた“品質目標”という言葉は、元々は製品及びサービスの
品質に関して自らが設定する目標(自社が設定する要求)の意味合いでしたので、
ISO9001 2015年版(改正/改訂)では“要求事項”という文言に含められてしまったとも考えられます。
また、“検証、妥当性確認、監視、測定”については、8.1からは省略されましたが、
8.4.3、8.5.1などで個別具体的に要求されていますので、総合的には変化はないと思われます。
この8.1は読み方が難しいのですが、以下のように読んでは如何でしょうか。
製品及びサービスの提供に関する要求事項を満たすために必要なプロセスを、計画し、実施し、かつ、
管理しなければならない。
このプロセスにはa)~e) を使って(織り込んで)、計画し、実施し、管理しなければならない。
規格では“箇条6で決定した取り組みを実施するために”という文言が挿入されています。
しかし、プロセスを計画する場合には、その計画を実行し、目的を達成する上で障害となるリスク、
達成に繋がる機会については当然に考慮しますので、わざわざ取り上げるまでもないと思います。
ISO9001 2015年版(改正/改訂)となって目新しいところは、変更に対する要求事項です。
変更に関しては、8.2.4(製品及びサービスに関する要求事項の変更)、8.3.6(設計・開発の変更)、
8.5.6(変更の管理)にも現れます。このうち、8.5.6は新たに規定されたものです。
8.4、8.6では、直接には変更に関する要求事項が出てきませんが、これらについても8.1の要求事項が
適用されますので、変更の内容・程度に応じた管理が必要になります。
このように、変更の管理に関しては、『品質保証』の観点からは強化されたものと考えられます。
また、外部委託したプロセス(アウトソース)の管理について規定されています。
8.4に詳細が要求されているので、8.4でしっかり対応しておれば、ここは読み飛ばしておいて
良いでしょう。
しかし、わざわざ8.1 にも記載されている意義についてはよく理解しておくことが必要だと思います。
自社のプロセスがしっかり管理されていたとしても、自社のプロセスに繋がる外部委託先での
プロセスの管理が不十分であれば、全体としては十分な管理が出来ていないことになります。
プロセスの結果は顧客に提供するものである以上、自社だけでなく、外部委託先におけるプロセスに
ついても適切に管理することが要求されているといえます。
このことを理解したうえで、8.4 で対応すれば良いと思われます。
注1:“ISO/IEC 専門業務用指針,第1部 ISO専門補足指針 附属書SL”
この附属書では、マネジメントシステムを制定/改訂する場合に守るべき手続き、従うべき上位構造、
共通に含めるべき中核となるテキスト、用語、定義が与えられており、各マネジメントシステムは
可能な範囲でこれを守ることが定められています。
【ISO9001の改正についての過去記事】
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